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魂の灯 -90- #ppslgr

「何度吠えようと無駄、無駄なんだ!」
「無駄じゃねぇ!」

暗黒虚神の振り上げたる右腕の、肘関節をキャノントンファーが打ち抜く!
衝撃にひるみ右腕がへし折れるのを待たずに、トンファーによる殴打、殴打、殴打!虚神の胴に、腹に、頭部に流星雨めいたクレーター痕が生じる!

「オラオラオラオラオラオラオラオラ!」
「ぐぬぅ……!」

ねじ曲がる躯体を強引に修復し、虚神は手にした大鉈を振り上げる!だがまたも巨神が早い!内側から外へ振り払われた一撃が、大鉈の刃先を撃って外部へとそらせば、続いて砲塔を飾る右膝が虚無暗黒のみぞおちに突き刺さる!

「キャノンニーインパルス、ゼロ距離、いけぇ!」

轟音と同時に、暗黒虚神の腹は黄昏空を透かし見えるほどの風穴を空けてのけぞる。なおも修復を行おうとしたその時、少年は異変に気づいた。

「馬鹿なっ、修復が遅い……⁉」

今まではまるで動画の逆再生じみた修復速度を誇っていた虚神の身体は、今や子供の粘土遊びよりも粗雑に、薄い層を少しずつ盛る程度まで減じていた。歓喜の雄叫びを挙げるバティ。

「やりやがった、アイツやりやがったぜイシカワ!」
「おう、粘ったかいがあったってもんだ」

―――――

場所は変わって、東京都心!時刻は一分を遡る!

「オッホッホッホッホ、稚拙、無力でおじゃるのう!凶鳥とやら、麿の素っ首を落とすのではなかったか?」
「有言実行だ、待ってろ」

暗黒のドーム状鳥かごの中、密集し襲いかかる恐るべき触手群の殺到を、黒騎士機は打ち斬り、薙ぎ払い、突き落とす!猛禽類よりも鋭い空中ターンををもって、暗黒十二単衣をまとう巨大無貌麿の首元へと踏み込んだ!

「南無散ッ!」

ずるり。高速度分解視を可能とされる方であれば、漆黒の巨人が恐るべき空中飛行踏み込みによって襲いくる暗黒触手をかいくぐり、麿の首を居合でもって切り飛ばしたのが確認出来たであろう。首なしとなって胴を震わせ笑う暗黒麿!

「オホッオホホホホ……大した業前でおじゃるが、この程度我らにはなんの痛痒も……なに?」

修復しない。首が生えない。
暗黒麿の体表を宇宙の星々めいて点灯させていた命の輝きは今やなく、のっぺりとした墨汁が広がるのみ。

「いない……⁉喰らった都民が、一人のこらず……!そんな、そんな馬鹿な事が……!キッ、貴様ーッ!」

暗黒ドーム鳥かごの周辺が、フィルムをずらしたかのごとく白くそまった。
あたり一帯はもはや東京都心ではなく、得体のしれない雪が降り積もる一面の雪原であった。

「待たせてしまったね、都民全員を一度に移動させるのは流石にちょっと手間がかかってしまったよ」
「なぁに、この程度、親父のシゴキに比べたら子供の駄々よ」

いつしか、黒騎士の右隣に姿を現したのはまさしくまほろばではなかったか。不可思議な湾曲装甲、その背には数多の剣めいた翼を負い、頭部を球面マスクで覆ったその魔神の姿は!

「都民全員、無事に救い出すのはなるほど俺には出来ん。なら出来る奴に頼むだけさ」

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