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イドラデモン・アニヒレイト -30- #ppslgr

「で、どうするの?イジメるのはちょっと趣味じゃないかなーって」
「任せとけ」

スマホを手に取る。異常空間の割りにはちゃんとここまで通信が確立していた。もっとも、連中の力の源を考えれば遮断する訳にもいかないのだが。

普段ほとんど使わない通話機能を立ち上げると、目当ての所へと連絡する。相手はすぐに着信を取った。

「ドーモ、俺です。はい、例の互助団体の尻尾がつかめました。構成員のアカウントを指定するんで精査お願いします。取り急ぎアカウント削除もよろしく」
「アアーッ!?ヤメテクレーッ!」

ゴムまりの様に跳ねて抗議する一抱えサイズの生首を足蹴にしつつ、先方へ必要な情報を伝える。通話中に平行して作業されていたのか、ほどなくして生首の姿は霞の様に掻き消え元の胡散臭い神父に戻ってしまった。

「?どゆこと?」
「サポートに連絡してアカウント削除してもらった」
「貴様ーっ!人の苦労をあっさり踏みにじるとは人の心はないのか!」
「黙れサンシタ。大体互助行為は即日アカBAN対象で、お前だけが特別扱いされた訳じゃない。神妙にしろ!」

同時に、いまだ周囲を取り囲んでいた連中もバタバタと倒れ始める。大方下の自我漂白された連中同様、洗脳状態にあったのが解けたのだろう。
だが、O・Mはまだ納得がいかない様子だ。

「アカBANされたのは良いんだけど、それで無力化するのがわからないとこ」
「魔法陣ってのあるよな」
「うんうん、それはわかる」
「ものすっごいざっくり例えると、コヤツラはNoteのサイト構造自体を魔法陣として活用してたっちゅーとこじゃな」
「エーッ!?そんな事出来るんですか!」

大げさに驚いて見せるO・Mに対して、がくりとエセ神父が肩を落として座り込む。このリアクションからすると、ビンゴといった所か。

「大方アカウント同士の繋がりを陣として代用し、スキの送り合いで回路の信号を機能させたってとこかの。何せ物理施設に紐づいた巨大ネットワーク構造じゃ。空き地や廃墟にちょろっと書いた魔法陣などとはくらべものにならん力を持つじゃろう」
「ソーシャルネットワークサービスを回路代わりに陣を張るとは、中々いいアイデアだな。もっとも、サービスの管理権限までは露呈を恐れて手を出せなかったのが運の尽きだが」
「ほいほい、アタマデッカチ共の長ったらしい解説はそこまで」

平然と俺達の言動を遮った老婆は、微塵もぶれる事なくまっすぐにライフルを神父へと突き付ける。明瞭な死神の姿に、神父は今にも失禁しそうなほど震えていた。

「大人しく次のルートを吐きな。死んでまで尽くす義理はなかろ」
「吐きます!吐きますから、後生ですからお助けください……!」
「案内しな。ワナに誘ったら真っ先にアンタを叩き落す」
「従います!」

腰を抜かした神父を蹴り上げると、老婆は危うく巻き添えになるとこだった老夫婦にウインクして見せた。続いてJ・Qも一言付け加える。

「事が済んだらワシんとこにくるがええ。こんなクソショーもない詐欺カルトじゃなくてな」

【イドラデモン・アニヒレイト -30-:終わり:その-31-に続く

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