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イドラデモン・アニヒレイト -4- #ppslgr

「そっちはここの所のボット大増産について、何かご存知?」
「いや、全くだな」

「そう遠くはなかろう、という事でこれから調査に行く所よ」

俺達の状況を聞いたO・M女史は自身のアゴに利き手を当てては人差し指で頬をタップしつつ思案してみせた後、決断的に口を開いた。

「よし、私もついていきます」
「んむ?こちらは構わないが……」
「そちらはボット掃除の手は足りるのかの?」
「大丈夫、だって」

会話を断ち切ってギャリギャリギャリ!ゴキゴリゴキッ!というどう聞いても惨事しか思えない音がオシャレなカフェの店内から轟いたかと思うと、またもやノシイカの様にのっぺりとプレスされた残骸が叩きだされて、通路の床に転がった。

「他にも対処できる人はいるから」
「デス・ローラー……」
「それに、だ」

新たに割って入った声に対し、バー・メキシコの方へ振り向くと一つ目アイコン覆面の偉丈夫プロレスラーが、ボットを肩に仰向けに抱え上げて弓なりにへし折るアルゼンチン・バックブリーカーを決めながら歩み出てくる。
まるで割り箸でも折るかの様な容易さでボットを真っ二つに折り捨てたプロレスラー、H・Mは首を鳴らしながら続きを言った。

「事はもう溜まり場一か所だけの問題じゃなくて、ここ全体の問題だろ。だったら対応出来るヤツが他所にボランティアするしかあるめぇ」
「そうだな、であれば俺達三人が少数精鋭で出所を調査、他のメンツはここに残ってボットの駆除と撃退だな」
「おうよ、任された」
「ありがとう、逞しいレスラーさん」
「お、おう。お向かいさんも頼んだぜ」

スカートの端をつまんでちょこんとカテーシ―を見せるO・Mに対し、H・Mは少々ドギマギした様子を見せる。

「そうと決まれば、出発しよう」
「うんむ」
「はあい」

彼女は手にした紺のベレー帽をかぶると、俺達の間にならんだ。黒白黒で凸凹凸とした並びは如何にもアンバランスで、黒二人の胡乱さをより一層引き立てるという物だった。

「夜までには片付けてくれや」
「あいよ、そう簡単に済めばいいんだがな」

またもバーに入り込もうとしたボットを流れる様な動きのヘッドロックで首をねじ切ったH・Mに見送られながら、俺達三人はまずボットの流れをたどってNoteのどの入り口から流入しているか探る事にした。

「そういえば、ボットに紐づいている特定のアカウントとか、ないの?」
「洗ってはみたが、ちょいちょい運営によるアカウント削除と、再作成を繰り返してるのかいまいち判然としない」
「そうなると、ますますおかしいよね」

整然とした商店街めいたストリートを、ボットが歩いてくる方を辿っていく。Noteの区画内には申請さえ通れば特定のテナントを設置することが出来、バー・メキシコもそんなパルプスリンガーのたまり場として用立てられた施設だ。当然、同様のテナントはずらっとストリートに軒を連ねており、俺達がこうして歩いている間にも挙動不審なボットが各店舗に入り込んでいっている。

「そこなんだよな、一個人に認知を集約させるならたびたびアカウント削除を受けてたら非効率的なんだが」
「じゃが、実情としてはこうしてボットが闊歩しちょるって訳だ。成果があるかはさておき、止めなければなるまいて」

【イドラデモン・アニヒレイト -4-:終わり:その-5-に続く

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