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【映画感想】Pearl パール

夏と言えばホラー映画第二弾!積極的にホラー映画を観ていきます!
提供は私のお気に入りスタジオ『A24』から。農場暮らしの無垢な女性が殺人鬼になるまでを描いたサイコスリラー物語、タイ・ウェスト監督『Pearl パール』が今回の映画感想です💃



あらすじ

1918年のテキサス州。第一次世界大戦終戦の頃、人里離れた農場にパールという女性が暮らしていました。彼女の夢はスクリーンの中で華やかに踊るスターになること。しかし、愛する夫は戦争に出たきり・・・夫の帰りを待つ間、パールは厳しい母親の言いつけに従い、父親の世話や家畜たちへの餌やり生活を強いられてきました。
ある日、父親の薬を買いに町へ出たところ、素敵な映写技師デヴィッドと出会います。これを機にパールは外の世界への憧れが募っていき、更に地元のオーディション情報も聞きつけます。夢を掴むために参加を望むパールでしたが、母親から「お前は一生農場から出られない」といさめられ、事態は思わぬ方向に―――・・・。 

A24初の三部作構成!

タイ・ウェスト監督の『X エックス』シリーズは三部作となっており、本作の『Pearl パール』は二作目にあたります。二作目は前日譚として描かれているため、主人公はマキシーンから若い頃のパールへと変更されます。
ここで驚くのが、主演が前作同様ミヤ・ゴスであることです。前作では被害者として、本作では殺人鬼として演技をしなければならず、その難易度は高いはずです。このシリーズを最大に楽しむには、ミヤ・ゴスの演技分けに注目すべしです👍
ちなみに前作、本作と田舎出身感のあるレトロっぽい衣装だったミヤ・ゴスでしたが、完結編として現在製作中の『MaXXXine』では、光沢のある緑ジャケットをまとったブロンドヘアになっており、そんな最新作にも注目が集まっている様子です📸

ただ愛されたかっただけなのに

『X エックス』でのパールはマキシーンを見て「自分と似た特別な子」と発言したり、はたまた「ブロンドは嫌い」「誘惑したから」という些細な動機で殺害を繰り返していました。このパールの言動に誰もが「何故?」と疑問に思ったはずです。その答え合わせとなる作品が、本作の『Pearl パール』になります。
このシリーズではセックスシンボルというワードが重要になってきます。セックスシンボルとは性的魅力によって人気を得る人物の総称で、マリリン・モンローが永続的な人物として有名です。マキシーンもパールもそういったスターになることを夢見る女性で、ふたりの共通点でもあります。ただ違うのは、マキシーンはそれを仕事として捉え、パールは愛されるための手段として捉えているところです。厳格な母、口のきけない父、兵士になった夫・・・愛を身近に感じられないパールは若くして「ただただ愛されたい」という一心でスターを目指し、人生が狂っていくことになります。本作を観るのと観ないのとでは、パールの印象が大きく変わってきます。

個人的な感想

前作と比べて、本作の方が私の好みでした!
というのも、私はホラー映画がすきでもグロテスクやゴア描写は苦手で、前作は観るのがちょっとキツかったんですよね・・・ですが本作は怖がらせ方が前作とちょっと違っていて、じわじわと歪んでいくパールの人格やミヤ・ゴスの狂った演技力、一言一句が命取りになるような切り詰めた空気感など、グロテスクな描写なくともホラーを感じられて、そこがとてもよかったです👍
農場に居る家畜たちがどの子も可愛いのなんの、数少ない癒しの存在でした!どの家畜たちにも女優に因んだ名前がつけられていて、前作でも登場したあのワニにはセダという名前がつけられています🐊セダはサイレント時代のセックスシンボルだった「セダ・バラ」が由来だそうで、如何にパールがスターに憧れていたのかがわかりますね。
物語終盤のパールが不満をぶちまけるシーンは長回しとなっており、ミヤ・ゴスの女優魂を感じられる名シーンでした。ラストに至っては瞬きすらしていません。最終章の『MaXXXine』ではどんな演技を魅せてくれるのか、公開されるのが待ち遠しいです!

舞台がテキサス州の田舎街であること、家族と食卓を囲むシーンなど、どことなく『悪魔のいけにえ』(1974)を思い出させてくれる作品で、スプラッター映画へのオマージュを見つけるのがとても楽しい映画でした。『悪魔のいけにえ』の恐ろしいところは、動物の死骸を解体して作ったインテリアが本物の骨であることや、悪臭漂う部屋で実際に女優の指を切ったという過酷な撮影現場でしたが、さすがにそこまでは怖く作られていないのでご安心を!夏にぴったりなホラー映画だったと思います🌴

らゆらゆ


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