ドラフト型の採用イベントで内定。保険業界からM&A業界への転職。
奥谷さん:
東京都出身。33歳。日本大学経済学部を卒業後、新卒で大手不動産企業に入社し、営業に従事。2017年に外資系金融企業へ転職し、士業マーケットの開拓に注力。Right Brothersが主催する転職イベント「M&A DRAFT」を通じ、株式会社パラダイムシフトに2024年4月に転職。
Right Brothersが転職の支援をさせていただいた方に、これまでのご経歴や転職活動を振り返って印象に残ったエピソードなどを伺う連載企画『Bridge』。今回は、株式会社パラダイムシフトに転職を決められた奥谷さんにお話を伺いました。
監督から学んだ「日々の生活」の大切さ
ーどんな幼少期を過ごしていましたか?
埼玉の草加市内にある幼稚園に通っていたのですが、とても教育熱心な先生ばかりで、課題が終わらないと遊ばせてもらえなかったんです。当時は「幼稚園に行きたくない」と、よく駄々をこねていました。
ところが、母が体調を崩してしまい、母の実家がある東京の杉並区に引越しをすることになりました。お寺が経営する幼稚園へ転園することになったのですが、子どもを自由に遊ばせる方針の幼稚園だったので、それまでとは環境がガラっと変わり、ずっと外遊びをしていました。
ー 自由を得たのですね(笑)
反動で水を得た魚のように遊んでいましたね。小学3年生ぐらいから、幼稚園の時の友達に誘われて野球を始めたこともあり、さらに勉強から離れてしまいました。
小学校を卒業後は、私立の中高一貫の男子校に進学して野球一筋の学生生活を送ることになりました。特に中学の時の野球部の監督との出会いは、自分の人生の中でも大きな出来事だったと思います。
ー 監督との思い出を聞かせてください。
監督からは、野球を通じて人格を磨くことの大切さを教わりました。当時は「野球が上手ければなんでもいいでしょ」という自分中心のマインドだったのですが、監督からは野球の時だけではなく、日常生活の態度や心構えなどがとても重要だと教わりました。
自分だけが活躍をしてもチームが負けたら意味がないので、それであれば周りのために自分が使えるだけの力を使って、みんなでいい結果を出したいと思うように変わっていきました。
社会に出た今でもその想いは持ち続けています。自分のコミュニティや繋がりを、関わる人のために役立てたいという気持ちが強いのは、当時の監督の日々の教えが自分の人格形成に大きな影響与えたからだと思っています。
ー その後の進路はどうされたのでしょうか。
高校でも野球を続けていて、1年生の時からレギュラーで出場し、最後の夏は西東京ベスト4という成績を残していました。大学に行っても野球は続けたいと思っていて、「せっかくなら東京六大学野球のリーグ戦に出たい」と心に決めていました。
ところが、2回浪人をして受験にチャレンジしましたが、志望校へは届きませんでした。2011年に日本大学経済学部に入学すると、アルバイト中心の生活になっていきました。
アルバイト先での高い評価
ー どのようなアルバイトを始めたのでしょうか。
飲食店です。地元で長く続く人気のお店で、同じミスを2回すると強制的に帰らされるような厳しいバイト先だったのですが、時給が高かったこともあり、なんとか認めてもらえるようがむしゃらに頑張っていました。ルールが独特で、メニューとオーダーはメモをとらずに全て暗記しなければならないだけではなく、お会計も全て暗算でやっていました。新しいアルバイトが入ってもなかなか続かないことが多く、自分も何度も辞めたくなりましたが、粘り強く続けるうちに「アルバイトにしては根性がある」とお店の常連の方にも認めていただけるようになっていきました。その時の出会いがきっかけで、就職先が決まりました。
ー 詳しく教えていただけますか?
常連客の中に大手不動産企業の方がいらっしゃって、「選考をぜひ受けてほしい」とお声がけいただきました。アルバイト先の厳しい環境でも長く働いていたのを評価してくださったのか、「根性がある奴」と思われたんだと思います(笑)
その方と一緒に店に来ていた奥様からも後押しがあり、選考を受けて2015年4月に営業として入社することになりました。
ー 入社後はどのような仕事をされたのでしょうか。
土地のオーナー向けに、アパート建設の営業をする仕事に取り組んでいました。埼玉県のエリアを担当することになり、新規開拓のためテレアポを日々行っていました。偶然担当エリア一番の大地主さんと繋がりがあり、担当させてもらうことができたのをきっかけに、1年目は新人賞を獲得、2年目は上半期請負建築金額で全社員の中で1位の営業成績を獲得することができました。
ー成果をあげられていたのですね。
一人の地主さんから複数棟アパートを建ててもらえたことが成果に繋がりました。
業界的に、地主さんに1棟目を建ててもらうことのハードルは高くないのですが、同じ地主さんから複数棟建ててもらうのは難しいとされていました。地主さんへは、とにかく徹底的にヒアリングをし、ご親族も巻き込んで提案を進めていったことがいい結果に結びついたのだと思います。
ー 苦労された点はありますか?
