見出し画像

魂の灯 -59- #ppslgr

「クッソ!大惨事じゃんか!正気かよアイツ!」
「正気ではあるんだろうよ、ヤツの中ではな」

「社会性かなぐり捨てるのはオレは無しだと思うね!」

庵から飛び出した三人を出迎えたのは、まるでダークなゲームのラストダンジョンめいた変貌を遂げた商業施設だった。元より過疎エリアとはいえ、紛いなりにも人工物で構成されていた通路は今や暗色の肉に覆われ、床も脈打つ何がしかが縦横無尽に行き交っている。

それでも、それらの怪異は人間を取り込む程の力は持っていないのか、バティの靴底が接触しても夏のアスファルトに落ちたゼリーの様に溶け砕けた。その様子に顔をしかめるバティ。

「ノア、状況ってどんな感じ?」
「いきなりの襲撃だったから、少なくない人がアイツに取り込まれちゃってる……無事だった人たちは、警備員さん達とAIで連携して中央区画に誘導しているわ。あそこなら今のとこ侵食されてないから」
「りょーかい、悔しいけどやれることをやろう」

過疎地とあってか、姿の見えなかった怪物達も三人がメインストリートに向かった途端に遭遇する。その姿は、黒毛の毛むくじゃらなかまぼこ板に、節くれだった四肢を生やし側面に暗闇の中より瞬く光る目を備えた代物だ。それが数体通路を占有し道を塞いでいる。

「そーりゃーいますよねこの状況じゃ!」
「できるだけいないルートをナビゲートするから、従って!」
「そいつは頼もしい。もっと早くはじめてくれたら満点だったな」
「ごめんなさいねー、私こういうの不慣れなもので!」

軽口を叩き合いつつも、パルプスリンガー二人はオリンピックアスリートもかくやの踏み込みで片足を振り上げた黒かまぼこ板へと迫る!バティの顔面へと怪物の足が振り下ろされたかと思えば、足はピザめいて四分割からはねのけられ、続いて奥まで足先が切り裂かれる!

「そう安々とやられてたまるかーっ!」
「木偶の坊、足元がお留守だぜ」

ひゅぱん、と上半身を支えていたもう片足がイシカワの蹴り払いで宙へと浮かび、かわりにかまぼこ板の上半身が床へと重力に従い落下!
かまぼこ板の胴体を待ち受けていた二人、バティはマチェットを突き出し、イシカワは拳銃を突き上げてゼロ距離発砲!本体を直に裂かれ撃ち抜かれたかまぼこ板は無残に反対側へと吹き飛びながら転倒し、同族を巻き込み道を拓く!

「こいつら飛び越えて、突き当りを右なんだけど私には無理そう!」
「バティ」
「へーい」

俺はやらんぞというニュアンスを一言で伝えたイシカワに対し、バティは渋々ノアをお姫様抱っこ。何度触れても本物それそのものなのでとても気が気じゃなくなりそうだが、そんな事を言っている場合でもない。

「飛ぶよ、つかまって!」
「仕方ないけどつかまってあげるわ!仕方なしだからね!」

漫才と共に、バネじかけのブリキ細工もかくやの跳躍力を見せて、もがくかまぼこ板共を飛び越えるバティ!続いて、イシカワも飛び越えながら怪物共を撃ち抜き止めを刺していく!

【魂の灯 -59-:終わり|-60-へと続く第一話リンクマガジンリンク

弊アカウントゥーの投稿はほぼ毎日18時更新!
ロボットが出てきて戦うとか提供しているぞ!

#小説 #パルプスリンガーズ #毎日更新 #毎日note

ドネートは基本おれのせいかつに使われる。 生計以上のドネートはほかのパルプ・スリンガーにドネートされたり恵まれぬ人々に寄付したりする、つもりだ。 amazonのドネートまどぐちはこちらから。 https://bit.ly/2ULpdyL