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猫が飼えたら(2)

「自分がどうしたいか」

私はしばらく「自分がどうしたいか」について考えることができない状態だった。職場の人間関係、終わらない仕事量で心も身体も壊し、なにが好きでなにが楽しいか全く考えられない時期が続き、起き上がることもしんどい、ただただ時間を空費する日々でした。
あんなに好きだったバラエティ番組も、笑いを体感するのが楽しかったお笑いライブも、ただただ空虚に感じて、当初感じていた楽しさが自分からは遠い存在になっていた。

メンタルクリニックの先生は「今はゆっくり休みましょう」と貼り付けた笑顔で私に伝えてくる。1時間半待って、流れ作業のような3分間があって、薬を飲んでみるも気持ちが晴れない1週間をやっとこなして。それでもこれを繰り返すことがいいのか悪いのか考えられない。次の予約をしたからまたクリニックに足を運ぶ。働けもしない、お金もままならない。幸い死にたいとまでは考えなかったものの、このまま寝転んだ背中からじわーっと溶けてしまいたいとは思ったりした。

今の私とあの頃の私

私はよく笑って、楽しいことが大好きで、いろんなことに興味が向く活発な人間でした。「私」の要素は急に無くなったわけではなく、ある日気づいたら別人になるほど失ってしまっていたという感覚でした。
バラエティ番組をみたり、お笑いライブに行くこと以外に、映画館で映画を観る、本を読むことも好きでした。以前の私がごく普通に楽しんでいたことが、この頃の私には一枚の幕を隔てた外側のことのようになっていて、またそれに傷ついて落ち込む。負のスパイラルでした。


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