入社して間もなかったということもあり、「お客様から自分はどのように見られているか」という意識を身につけるのに苦労しました。一緒に案件を進めていた課長が、所作や顧客への配慮にとても気をつけている方だったので、熱心に指導していただき身につけることができました。その後の社会人生活でも経営層と対峙することが多く、教わったことが生きているなと感じています。
ー 2社目へ転職された理由について伺ってもいいでしょうか?
1社目は自分では商談ができず、必ず役職者が提案を行うという流れでした。自身でアポを獲得しても、その後の工程を一気通貫で行えないことに段々と歯痒さを感じていくようになっていきました。このままでは営業としてのスキルが伸びていかないと感じ、転職を決めました。
重要なのは「付加価値」の提供
ー 2社目では何をされたのでしょうか。
外資系の保険会社で営業をしていました。母の勤め先に支社の所長が出入りをしていて、母を通じて紹介を受けたのが入社のきっかけです。転職を考え始めていたタイミングだったというのと、営業力に定評がある会社だったので、自分のスキルをもっと伸ばしていきたいという気持ちで入社を決めました。紹介営業のみだったため、入社後は見込み客の発見が課題でした。
ー どのように紹介を広げていかれたのでしょうか。
生命保険販売以外の機会でもお客様が喜ぶことを考え、実行し、付加価値を高めていくことを意識していました。例えば、知り合いに士業の職に就いている人が多かったので、顧客の社長が困っている時は税理士、弁護士、社労士の紹介等をすぐに行なったり、顧客のニーズを把握しているからこそ顧客同士をマッチングさせたり、保険以外でも自分の持てるもの全てを使って営業活動をしていました。
ー 喜んでもらうことにやりがいを感じられていたんですね。
自分が今まで築いてきたコミュニティが、色々なお客様の役に立てたことはすごく嬉しいですね。保険だけを売るのではなく、個人がどれだけ相手に価値を提供できるかを大事にしていました。そのためにゼロからコミュニティを作っていき、多くの士業の方達と仕事をしているときは、チームプレーを純粋に楽しんで働くことができました。
「M&A DRAFT」に参加してみて
ーなぜM&A業界に?
保険業界にいた時、マーケットがシュリンクしていくのを肌で感じ、転職活動を視野に入れ始めました。その際、新卒の時の同期であり、現在はM&A業界で働いている友人から話を聞いたんです。業界について調べてみると、マーケットの規模や成長性に魅力を感じ、2023年10月に転職活動を始めた時にはM&A業界のことだけを考えていました。
ー 今回「M&A DRAFT」にはなぜ参加されたのでしょうか。
Right Brothersの櫻木さんからスカウトメールをいただいたのがきっかけです。そのあとに「ドラフト形式の採用イベントに興味はありませんか?」とお誘いいただき、参加することにしました。「この会社だけ受けたい」と決まっている人であれば通常選考の方がいいのかもしれませんが、個人的には「複数社の選考を同時に受けられる」というメリットを感じ、さらに「自分の市場価値を測れる良い機会」と考え、迷うことなく参加の返事をしました。
ー 実際に参加してみていかがでしたか?
自分の経験が、企業にどのように評価されているのかを知るいい機会になりましたし、自分には合っていたと思います。スピーチの内容・構成についてはRight Brothersの大澤さんに面談で何度かアドバイスをいただき、無事本番を終えてパラダイムシフトさんに内定をいただくことができました。
入社3〜4ヶ月目のコンサルタントとお話しさせてもらい、具体的に働くイメージができたのと、一気通貫で営業ができ、会社がさらに大きくなっていく過程を経験・学べそうだと感じて入社を決めました。
ー 今回の転職活動を振り返ってみて、いかがでしたか?
納得のいく転職活動だったと思います。その理由は2つで、まず1つ目は「価値を提供してくれそう」と相手企業から思ってもらえたこと。もう1つは「どんな経験だったら評価されるか」を相手の目線から考えて伝えられたことです。
自分の場合、経営者と相対する仕事をしてきたことや、それまで取り組んでいた営業手法をもとに価値を提供できる可能性が高いことなどを伝えました。
また、転職市場においては若い人の方が有利と思われることがあるかもしれないのですが、経験を積み重ねたからこその強みを上手く伝えられたことが、内定に繋がった要因だと思います。
ー 貴重なお話しありがとうございました!