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パルプスリンガー辛い鍋メント回・6・

「次は僕ですね。この番号は何方ですか?」
「あ、それ俺だな」

 T・Dが開示したトランプを見て、R・Vが反応する。珍しく武器ではなく本をボディバッグ(やはり黒い)から取り出して卓にのせる。その数四冊。
「また随分持ってきおったな!」
「それぞれどんな作品?」
「まあ待て、一冊ずつ説明するから」
 そういってR・Vはまず黒地にちんまりとデフォルメされた少女たちが描かれた本を取り上げる。
「『スペクトラルウィザード・最強の魔法を巡る冒険』は最初から布教用に持ってきた。これは元々T・Dにわたすつもりのヤツだ」
「いただきます」
「それ、自分は一巻買って読んだんですけど……めっちゃしんどかった」
「しんどいんですか!?」
「主人公に向かって周囲の人物からクソデカ感情矢印が向いているのに、その実あんま優しくされないしすれ違いまくるからな。A・TとA・Zにも勧めたけど好評だったよ」
「おおう……では、ありがたく」
 漫画の単行本にしてはかなりの分厚さの一冊がT・Dへと手渡される。
「それじゃ次だ。『ライトジーンの遺産』に『ラグナロク:Re』と『黄昏のブッシャリオン』」
「どれも面白そうですね!」
「ワシも興味津々じゃ!」
「『ライトジーンの遺産』の遺産は人間の全パーツが人工生産出来るようになった時代に生きる、完全人造人間の物語だ。要素としてはハードボイルド✕SFか」
「ほうほう」
「『ラグナロク:Re』は和製ファンタジーで、スピード感のあるバトル描写が特徴。人がバンバン死ぬしひっきりなしに戦闘が挟まれるから俺達向けだな。これはS・Gに合いそうと思って持ってきた」
「ありがたくいただきます!」
「おう。『黄昏のブッシャリオン』は最近のイチオシで、徳で文明が滅んだ後に埋蔵徳でほそぼそと生き延びるポスト徳カリポス社会が舞台のブディズム・ロボット・ノベルだ。トンチキ胡乱な設定を王道のロボット物のストーリーラインに、精緻な文体でぶつけてくるって代物だ」
「アアーッ!どっちも面白そうじゃ!」
「T・Dはどうする?」
「どれも面白そうなので、他の方が欲しい物の残りで大丈夫ですよ」
「え、ええんか?じゃあワシは……うむ、『黄昏のブッシャリオン』をもらうぞ!」
「オーケイ、じゃあ『ライトジーンの遺産』をT・Dに」
「いただきます」
「楽しんでくれ、出来たら感想も聞きたい」
「ええ、こちらも楽しみですよ」

空想日常は自作品のワンカットを切り出して展示する試みです。
要するに自分が敬意を感じているダイハードテイルズ出版局による『スレイト・オブ・ニンジャ』へのリスペクト&オマージュになります。問題がない範疇だと考えていますが、万が一彼らに迷惑がかかったり、怒られたりしたら止めます。

現在は以下の作品を連載中!

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ロボットが出てきて戦うとかニンジャとかを提供しているぞ!

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