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ベンゾジアゼピンの減薬方法_07_お薬を何に溶かすか

(この記事の内容は私個人の知識・経験・得られた情報に基づく考察であり、減薬をされる方全員にとっての正解を示しているものではありません。お一人お一人にとって最善の方法を見つけるための参考としてご覧いただけましたら幸いです。)

別の記事に書いたように、私は、精密な減薬をするためにお薬を液体に溶かすことにしました。

お薬を液体に溶かす場合、どんな液体に溶かすのかが問題になります。
結論から言うと、私は、最終的にお薬を水に溶かしました。
一番手に入りやすく、扱いやすかったからです。

しかし当初は、お薬を粉砕してお湯に溶かしていました。
そうすれば一番容易にお薬が溶けてくれるだろうと思ったからです。
体調が非常に悪い中での作業ですので、なるべく短時間で調剤をしたいという気持ちがありました。

しかし、調剤を毎日する中で、粉砕する必要性も、お湯に溶かす必要性も無かったことに気付きました。
粉砕しなくても、すんなりとお薬は溶けましたし、水でもお湯でも溶け方に違いが無かったのです。

確認のために、お薬を粉砕せず、錠剤のままお湯と水に入れた実験をお見せします。
沸騰したお湯と水を100mlずつ用意し、マイスリー5㎎錠を1錠ずつ、錠剤のまま入れて、5分後、10分後の変化を観察したものになります。

お湯と水に錠剤を入れて静置5分後

5分静置後

お湯でも水でも、撹拌せずに静置しているだけですでに形が崩れています。

マドラーで撹拌します

5分後 撹拌

両方とも一部が溶け残ります

5分後 撹拌後

さらに、5分間静置したところ(錠剤を入れて10分後)、
特に変化はありません。

10分後

ここでもう一度撹拌します。

10分後 撹拌
10分後 撹拌後

お薬を入れて10分後に撹拌すると、お湯と水両方とも完全に溶けました。

このように、溶ける時間はお湯と水で違い無く、お湯の方が早いというわけではありませんでしたし、粉砕しなくても10分もあれば溶けてくれるのでした。
また、私が最終的に使っていた、スターラーという液体を撹拌する機械でお薬を溶かすと、水に錠剤のままマイスリーを入れて、5分で溶解させることができました。

5分、10分を長いと感じられる方もおられるかもしれませんが、実際のところ、お薬を粉砕して計量カップに入れる作業は、調剤の過程の中で最も失敗が多く、調剤を初めからやり直さなければならない一番の原因になっている部分でした。
失敗した場合の、お薬や時間・労力などの浪費を考えると、錠剤のまま水に入れて10分待つというのは、私にとってはお薬を粉砕するよりもずっとメリットの多い方法でした。
調剤の一番初めにお薬を水の中に入れてから他の機材の準備を始めるなど、手順を工夫すれば、まったく気にならない時間でした。

お薬によって溶けるまでの時間や溶けやすい温度は違うと思うので、お薬の種類によってはお湯の方が良かったり、粉砕した方が良かったりする場合もあると思います。

しかし、私のように、無駄にお薬を粉砕したり、お湯を沸かしたりする工程をしてしまわないために、初めの段階で、粉砕する・しない、お湯にする・しないというバージョンで試してみて、最適な条件を見つけられると良いかもしれません。

もう一つ、お薬を溶かす液体の候補として牛乳が挙げられていることもあるかと思います。
ベンゾジアゼピンは脂溶性の物質ですので、本当の意味で「溶かす」ためには脂質が必要だという観点から、牛乳を使うという結論に至るのかと思います。
私は、様々な観点から、牛乳を用いる方法は自分には合わないと感じたので、採用しませんでした。
理由は以下のようになります。
減薬に必要なのは、「均一に広がった状態でお薬のかさが増えて、少量のお薬が扱いやすくなる事」(分散すること)であって、「化学的な意味で何らかの物質に完全に溶け込むこと」(厳密な意味での溶解)ではありません。
従って、必ずしも脂質の含まれた液体にお薬を溶解する必要は無いと考えました。
また、お薬を脂質と一緒に摂取することで吸収などの薬物動態が変化することも考えられます。
さらに、私のように何年もかけて減薬を行う場合、何百日どころか何千日もの間、毎日欠かさずに牛乳を手に入れる事ができるかどうかについても考える必要があります。
私の場合は症状が重く、自分で買い物に行くことができません。このため、賞味期限の短い牛乳を、人に頼んで常に準備しておく事は難しいように感じました。
また、私の場合、内服する一日前に調剤をするサイクルになっていましたので、腐敗の可能性など、保存の点でも心配な気がしました。
実際、調剤をするところを想像すると、牛乳は濁っているため、お薬が完全に溶け切ったかどうかの見極めが難しいとも思います。水やお湯に溶かす場合でも、よく混ぜないと底に溶け残っていたりするのですが、そういった事の判定をどうするのか、少し疑問に感じました。
このため、お薬を溶かす溶媒として、牛乳は選択しませんでした。

なお、溶かす液体によってお薬の状態や吸収のされ方などが変化する可能性がありますので、お薬を溶かす液体は、今日は牛乳で明日はお湯・・などとするのではなく、牛乳なら牛乳、お湯ならお湯と、毎日固定する方が安全かなと思います。

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