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【映画感想】エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス

A24で史上No.1をたたき出した全米大ヒット作品、通称『エブエブ』を観に行きました!感想を書き上げる前に見事アカデミー賞にも7部門受賞しました!おめでとうございます!脚本/監督/製作はあのぶっとんだ映画を作った『スイス・アーミー・マン』でお馴染みのダニエルズ監督です。

タイトルが長いので公式サイトのURLが「eeaao」で省略されています。そう考えると本題そのままで日本に上陸するのも珍しい気がしますね!


私がこの映画を知ったのは映画館の予告で必要以上に流れたからなのですが、マルチバースものと聞いて「スパイダーバースみたいな感じかな?」と気になり観に行くことを決めました。しかし主人公は幸薄そうな主婦だったので「本当にこの人がヒーローになるのか?」と疑いつつ複雑な気持ちで映画館へと足を運びました。

結果、観に行って正解でした!すごくおもしろかったです!
「具体的にどこがいいのか」と聞かれるとネタバレになってしまうのであまり詳しく言えないのですが(このおもしろさはぜひ劇場で!)ダニエルズ監督が今作をどういった想いで作ったのか知ると分かりやすいと思います。

1)バカバカしい闘いを繰り広げるSF・アクション映画
2)21世紀の移民の物語を通して家族愛を描く
3)あまりに多くの別宇宙に行きすぎ、哲学的な思想を探求することになるマルチバースムービー

『エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス』公式サイトより

バカバカしい闘いを繰り広げるSF・アクション映画

これは文字通り!本当にバカバカしい闘いを繰り広げていくので物語の先がまったく予想つかなかったです。そこは期待していいと思います!
基本的に「さっきのアレはなんだ?」「どういうことなの?」「今の何!?」なんて考えてる時間はありません。次々とツッコミどころの多い出来事が起こるので頭の処理が追いつきません(笑)私たち観客は主人公と同じように「何が起きているのかわからない」状態になってしまうのである意味疑似体験です。
本格的なカンフーアクションも素晴らしかったです!技が決まる度にスカっとした気分になれてすごく気持ちがいいです。プロレス見てるときと同じような興奮を味わいました!

21世紀の移民の物語を通して家族愛を描く

今作はSFアクションをコメディっぽく描いていますが、移民問題や貧困層の様子を丁寧に描いたヒューマンドラマでもあります。
主人公のエヴリンはアメリカに住む中国移民で、自身が経営するコインランドリーの税金問題と、父親の介護に反抗期の娘、優しいだけで頼りがいがない夫の存在に頭を抱えて生活をしています。誰にも相談することができないエヴリンは精神的にも肉体的も限界を感じていて、家族の絆はどんどん離れていきます。
「もしあのとき祖国に残っていたら?」「移住は正しかったのだろうか?」後悔だらけのエヴリンは自身の世界とどう向き合っていくのか・・・映画を観終わったあとは「家族とは1つであり支え合うもの」と、そう思わせてくれました。ここは好みが分かれるかもしれませんが、私はすきです!

あまりに多くの別宇宙に行きすぎ、哲学的な思想を探求することになるマルチバースムービー

マルチバースでエヴリンは自身が幸せに暮らしている別宇宙の世界を見てしまうのですが、次第に「幸せとは何なのか?」「いっそ何も感じない世界で過ごそうか?」と、生きるべき世界を探求していくシーンは何だか考えさせられました。斬新でおもしろかったです。
娘のジョイが色んな衣装に着替えて登場する姿も可愛くてよかったのですが、個人的にキー・ホイ・クァン演じるウェイモンド・ワンがすごくすきでした。彼もまたマルチバースでコロコロと演技が変わる曲者なのですが、頼りないとき、頼れるとき、優しいとき、悲しんでいるとき・・・ひとつひとつの演技がとてもよくて思わず涙が出ました。助演男優賞、本当におめでとうございます👏

アカデミー賞7部門受賞したので、もうしばらく上映してくれると思います。気になる方はぜひ観に行ってください!

らゆらゆ


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