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個として生きる/名乗ってしまえ、クリエイターだと。アーティストだと。

■個として生きる人

最近気付いたが、異国で長年、流浪の身で仕事してる人は、かなりの打率でかっこいい。

わざわざ海外へ出てるって時点で骨のある人が多いのに、更に、会社を転々としていたり、自分で商売を始めている人は、ますます骨がある。

「個を曲げないこと」に心血を注ぎ、自分に合う場所へ移る苦労をいとわない。

ホーチミンにいると、日本にいた時より、かっこいい大人を見る率がすごく高くなってる。



この前会った魅力的な板前。

東南アジアを転々とし、5ツ星ホテルのシェフや日系レストランの料理長を経て、ついにベトナムに自分の店を開いた。

「どの土地が一番向いていましたか」と聞いたら、
「どこでもいいっすけど、雇われるのは辛いっすねー」と苦笑した。
場所じゃないらしい。

そんな彼はもう70近いのに、記憶が明瞭で、話がめちゃめちゃ具体的。西暦や日付も全部出して語ってくれる。

「刻み込んで生きてるんだなー」
「だから全部覚えてるんだな―」
と思った。

下手したら自慢になっちゃうような内容でも、茶目っ気によってチャーミングなノリで話してくれる。
「偉そうじゃないおじいさんって貴重だな。」
「(自慢したいのでなく)、心の底から『いろいろあって今こうなったんですよ』という話がしたいだけなんだろな」
と思った。

本当に誇りがある人は、驕らないし、謙遜もしない。

■「個として生きる者」として名乗る

私をその店につれてきたホーチミン先輩クリエイターは、板前と旧知の仲なので、二人がメインで話し、私は聞き役だったのだが。
ふと先輩が私を指して「この子、作家なんですよ」と言った。

先輩はいつも、私を人に紹介する時そう言う。
正直違和感は感じるが、私はいつもニコニコ、まごまごしながら、黙って頷く。

そういえば、その先輩と初めて会った時も、「へえ~あなた作家なんですか」と言われて、にこにこ、まごまごしながら頷いたのだった。
そうしたら後日、
「私は、あなたを、あの時ちゃんと覚えた。あの時謙遜しなかったから」
と、言われたのだった。

店を出た後

「私が板前を好きなのも、板前が数年ぶりでも私を覚えてくれてたのも、個として生きる者同士だから」
「板前も、もうあなたを覚えたよ。『作家』と聞いて興味深そうにしてたから」
「『作家』と言われても、謙遜せず堂々としてて偉い」
と言われた。

確かに板前、私が作家だと聞いてから随分にこにこしだして、
「ちょっと離れたところに、海沿いのいい感じの民宿があって、そこで書いたら絶対はかどりますよ」
なんて教えてくれた。

先輩いわく
「個として生きる者は、仲間が来ると嬉しくなっちゃうんだよ」
「だからすぐ打ち解けられるし、久々に会ってもブランクを感じさせない」
そうだ。

■自分で自分の肩書をつける

ところで私は作家なのか? 小説家なのか?

正直、いくらでも逃げ腰な言い訳は思いつく。「有名じゃない」「それだけで食えてない」「本を出したわけじゃない」。

でもじゃあ逆に、本を出したら作家か? 何万円稼いだら小説家か? どのぐらい有名になればアガリなのか? 

それって結局自己申告だ。

だからまず、思いっきりハードルを下げちゃおう。
一文字書けたら、一円稼げたら、一回作品を表に出したら、名乗ってしまおう。
自分に肩書というプレゼントをあげよう。

はずかしい?ダサい?気が引ける? そう思ってることこそダサい。

「いえいえ」とか「まだ駆け出しで」とか「普段は派遣の事務やってます」とか言うと、話止まらない?

せっかく相手がその面白そうな肩書に身を乗り出してくれたのに、話の出鼻をくじく感じしない??

言っちゃえよ、「作家です」と。「フォトグラファーです」と。「画家です」と。

アートで他人に呪文をかける魔法使いになりたいんだから、まず自分に魔法かけないでどうする。

当たり前だが、アーティストはアーティストが好きだ。
個として生きる人間は、個として生きる人間が好きだ。

あなたが個としての肩書を名乗った時、相手もまた個としての肩書を教えてくれる。
呪文によって、自分と他人の心の扉が開く。

だから、謙遜はやめよう。魂の職業を言おう。堂々と名乗ろう。自分はクリエイターだと。アーティストだと。



以下、購読者おまけで私の話。

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「個人が、能力、欲望、想像力をのびのび発揮し、やりたいことを好きにやることが尊重される世界」「創造(特に芸術の創作)をすることが当たり前で、やればやるほど『いいぞ!もっとやれ!』『そのことによりあなたは更にあなたらしくなるし、人生全体にもっと良いフィードバックがある!』と推奨されてる社会」これが私の理想(レヴェリー)で、これに寄せてく文章を大量投稿します。なるべくリアタイで読んでほしいので、定期購読が圧倒的にお得な値段設定。「👆こういう世界、いいな~」と思った人は是非おさいせん(333円)を。

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