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ミッド・スモー

 完全無観客会場となった両国国技館。そこでは例年通りに、力士たちが土俵入りの厳粛なる儀式を行っていた。
 土俵中央の行司を円状に囲んで、力士たちがバンザイを行う。普段と異なるのは、土俵上方に、伝説の力士、雷電の図柄が掲げられており、土俵は花畑と化し、土俵中央にP○ntaカードが円状に配置されている点だ。
 角界の理事長が脇に控える小姓につぶやく。
「委細、問題ないな?」
「はい、全国への中継は欺瞞放送に置き換えられております。今の会場は流行病の風評を利用し、誰も入ってくる事はありません」
「よし、いいぞ……今こそ伝説の力士を召喚し、我が国を相撲の元に支配するのだ」
(何言ってるんだこの人)
 代山羊がその角めいた髷を振りかざしバンザイを繰り返す。花畑と化した土俵の上で土俵入りが行われる光景は、シュールレアリスム的怪異を含んでいる。
 そう、今両国国技館は伝説の力士たちを魔界転生させ、現世に黄泉帰らせんとする魔の神事を行う場となったのだ。流行病の風評で観客を入れてはいけなくなった、まさにこの時がチャンスであった。
「ハッケヨーイ!ハッケヨーイ!」
 行司の暗黒召喚祝詞が土俵に響き渡る。もはや儀式を阻む者はいないのか、と思われたその時であった。
「イヤーッ!」
 裂帛の気合と共に土俵上方へ掲げられた図案が真っ二つに斬り裂かれ、花畑土俵中央に、目立たない色合いが花畑では目立つ忍び装束のニンジャがカタナを手に着地していた!
「な、ナニヤツ!」
「暗黒相撲理事会の野望、この風魔の小三太がしかと見届けたぞ!」
「ヌウウウウウ!ふぬけた国の犬めが!我らの野望を邪魔するというか!だがもう遅いわ!」
 理事長の恫喝に、風魔小三太が振り向く!そこには苦痛に苦しむ代山羊の姿!代山羊の肉体はバルーンアートめいて膨れ上がり、人相も大きく変化!おおみよ!その姿はまるで伝説の力士のそれではないか!?
「召喚は成った!伝説の力士の前ではニンジャなどカトンボも同然よ!」
「その吠え声、一蹴してくれようぞ!」
 花畑土俵において、魔界転生伝説力士VS風魔流ニンジャの異種格闘技戦が開始されようとしていた!

皆が忘れ去り、安堵しきったとこを突く、コレが奇襲の基本!

空想日常は自作品のワンカットを切り出して展示する試みです。
要するに自分が敬意を感じているダイハードテイルズ出版局による『スレイト・オブ・ニンジャ』へのリスペクト&オマージュになります。問題がない範疇だと考えていますが、万が一彼らに迷惑がかかったり、怒られたりしたら止めます。

現在は以下の作品を連載中!

弊アカウントゥーの投稿はほぼ毎日朝7時夕17時の三回更新!
ロボットが出てきて戦うとかニンジャとかを提供しているぞ!

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