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『「ついやってしまう」体験のつくりかた 人を動かす「直感・驚き・物語」のしくみ』を読みました。

みんなで同じ本を読んでみよう! ということで、会社のチームでこの本を
読んで、書評(というか感想)を書く......ということやることに。

著書が元・任天堂の方ということで、『スーパーマリオのUX』の説明から始まるのですが、これがとてもわかりやすかった。

簡単にいうと、マリオの1-1(最初のステージ)についての説明で、

・マリオは右を向いている
・その後ろに山がある。右側は空いている。
なんか右に行けそうだ!(仮説)

ということを思わせる画面になっている。そして、
十字キーは明らかに上下左右の動きを表している感じがする。
だから右を押してみる(試行)

・右から左に悪そうな顔をしたクリボーがやってくる。
→敵がこっちに向かってきた! 自分の選んだことは正解だった!(歓喜)

これをこの本では「直感のデザイン」と呼んでいます。
なんかこれ、ゲームについて考えるとき、
これはすごーーくしっくり来るなと思いました。

(以上で、おもしろそうだと思った人はぜひ読んでみてください! 以下は個人的な思いの話です)

そんなこんなで、ふと思い出したんですが、

昔、「ふぁみこんむかし話 遊遊記」というゲームがあったんです。

ディスクシステムでした(もはや知らない人も多そうですが....)。
兄が「バイオミラクルぼくってウパ」を書き換えしたソフトだったと思います。
ちなみに僕はたしかその日、「仮面ライダーBlack」をなんかに書き換えたのですが、さすがに忘れました。

この「遊遊記」なのですが、見ての通り西遊記のパロディです。
ストーリーは細かいところは全然違って、コメディタッチ、というか、当時のゲームっぽいゆるいギャグにあふれた感じで、主人公のごくうはヒロインのちゃおに拾われ、育ててもらうのですが、のちに生き別れになり、二人が再び出会うまでの物語...という感じになっています。

いろいろあって、最後、ラスボスの牛魔王との決戦の際に、
ごくうは傷つき倒れます。
牛魔王の部下になったはずの猪八戒が改心し、時間を稼いでくれます。泣ける。
その隙に、ごくうの元に駆け寄るちゃお。
そして、以下動画の展開に。

おしゃかさまの声が聞こえます。
「ちゃおに何か言いたいことがあるんじゃないのか」と。
そして自由文入力になる....!

当時、かなり悩みました。
名前以外の「文字入力」で、「何か言いたいこと」を、迷惑をかけた、ずっと好きだった人に言わなければならない.....!!

小三だった僕は思いました。
はずかしい....!!! すごくはずかしい.....!!!

この動画では「すき」となっていますが、結局いろいろためしたあげく、
「ごめんね」と入れたはずです。それで正解でした。
正解はいくつかあったらしいです。

今でもはっきりと覚えているくらいの体験です。
それまでの展開を知っていたら、
もうここで出てくる言葉はいくつかしかないんです。
ちゃおへの親愛の情を口にするしか。
「これしかない」と思ってトライして、正解だった。
主人公、物語と自分が、最後の最後で完全にシンクロしてしまいました。

.......いやー、好きなゲームの話をするのは楽しいですね。
なんか、そもそもゲームの導入の話でもUXの話でもないので、あんまり関係ない気もしますが、要素としてはこの本に書かれていたことがたくさん使われています。

「直感のデザイン」も入ってるし、プライベートな感情を引きずり出す「驚きのデザイン」も入っている。ラストは、冒頭では偶発的に出会ったちゃおの元に、
ごくうが自分の意思で帰っていく(ここに、きちんと変化と成長が見えます)「物語のデザイン」も見事(プレイしてないとまったく伝わらないと思いますが、本当に泣けるんです)。
もう一回やりたくなってきました。もう一回やると意外とゲームってつまんないんですけど。

僕、むかし、謎解き要素の強いアクションゲームを作ったことがあり、

まあ、技術が追いつかず残念な出来ではあったのですが、
それでも、それなりにダウンロードしてもらえて、レビューもいまでも悪くないです(64bit対応してないからプレイできないですが....ついでに作り直したい)。

この僕のゲームも、この本の言葉を借りれば、「直感のデザイン」がやりたかったんだなー、と思います。

ていうか、やりたいことを全部やろうとしたんだろうなーと。
その後、いろいろ試行錯誤してあんまりうまくいかなくなっちゃったなーとも。

この本に書かれていたことは、たぶん、一生懸命なんかを作ろうとした人なら、多かれ少なかれ、「ユーザーにこう思って欲しい」という思いから、考えたことがあることなんじゃないかな、と思います。こんなに体系立てては考えないと思いますけど。

なので、そういうときの思いを整理してもらった感じがして、すごく嬉しくなったし、また、いろいろ考えて、ゲーム作りたいなー、と思った次第です。

とくにオチもなく、終わりまーす。

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