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政策金利どうなる?嵐の前の静けさ、勝負は来週|株・為替相場分析(2023年6月11日)

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SQ乗り越えた日経平均、来週耐えられるか

さて、6月は先物・オプション取引の精算が重なる「メジャーSQ」であったため、SQ前の取引が非常に活発になっていました。日経平均が歴史的な連騰を記録したということもあり、普段のメジャーSQと比べてもメディアやSNSでの盛り上がりが高まっていたように感じます。

メジャーSQでは取引が活発するので、普段はこのタイミングで強烈な売り圧力が生じて日経平均が急落するということもしばしば起こるのですが、今回に限っては海外投資家の根強い買い圧力により、メジャーSQを乗り越えても日経平均はまだまだ強いままと、世界の他のマーケットと比べて日経平均の強さが目立つ展開となっています。

出典:日経新聞

1時間足(平均足)で確認すると、5月の中旬からほとんど押し目もなく上げっぱなしの相場であり、「押し目待ちに押し目なし」とはよく言ったものだと感じさせられます。
テクニカル的には、まず注目すべきなのが30,840円あたりに存在する、週足レベルで今までのレンジ上限を築いてきた強力なサポートラインです。短期的(〜1ヶ月程度)には、このサポートを割ってしまうと30,000円割れは覚悟したほうが良いかもしれません。逆に、このサポートで反発してくれるようならば、(米株や中国株との折合いには寄るものの)まだまだ強い買いが期待できるのではないかと考えています。

出典:TradingView

しかし、来週にはFRB(アメリカ)、ECB(ユーロ圏)、日本という3大マーケットにおいて、すべての中央銀行が金融政策決定会合を実施し、今後の相場を決定づける金利に関する議論が交わされます。さらに、近年非常に注目されている米CPIの発表を控えています。

日経平均やナスダック、ダウといった代表的な株価指数はここの所非常に堅調な値動きを見せてはいるものの、来週の金利動向によっては大きく相場が変動する可能性があります。特に、最近の日銀金融政策決定会合では、日経平均だけではなくドル円やユーロ円といった円のペア通貨も非常に大きな動きを見せるので、デイトレード〜スイングトレードを生業とする方には非常に危険な週となることは間違い無いです。

出典:investing.com

FOMCの利上げ織り込み状況

今後の相場を占う上で重要になるのが、「予想と比べて結果がどうか」という点です。その点を確認するために、主要3会合の利上げ織り込み状況をチェックしていきます。

まずFOMC(FRB)では、6月は金利据え置き(5.00-5.25%)、7月に利上げ(5.25-5.50%)、9月は据え置き(5.25-5.50%)、その後は徐々に利下げを行うという利上げ織り込みになっています。つまり、来週の6月会合で現状の金利から利上げを行うような会合結果となれば、米国のインフレはまだまだ根強いと判断され、株安・ドル高方向への流れが一気に出てきます。

ただし、基本的には現状維持の織り込みを支持するべきであり、その場合には会合結果が発表された瞬間は相場に大きめの変動があるかもしれませんが、時間が経てば値動きが収束していわゆる「無風通過」の状態になる公算が大きいと見ています。

毎回の会合で重要になるのは、決定された金利よりもパウエルFRB議長の会見です。前回のFOMCでは、(パウエル議長が元々ハト派だったこともあり)今後の利上げについて「必要であれば行うが、基本的には利上げの回数はほとんど残っておらず、利上げの打ち止めを考え始めているという内容が示唆されました。

FOMCメンバーの中でも意見が割れており、銀行破綻やインフレデータの収まりを観測できたとしてもまだまだ利上げが必要とするメンバーや、既に金利は十分な水準に達しており、これからは利上げの停止を議論すべきだ、と発言しているメンバーもいます。この辺りについては去年と状況が異なり、「利上げを継続するor停止する」という重大決断を迫られている場面なので、意見が割れるのは当然のことかと思います。

ECBは7月で利上げ完了観測

こちらはBloombergの観測記事になりますが、ECBは6月と7月に0.25%ずつ利上げを行った後、1年近く金利水準を据え置くようです。

したがって、FOMCと比べればまだ利上げ局面が続くものの、中長期的にはユーロ圏の金利上昇圧力は低下していくので、直近で続いているユーロ高局面はそこまで継続しないという見方ができます。

短期の目線で見てみれば、アメリカは利上げを後1回残すのみなので、後2回の利上げを残すユーロ圏と比較した場合、ユーロ>ドルという強弱関係が発生する可能性が高く、1ヶ月程度はユーロ/ドル相場に上昇圧力が働くことなどが考えられます。

出典:Bloomberg

日銀はしばらく金融緩和維持の観測

さて、日銀の会合にはここ数年ほとんどスポットライトが当たらなかったのですが、直近の相場では日銀会合で相場が荒れるという状況が続いています。

ごく直近の相場でいうと、前回の日銀会合ではYCC政策の修正期待が高まった結果、政策自体は金融緩和を維持するだけだったにも関わらず、ドル/円は前日比約+2.6円となり、普段のドル円相場からは考えられないボラティリティーを記録しています。

ただし、今回の会合では前回のようにYCC政策の修正期待が高くはなく、さらに日銀の植田総裁が物価上昇率の目標である2%にはまだまだ遠いと発言していることから、政策の現状維持の期待値が非常に高いです。したがって、実際に現状維持の発表が出たとしても、前回のような強烈なボラティリティーは発生しないでしょう。

出典:ロイター
出典:ロイター

米マーケットは危険水準に到達

さて、主要3会合の織り込み状況や展望について考察したところで、気になる点をピックアップしたいと思います。

それは、米株の需給を表す指標である「Fear & Greed Index」指数が「Extreme Greed(=強烈な買われすぎ)」の水準に到達していることです。

出典:CNN

このFear & Greed Indexを時系列で見てみると、Extreame Greedの水準に到達した後には、米株には強い下落圧力が働いてきました。つまり、今回もFOMCや米CPIの発表をきっかけとして、米株に大きめの調整が起こる可能性が高まっています。

もちろん、今年が始まってからナスダックやダウといった主要株価指数は非常に強い動きを見せていることから、買われすぎであってもこのまま上昇を続けていく可能性はあります。

しかし重要なのは、株価は上昇すれば必ず下落するということです。この半年の強い上昇によって、多くの投資家は利益を得ているはずであり、投資家も人間ですからどこかで必ず利益確定をしたくなります。

そのタイミングを測る指標としてFear & Greed Indexは有用であるため、ここからの調整には十分注意していきたい所です。

出典:CNN

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