句集刊行プロジェクト10ーー装丁ラフの駆け引き

いきなりですが、「装丁」って当て字っぽいですよね。

調べてみると「装幀」「装訂」「装釘」の表記があり、どれが正しいのかというと、なんか諸説あるようで、難しい話になりそうです。ともかく皆さんこだわりをもって表記を選んでいるようです。  

RCはとくにこだわりはないので、ここでは変換してすぐ出てくる「装丁」にしますね。

句集の進行としては、本文の再校校正の段階まで進みました。校正紙が送られてきたときに、一緒に、装丁ラフ案が同封されていました。

これこれ、待っていたんです。メールで装丁についてイメージするところは伝えていたものの、どんなふうに形になるのか、楽しみだったり不安だったりで、落ち着きませんでした。

いそいそと取り出してみると、あれ、という感じ。なんか違うぞ。

俳句ではよく「つき過ぎ」という言葉を使いますが、まさにそれ。タイトルと装画のイメージが、バッチリ過ぎなんです。

もともと装画は不要で文字だけでもよいと思っていたくらいですから、バッチリではうるさいと感じてしまいました。

それで、恐る恐る、当たり障りなく感想を書いて、もう何案か見せていただけませんでしょうか、と編集担当者にメールすると、軽く、では近日中に送ります、とのこと。拍子抜けしてしまいました。きっと珍しいことではなかったのでしょうね。

さて、数日して届いた封筒を開けて見ると、A案、B案、C案、D案と次々と出てきましたが、これじゃどれも1回目とイメージ変わらんじゃないかーと叫びたくなったところで、E案が目に飛び込んできました。

これだけまったく異なる柔らかいタッチの装画で、ちょっとユーモアの感じられる親しみやすいデザインでした。

なぜこれだけ? と問いかける間もなく、これ一択で決定です。

仕上がり線で切って、手元の本に巻いて比べてみても、E案が一番RCの感覚にフィットします。

そんなわけで、再校紙を戻すタイミングで、E案でと、担当者にメール連絡した次第。

これでまた関門一つ突破と、ほっとしましたが、振り返ってみると、なぜ最後のE案にまったく違うイメージのデザインが入っていたのか、ということになんとなく思いが及びました。

もしかして、デザイナーか担当者は、これを選ぶだろうとお見通しだったのかも、なんて。

もし、E案に近いイメージの案が複数あったら、きっとRCは迷ってしまったでしょう。あれこれ悩んで時間が過ぎ、挙げ句の果てにもう一回別の案をみたいなんて言い出しかねません。それが、まったく異なるものの中に一つだけだったら、絶対それを取りますよね。

つまり、選んだのでなく、まんまと選ばせられたのかもかしれません。

でも、いいものはいいですから、自分の意思で「選んだ」装丁の句集が出来上がるのを、楽しみにしようと思います。

駆け引きができるのも、プロの仕事。デザイナー、担当者の腕を信頼して、お任せしましょう。

刊行まであと一息。明日も素敵な季語との出会いがありますように。

RC

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