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好奇心を持って眺められる立ち位置を探す

最近、のんびりとした診察時間がなかなか
取れないのですが、

それでも、このマシーンの出番もチラホラ出てきました。

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EMDRで使う、
バジー(パルサー)。
なかなか便利です。


以前は、新しい技を学ぶことが多くて、
技法を使うこと自体が楽しかったけど、

最近は技より、短い時間で、どの道具箱が使えるか、
工夫していくのが楽しい。


大きく分けると、技の使い道は、
2つの方向性に別れます。

応急的に封じ込める方針か、
脱感作で向き合う方針か。

病態水準と状況によって、
真逆なケア方針になる。

簡単に言えば、
こころに蓋をするか、
蓋を開けて手当するか、
みたいな感じ。

蓋を開けて手当することが、
傷の治療のように思うけど、

そうではなくて、
蓋をして、ガーゼやギプスを巻くことが、
実際の治療のほとんど大半を占めている。

根治治療ではなく、対症的、応急的な手当のことを、
医療の言葉だと、保存的治療という言い方をします。

傾聴、相談、助言などの対話療法、
向精神薬による薬物療法も、
保存的治療の部類に入ると思う。

保存的治療をきちんと続けることで、
下手に病巣に手を出すより、
自己調整の働きで最適化されることもあるし、
取り敢えず生活に支障がないようにすることも重要。

短い診察時間で、蓋を開けてしまうと、
閉じきれないし、負荷が大きすぎてしまうのもある。
下手すると、傷に触れて、大出血、
外傷体験を繰り返して、より悪化してしまいます。
実際、よくやらかしてしまいます。

傷を開けるか、閉じるかの、
見極めには、慎重になるわけです。


言葉に表現しにくい人の場合は、
タロットやオラクルカードを使うこともあります。

今日の診察室の一コマにヒントがありました。

詳しい相談内容は、伏せますが、
不安で一杯のいまの状況を、
カードで見てみたいというリクエスト。

患者さんがひいたオラクルカードは、これ。

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大人からしたら困難な状況でも、子どもの時って、
なんでも不思議に感じて、好奇心で遊びに変えて、
魔法にかかった冒険の世界のように思っていましたよね。
今現在、不安でいっぱいの中にいるかも知れないけど、
そんな中にも、好奇心、不思議さ、楽しさ、
を見つける感覚を思い出してみてはどうでしょう。

と、カードのメッセージから
僕が感じたことをお伝えしてみました。

どのように響くかは、僕には知りえませんが。

この方の、自分の不安な状況をカードセッションで見てみたい、
という好奇心の眼差しが、既に治療的だったわけです。

自分を好奇心を持って眺められる立ち位置におけるか。

これが、今のところ、
傷を開くか、閉じるか、の
一つの判断基準ではないかと、
僕は思っています。

すべてのセラピーやケア技法にも、
体験を、興味を持って観察できるような、
仕掛けが工夫されています。

診察室という場では、
本当に大変な状況のお話しを聴きながら、
まずは、自分から、深刻さから一足早く抜けて、
治療の中にも、好奇心と不思議さと興味を持って、
診察室を眺められるように、いつも意識しています。


時々、悪ふざけが過ぎて、
患者さんに怒られることもありますが(笑)



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