見出し画像

キラキラ広報の成れの果て

企業広報担当者には若くてかわいい女子がたくさんいます。この中に一定数、仕事が出来なくて承認欲求が強めの子がいます。業界の中でこういう子たちを揶揄して「キラキラ広報」と呼びます。(たぶんこの呼び方のはじまりは、その昔ライブドアの広報担当としてスポットライトを浴びた女性の方が「美人広報」や「キラキラ広報」と称されたことからだったと思います)

キラキラ広報のつくり方

日本では、影響力が大きい主要メディアの数は50にも満たない中、企業法人の数は約178万社、従業員10人以上の規模に絞っても約44万社にのぼります。
このような圧倒的に売り手の市場の中にいるメディアに対して広報担当者はチヤホヤすることもあるわけですが、メディア関係者の素養はそれはそれは玉石混交で、かわいい広報担当者に鼻の下を伸ばす記者やプロデューサーも少なくありません。
そして仕事が出来ない子はよく周りに迷惑をよくかけますから、年齢を重ねたお局さまや、チヤホヤされないおじさまたちの焦燥感などのモヤモヤが熟成して「キラキラ広報」と悪口を言いたくなる場面があります。(たぶん)

私はキラキラ広報じゃないと自分でカテゴライズしているキラキラ広報が別のキラキラ広報の悪口を言っている場面もよく目にします。これは多分やきもち。(たぶん)
ちなみに若くなくて容姿端麗じゃなくてただ仕事が出来ない子は「キラキラ」と言われるケースはあまりありません。

戦略どうのこうの前に、どんな形でもいいから世の中に自分の会社を認知をさせたい!でも予算があまりないスタートアップ企業で、広報活動のそれに近いことをしようと思った経営陣が、未経験の新人に広報を担当させるなんていうケースがたくさんあります。稀に未経験のひとり広報でも、年齢や性別に関係なく独学で凄まじい結果を出す子もいますが、いろんな要因が相まってキラキラ広報になってしまう子も多いのです。

かくして業界の中ではキラキラ広報という悪口が存在しているわけですが、そんな彼らも年齢を重ね容姿が劣化し、周りからチヤホヤされなくなった時自分はどうすればいいんだろうと、少なからず不安を感じている子もいるはずです。そこで今回は「必要とされる広報担当者」という視点から、どんなスキルを身につけたらよいかまとめてみたいと思います。

「キラキラ広報」から「トップ3%の広報」へのマインドセット


storyset

ニュースリリースや企画書を書く、メディアリストをつくる、メディアリレーションをやるなどの業務ももちろん大切ですが、それらは木で例えるなら葉先の部分の手段にすぎません。本来広報の仕事は会社の経営にとても近いところにあって、木の根や幹の部分に位置する本質的な広報機能は経営を支えます。

・あなたの会社は何をしているのか?
・あなたの会社は同業の他の会社と何が違うのか?
・あなたの会社はこれからどういう方向を目指そうとしているのか?
・それを達成するための戦略はどのようなものなのか?

これらを情報の受け手はメディアとして、あるいは投資家として、顧客として、パートナー企業として、社員の候補者として、なぜあなたの会社に注目しなくてはいけないのか?その理由をさまざまなステークホルダー(会社のありとあらゆる関係者)に、コミュニケーションを通して、統合された情報を伝えていく役割を担っているのが広報の仕事です。そのためには、企業のアイデンティティとなる部分や価値観、はたまた社長の経営理念や経営戦略をつくる過程でのサポートが必要となります。トップ広報3%といわれる必要とされる広報人材になるためには何よりもまず、自分が経営の一部を担っているというマインドセットがとても大切です。

トップ広報に求められる素養

広報の本質はメディアの窓口でもなければ、メディアに出す屋さんでもありません。会社の知名度を上げて「ブランド」の信頼性を高めると同時に有事のときに会社を守るスキルもトップ広報には必須です。有事とは個人情報が漏洩したり、従業員が不適切投稿をして炎上したり実にさまざまなケースがあります。前に、会社の役員が不倫の渦中の人になった時の対応についてのnoteを書きましたが、このような事態も有事に入ります。

さらに最近ではESGやSDGsを推進することや、会社の外にある世の中の動きを会社の中に浸透させる役割も担っていると感じます。変化のスピードが速い今の時代に、広報に求められている領域はますます経営に近づいているなと感じます。
須田一幸先生の編著で「ディスクロージャーの戦略と効果」(森田書店)という本の中で、ディスクロージャー(情報開示)に積極的な企業は、負債コストや株主資本コストの低下というベネフィットを享受しており、企業価値が相対的に大きいと定量的に示し、優れたディスクロージャー(情報開示)を実施する企業ほど企業価値が大きいということを明らかにしています。

広報活動における守りは最大の攻めであり、攻めは最大の守りである

これは私が最近強く感じていることのひとつです。攻めと守りは表裏一体。個人的にはキラキラすることも全然ありだと思いますが、トップ広報として世の中に求められる人材になれるよう自分のスキルをピカピカに磨いて、本物の輝きでキラキラしちゃいましょう!もちろん一長一短にはいかないことも多く、長い道のりかもしれませんがあなたにはきっとその価値があるはず。

【書いた人】
大杉 春子/コミュニケーション戦略アドバイザー

民間企業・地方自治体・省庁などのパートナーとして、PR戦略の策定から広報物の制作監修まで支援。コミュニケーション戦略における「攻め」と「守り」の両軸から経営広報の施策をサポート。2020年に専門家らとともに、日本リスクコミュニケーション協会を設立し、リスク管理から危機管理広報までを網羅した、リスクコミュニケーション人材の育成を展開する。

内容についてのご意見やご質問はinfo@razer.co.jpにお願いします。

この記事が参加している募集

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?