Ray

きままに小説書いてます

Ray

きままに小説書いてます

マガジン

  • 堕天使リスタの気まぐれ夜明かし

    悪魔と天使と堕天使と悪魔払いと天界剣士! トーキョー。 そこは最もカオスな街であった。 天界を追放された天使リスタは堕天使として羽をもがれて、人間界に堕とされる。 そこは地球という星の中のトーキョーという街であった。 たまたま夜の公園を散歩していた普通のOL、山村レイナに出会ったリスタは彼女の家に寝泊まりすることになるが……。 トーキョーの町を舞台に悪魔に、天使に、堕天使に、悪魔払いに、天界から来た謎の剣士など、ありとあらゆるおかしな奴らが暴れ回るバトルアクションコメディ!

最近の記事

第4話

朝のニュース番組が流れていた。 寝起きのまま、ソファの上でレイナはぼーっとテレビを見ていた。 しばらく思考が働かない。 昨日のことがまるで夢だったのではないだろうか?と未だに思ったりする。 レイナは寝ぐせの付いた頭をくしゃくしゃと掻き回す。 (ちょっと待って……私………本当に何してんだろう?) レイナはふと我に返って思った。 公園から突如降ってきた流れ星——、と思ったそれは裸の青年で。 その青年は今私の部屋で寝ていて……。 さらにその男は元天使で。 じゃあ今は何? 「…

    • 第三話

      「わからない?……なんで?記憶がないって事?」 「うん……気が付いたら堕ちてたし」 「じゃあ堕ちる前のことは?覚えてる?」 「ええと……飯食って……風呂入って……リアナの家で寝てて……」 「ちょっと待って」 「ん?」 「リアナって誰?」 レイナがリスタの顔を覗き込むように見つめていた。 「え……友達」 「友達?……どういう関係?」 「どういうって……ただ……仲がいいだけだけど」 「……ふうん」 レイナはしばらくしてハッとした。 (私、どこで引っかかってんだ?……なんで

      • 第二話

        「ええっと……もう一回聞くよ?」 「うん……ふああ」 あくび混じりに眠そうにリスタは答えた。 レイナは隣に座るリスタに向けてもう一度質問した。 「リスタは上から来たって事?……それって……ええっと……つまり空の上って事?」 「うん……にゃむ……そゆこと」 首をコキッコキッと鳴らしながら、リスタは肩の力を抜きながらそう答えた。 レイナはリスタの言っていることが信じられなかった。 でも——。 先ほどまでの流れ星。 公園にあいた大きな穴。 そして裸の青年……。 信じられない

        • 第二章 リスタの奇行

          第一話「明日の天気は午前中は晴れでしょう……——その後、夜にかけて少し雨が降るかもしれません」 夜のニュース番組がテレビで流れている。 白湯の入ったコップを両手で持ちながら、レイナはソファの上に座ったまま、テレビをボーっと見ていた。 やがて、シャワーを浴び終わったリスタがリビングにやってきた。 上下青いジャージ姿のリスタはバスタオルで茶色い髪を拭きながら、ヨタヨタとレイナのところまで歩いていく。 「ふう……」 といって、リスタはレイナの隣に座ると、持っていたバスタオルを

        第4話

        マガジン

        • 堕天使リスタの気まぐれ夜明かし
          8本

        記事

          第五話

          「……」 レイナは立ち止まってしばらく目を閉じた。 暗闇の公園の中でゆっくりと深呼吸してみる。 疲れすぎて幻覚が出たのだろうか? それにしても流れ星からの裸の男はおかしすぎる。 てか流れ星?落ちてきたの?なんで? え?男?裸? え?チ〇コ? ——だめだ。 思考が雪崩のように流れ込んでくる。 レイナはまったくリラックスできずにいた。 そして気が付けば、後ろを振り返っていた。 公園の中央の方にはやはり、大きな穴がまだあった。 レイナはその穴をしばらく眺め続けた。 (なんで……

          第五話

          第4話

          赤白い大きな炎——、それは公園の中央で発火していた。 夜の公園はたちまちにその大きな炎で照らされている。 レイナは口をあんぐりとしたまま、突っ立ったまま、動けなかった。 キャンプファイヤーでもここまで明るくはならないだろう。 しかし、その炎は、思いのほか、すぐに弱まっていき、たちまちに小さくなっていってしまった。 やがて炎が消えてしまうと、発火していた場所からは白い煙が霧のように出ていた。 夜の公園はまた暗さを取り戻す。 レイナは、大きな眼をパチパチと瞬きさせながら、その白い

          第4話

          第3話

          「は……それ……本気で言ってる?」 「うん……ごめん……だから俺のことは……もう忘れてほしい」 「え……ちょちょちょっと待って……好きな人って……誰よ?」 「いや……お前に言っても知らないやつだから……」 「……あ、そう」 レイナはだんだんスマホを握る手の力が抜けてくる感覚を覚えた。 缶ビールを握っている左腕の手首にかかったコンビニの袋さえ、重く感じた。 その袋にはつまみに買った唐揚げが入っていた。 その唐揚げの重みが、レイナの左腕の手首を圧迫しているのだ。 レイナはスマホ

          第2話

          トーキョーの夜空を赤白く発光した流れ星が勢いよく流れていた。 よく見ると、それは流れ星ではなく、天界から堕とされた天使リスタであることは誰も知らない。 高速で落下していくリスタの体は大気圏を突入してから、真っ赤に発光しだした。 いくら天使の肉体とはいえ、高速で落下していく衝撃に体が燃え上がっていく。 リスタの着ている白い布の服はたちまちに燃え上がってしまった。 そして背中についていた——その立派な白い翼にも勢いよく炎が付き始める。 その翼についた炎は一度着火すると、次々とその

          第1章 堕天使リスタ

          第1話 「おい、ちゃんと持て!ドーラル!」 「け、けどよお、ミンタス……ほんとにいいのかな?こんなことしちゃって」 二人の男天使たちは白い雲の上で何かを運んでいる。 男天使たちの背中には白くて大きな翼がそれぞれついている。 せっかちで口の悪いミンタスと、その子分のように言うことを聞く大柄なドーラル。 ミンタスとドーラルが運んでいるのは一人の男天使、リスタだった。 ミンタスとドーラルは白くて大きな布を二人でそれぞれ両端に持ち、その上にリスタを乗せて運んでいる。 リスタは目を

          第1章 堕天使リスタ