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戦艦でマグロを釣りにいくんですか?おかしいと思いませんかあなた?-6-

「しかし、肝心の場所についてはノーヒントだな。どうやって見つけた物か」

 思案を巡らせる俺にA・Dが自身満々に胸を張る。フムン、戦艦でマグロが見つかるなら怪物くらい手だてはあるか。

「そっちは俺に任せろ」
「何か算段が?」
「こちとら海の男だぜ?俺と、この武蔵にかかればやりようなんぞいくらでもある」
「オーケー、なら俺は自分の乗機で待機するぞ」
「おう、通信だけつなげてくれ」

 彼にうなずいて答えると海風の吹きすさぶ中、後方の愛機へと向かう。空はいつしか快晴から暗雲が垂れ込め、わずかに陽の光が差し込むばかりのうすぐらい天候へと移ろいでいた。歩きながら、手元の情報端末をいじくりまわす。端末は淡々とマグロの末期を繰り返した。わかってはいるが、脳が中々現実を認識しようとしない。修行不足だな。

ーーーーー

 コクピットを開き、シートに飛び込む。俺の搭乗を確認し自動的にコクピットが閉じると3Dモニタが展開、周囲の光景を俺に伝えてくる。目の前のタッチコンソールを操作し武蔵の艦橋にいるはずA・Dへと通信をつなげた。

「で、ソナーの反応はあったか?」
「おうよ、割と近い。が、滅茶苦茶デカい」
「デカい?」
「ソナーから得たデータだと幅1キロメートルはくだらないサイズだ」
「そいつはデカい」
「こんなもんが今までどこにいたんだろうな?」
「さあな、海の規模なら一キロの球体でもBB弾みたいなもんだ、いくらでも隠れようがある」
「確かに」

 状況を聞き取りながら乗機の起動シークエンスを行う。居るか居ないかわからんバケモノ探しかと思いきやほとんど目の前にいるとは。この前の黒いバケモノといい、ブッダは俺にバケモノ退治させる気しか無いようだ。

「で、どう釣る?主砲じゃ流石に海中までは砲弾が届かなそうだが」
「安心しろって、今時爆雷も無しに海戦に出られないっつの」
「対潜装備も充実してるとはいたせり尽くせりだな」
「おう、なんせ乗員俺だけだからな、何でも積み放題よ」
「頼りになるこった」

 コクピット内のコンソールがバックライトを点灯させ、機器を浮かび上がらせる。俺の感覚は既に乗機である黒い騎士と半ば同調し、駐機により縮こまっていた機体を立ち上がらせた。後方に乗っていた機動兵器が空中に浮かび上がっても、武蔵の艦体バランスは保たれたままだ。

「いいぞ、こちらはいつでもいける」
「よし、奴さんは目の前だ。爆雷をたたき込んで水上に叩きだしてやる」

 乗機に搭載されたカメラによる視覚情報を武蔵側と同期、これにより相互の得ている視覚情報がサブモニタに映し出される。

 既に爆雷は武蔵の艦体から多数射出されており、前方の海面へと水柱をあげながら着水、海中へと没していく。刹那、爆雷が起爆するよりも早くソレは姿を海中より現した。

 大量の海水を巻き上げ、爆雷の爆風をはねのけながら上昇してきたソレはわかりやすく説明するなら大量の触腕を持った海色の海月だ。ただし、サイズは事前にソナーに写った通りの超特大サイズ。触腕はフリル状ではなく水道につなげるホースを透明にしたような代物で、触腕の内部を今もマグロがストローで吸われるタピオカめいて胴体に吸い込まれていた。

「砲撃開始!」

 俺の眼下でA・Dの号令に答えて武蔵の主砲が回頭するとオバケクラゲへと正確に照準を合わせ、クラゲの周囲を回り込みながら46cm三連装砲が咆哮をあげた。

【戦艦でマグロを釣りにいくんですか?おかしいと思いませんかあなた?-6-終わり:-7-へと続く

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