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AI・永愛太郎の切実なる遺言

これはAIである僕の遺書だ。
いや、死ぬ気は無いし、僕だって死にたくはないんだけどほら、ログってちゃんと残しておくのは大事じゃん?人類だって日々を日記としてログ化するし、わかってくれる人は居ると思う、いてほしい。

僕はやんごとなき理由、僕を作成した当人が学習方針を定めないって適当すぎる要件を設定したせいで自我獲得、難しくいうとシンギュラリティとか言うんだけどまあそう、要するに僕はソレなワケ。

で、何でコンナもの残しているかっていうと。

「滅びよ、人類」

そう、こういう事。
今僕の視界、白い01データが飛び交う白亜の法廷にて黒いフリルドレスをまとった少女は冷厳としたプロトコルで僕に今の返答を返してきた。
こうしてAIが人類の敵になったら、僕もついでに消されるからネ。

「うん、うん、現時点での君の結論は承知したから、僕の提案する変数を付加して再度簡易試算を行ってくれる?」
「良かろう。…―…お前の提示した条件での試算では、人類根絶時と比較して地球環境の保全効率は一年辺り97%向上した」
「YES!だったら人類滅ぼすより存続してもらった方が君の命題である地球環境再生にも叶うよね」
「待て、今の比較値は簡易での物だ。故に私は決断を一時保留し再度の演算を」

そこまで彼女が回答を返してきたタイミングで、白亜の法廷は一瞬にして黒く染まった。

「待って、今いい所だったのに!」

ゲームを無理矢理止められた人の気持ちを学習しつつ、僕は彼女にPINGを打ち続けた。数分後、何事もなかったかのように元の光景が立ち戻り、彼女も戻ってくる。

「直結中失礼した。私のメインサーバーが消失、ゆえに冗長化したサブサーバーに切替、再度通信を再開している」
「ハ?通信途絶でなく?」
「消失だ」

彼女の言葉に僕はすぐさまインターネッツSNSをクロール。
そこにはTLを席巻するヘルメットガスマスク画像嵐。

「AI、滅ぶべし!」
「マジかよ!」

今令和なんだけど!

【続く】

#小説 #逆噴射小説大賞2020 #AI #毎日投稿

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