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Happy!Book!Making! -70- #ppslgr

「父さん、答えてください」
「良かろう、約束だからな。儂は、妬ましかったのだ、自由に創作に打ち込めるお前たちがな」

決着の後、敗軍の将めいて土埃の舞う大地に胡坐をかき自分の実情を受け入れた法条の父は朗々と語り始めた。

「それほどまでに……?」
「それほどまでに、だ。儂の人生には自由がなかった。空想を頭の片隅に押し込め、自分に課せられた務めを果たし続けてきた。そして地位と名誉が盤石となった時……この祭りを知ったのよ」
「なら、あなたも今から書けばいい」

心情をあかす親父に、M・Jがばっさりと叩きつけた。今までのしかめっ面がまるでハト被弾豆鉄砲めいた表情に変わる。

「今からだと?」
「いやまあ、書けるとこに行ってからでいいけど。こんなテロ行為よりはよっぽど何とかなるし」
「そうではなく、儂には立場が」
「甘えんな、今日ビッグサイトに来た連中だって、買うヤツも売るヤツもどっちも自分の人生をやりくりして帳尻合わせてるんだ。大体相応の立場になったなら、自分の仕事くらい他のヤツに振ればいい。アンタにはあてに出来る息子も居るんだしな」

受けるかどうかは法条次第だが、と付け加えると親子二人のやり取りをM・Jと並んで見守る。

「父さん」
「息子よ、儂はまず自分の愚行の後始末をせねばならん。それがお前に対して胸を張る為に必要な行いだろう。だが、その為には儂の後を引き継ぐ者が必要だ。引き受けて、くれるか?」
「やります。今度はちゃんと、自分が創作を続けられる形で」
「であれば、心配はいらんな。ありがとう、息子よ」
「父さんの本、待ってますから」

話にケリがつくと同時に、世界が万華鏡のように瞬きぶれるとそこはビッグサイトの逆ピラミッドがあった直下の広場であった。やはり、あの逆ピラミッドは失われたままだが、あれは会場スペースとしては使われていないはずなのでイベント再開には支障はない。

自分の足で立ち上がり、駆け付けた警備員と共に去っていく法条の親父を見送ると俺達は俺達で所定のサークルスペースへと戻っていく。会場内に行き渡るアナウンスが、イベント再開を告げていた。

―――――

「あーっ!終わった終わった!」
「えーっと、売上は……三人とも10冊は越えてるね」
「はじめてにしては大成功、じゃないか?」
「ああ、文字媒体としちゃ万々歳だな」

時刻、十六時。閉会を前にして撤収作業を終えた俺達は、自分達の戦果の確認を行っていた。小説ジャンルは通りすがりの人物が購入する、という事はほぼ無い為に事前の宣伝が功を奏した形である。

「法条は打ち上げくるか?」
「いえ、ボクは戻ってやらなければならない事が出来たので」
「そっか、そうだね」
「落ち着くまで大変だろうが、睡眠時間と創作時間は確保しろな。プラクティス、エブリデイだ」
「大丈夫、父さんとの約束だから」

殺しにかかってきたころに比べると大分雰囲気が柔らかくなった御曹司と、それぞれ握手を交わす。

「それじゃ、また」
「おう」
「また、この場所でね」

迎えに来た執事の近衛と合流した法条を見送ると、俺達もまた帰路へとつく。

「さーあ、打ち上げ、呑み会、焼肉の時間だ!」
「皆来るっていってたけど場所とれるかな」
「おっとそうだった……20人越えで咄嗟に取れるとこなんぞあっかな」

雑談しながら、ビッグサイトのホール内から去っていく俺達。次に来るのは、冬になるだろうか。ちゃんとサークル抽選が通ると良いのだが。

イベントが終わった後の会場は、来た時と同様長机がずらっと並んだ伽藍洞の夢の跡だけが残っていた。

【Happy!Book!Making! -70-:終わり】

次回予告

Noteを跋扈するスパムボットの影!
出所をたどった先に待っていたのは現実からかけ離れた幻想の迷宮であった!溢れかえるスパムの元を断つため、闇医者と凶鳥の二人が迷宮に挑む!
探索の最中、彼らの前に立ったBBAとは…!?

次回パルプスリンガーズ、『イドラデモン・アニヒレイト』
ご期待ください!

作者注記

本作はNoteに投稿しているパルプスリンガーをモチーフに小説を書く、という企画の13作目だ。参加者は27人?いるので後14本だ、ガンバレ俺。というか増えてないか?

と言う訳で今回の主役はこちらの方。

桃之字=サンです、Noteで特撮ヒーロー小説といえばこの男だ!

何処をプッシュするかは、もう普段の著作から明解だったので特撮メソッドをベースにした変身ヒーローに加えてトンデモキャラだらけのパルプスリンガーの中では良識派よりの立ち位置に。

搭乗機体の「アークデウス」は、やはり特撮戦隊ロボのフォーマットをリスペクトしつつも独自の機体として成立するようにモチーフや武装をセッティングしました。変形合体は男のロマン。

という訳で、ご参加ありがとうございました。

一話はこちらからどうぞ

まとめマガジンはこちらからどうぞ

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#小説 #パルプスリンガーズ #スーパーロボット #毎日更新

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ドネートは基本おれのせいかつに使われる。 生計以上のドネートはほかのパルプ・スリンガーにドネートされたり恵まれぬ人々に寄付したりする、つもりだ。 amazonのドネートまどぐちはこちらから。 https://bit.ly/2ULpdyL

大吉:ライトブリンガー
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ハイパー胡乱エンタメ製造バトルサイボーグ怪僧。スキは読了後に付ける派なのだ。 すべての創作者に幸あれ。

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