眠りたい姫
彼女はよく眠る人でした。朝も昼も夜も、暇さえあれば横になり目蓋を閉じるのです。
誰かが遊びに誘っても眠ってしまったり、ご飯も忘れて夢を見るような女の子でした。
恋人も友人も呆れてしまい、彼女から離れていきました。そのせいで暇な時間が増えていき、また眠るようになりました。
彼女は僕に言いました。
「だって、夢なら傷つかないもの。」
そういってまた眠り出しました。
僕が目の前にいるにも関わらず、すぅすぅと寝息を立て始めたではありませんか。
「かわいそうに。」
この同情の言葉さえ、寝ているときにしか伝えられないのです。
彼女はきっと、どんな言葉でも傷ついてしまうから。
「おやすみなさい。」
ただ精一杯の僕の想いも届かないのでしょう。
以上、らずちょこでした。
※この物語はフィクションです。
ここまで読んでくださった皆様に感謝を。
ではまた次回。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?