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魂の灯 -5- #ppslgr

「行方不明者が増えているのは、Note内であって、それ以外の周辺施設では発生していないのか?」
「最後の足取りさえつかめていないのですが、今の所、周辺施設での行方不明者は発生していないそうです」
「やれやれ、また面倒な事態になりそうだ」
「出来るだけ、こちらで解決出来る様に尽力いたします」
「ああ、いや、必要なら俺も手は貸すさ。もっとも管理AIでさえ捕捉できないとなると、こっちが出来るのは精々、運良く現場に居合わせたら取り押さえる、くらいか」
「無理はなさらないでくださいね」
「おうとも」

バティが考え事をしている間に、レイヴンとノートはどんどん話を進めていく。ただし、現状でこちらから積極的に出来る事は、ほぼない状態ではあったが。

「どうしたバティ、考え事か?」
「ちょっとね。オレ達に何か、運営さん達に協力出来ることとか、ありそうかな」
「いんや、お手上げだ。まさか、監視カメラの捕捉も、事件の痕跡も無いままに人だけが消えてるとあっちゃな。手がかりといえるのは、せいぜいNote内が狩場ってとこか」
「うへぇ……さっき言ってた、無意識に死角に引き寄せられてるってのは?」
「サンプルケースが一件だけじゃ、因果関係が明確とは言い切れない。あくまでもしかしたらって話で、次に発生した時にも同じ事を聞いてみるしかないな」
「手詰まりかぁ……」

一切の手がかり、無し。しかも恐ろしいのが、電子技術が発達し、眼を設置しようと思えば、かなりのカメラにドローンを展開できるこのご時世において、犯人は何一つ手がかりを残していない。次々改築が発生するNote区画内といえど、発達した技術の裏さえかける事実が、なおのこと犯人の不気味さを増していた。

「幸い、実行犯の戦闘力はさほどでもない。だが、ま、油断は禁物だな」
「証言だけでも増えれば、手がかりが得られるかもしれません。何卒無理なさらず、無事に戻られる事を優先してくださいね」
「了解、また何かあればすぐに知らせる」

ノートに対して、二人で軽く会釈すると、サポートセンターを出てバー・メキシコへ至る道に戻る。事件について、場内アナウンスが概要を告げ、警告を呼びかけるも来場客達はまるで気に留めていない。

「なあ、レイヴン。ああいう怪奇存在って、こういう都市部でも出てくるものなん?」
「怪異は、通常はもっと人がいない過疎地に出てくることが多いな。もちろん例外もあるが、今回の奴らは大胆にして、用心深い――その上、人の多い商業施設の死角を縫って、犯行をやってのける様な連中だ。かなり厄介だ」
「おっかない、早く解決するといいんだけど」
「なぁに、焦っても仕方がない。何か取っ掛かりが見つからない限りは、俺達には打つ手なしだ。それより、バティの情熱やら何やらを取り戻す事を優先しよう」
「そうだ、そうだった。頼んでおいて、さっきのドタバタですっかり忘れてた」

パルプスリンガー達は、あくまで市井の一市民に過ぎない。良識の範囲で協力はするが、さりとてプライベートを削ってまで対応する義務は、ないのであった。

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#小説 #パルプスリンガーズ #バトルロボットアクションノベル #日常

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