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【映画感想】イニシェリン島の精霊

忙しくて疎遠になっていた映画館にやっと行くことができました。
今年の映画始めは昨年からずっと気になっていたマーティン・マクドナー監督作品『イニシェリン島の精霊(2022)』です。


あらすじ

物語の舞台は1923年のアイルランド西海岸沖に浮かぶイニシェリン島。そこで平和に暮らしていたパードリックは、ある日親友のコルムから絶縁を言い渡されます。突然の出来事に困惑したパードリックは仲直りをしようと接触を試みますがコルムは頑なに拒絶。「これ以上煩わせたら俺は自分の指を切り落とす」とまで宣言されてしまいます。


リアルな時代背景と神秘的な存在、精霊

1923年のアイルランドといえば内戦が起きていた時代です。
また、タイトルにもなった「精霊」という単語ですが、これはアイルランドで言い伝えられているバンシーのことで、人の死を予告する精霊のことを指します。
舞台はのどかで平和が保たれたイニシェリン島ですが、内戦と精霊がどう物語に絡んでくるのか、歴史に詳しい方なら「なるほど」と楽しみながら観れるかもしれません。


いい奴だけど○○なパードリック

主人公のパードリックを演じたのはコリン・ファレルさんです。相変わらずのハの字眉で、哀愁漂う演技に圧倒されました。
パードリックは素朴でいい奴なのですが、物語が進むにつれコンプレックスを抱いていることや恐れているものが明確になっていき、いい意味で観ている人を不安にさせてくるキャラクターです。
更に彼は親友コルムとのいざこざ関係に、賢い妹シボーンや若い隣人ドミニクなど色んな人を巻き込んでいくため、誰がどう動きどう影響されていくのか最後まで分からなくさせてきます。


個人的な感想

今年一発目として相応しい映画で、泣いてしまいました。
冒頭のあらすじのみでは「まるで子供の喧嘩だな」と思ってしまいますが、最後の最後までふたりがどうなってしまうのか予測不能でした。
派手なアクションなどはないですが、所々にバイオレンスさや皮肉交じりのジョークで笑わせにくるので2時間があっという間です。
登場人物も個性豊かでとてもよかったです。私はドミニクが一番すきなのですが、鑑賞済みの方は誰がお気に入りでしたか?
すきと言えば、主人公が飼っているロバのジェニーちゃんも愛嬌たっぷりでキュートでしたね。動物がたくさん出てくる作品なので、そういった意味でも見所がありました🐎

アイルランドの歴史や文化に興味がある方、フォークホラーが好きな方、静かに進展する作品をお求めの方、考察がしたい方にとてもおすすめな映画です。
興味がある方はぜひご覧くださいませ!

らゆらゆ

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