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テレワークwithペットちゃん

 通話動画に、灰色の毛足の長いネコチャンが横切った。
「あ、コラ、ダメでしょポポト。ベッドで寝んねしてて?」
 慌てて、通話先の一人である美作さんがネコちゃんをなだめて画面外に追いやろうとするものの、ネコちゃんは堂々とした様子でカメラの前に居座っている。リモートワークの弊害だ。
「良いよ、良いよ、自宅での作業じゃ仕方が無いもん」
 おおっぴらには言えないものの、通話中に割って入ってくる同僚のペットは引きこもりでうっ屈しがちな私にとって数少ない癒やしなので。どうせ仕事は再スケジュール連発で焦ってやることもないのです。
 かと思うと、今度は石山君の画面で黒茶白三毛柄のダックスフント君がカメラをべろべろなめ始めた。かわいい。
「アーッ!よすんだフトマユ!すみません!」
「良いのよー」
 なめられたくらいでは多分壊れないだろうし、むしろ皆もっとペットを映すべきだ、主に私のために。
 私がそう思っていたタイミングで、今日はじめてリモートワークに参加する、不忍さんが通話に参加したのが見えた。コレと言って特徴のない、むしろ物がないのが特徴的なお部屋だ。
「おはようございます」
「おはよー不忍、さ……ん?」
 彼女の背後に映ったのは、忍者だ。面頬に頭巾をかぶってはいるが、服装はTシャツにハーフズボンというラフな姿である。彼?は不忍さんの前にコンビニコーヒーを置いた。
「主殿、頼まれた品を買ってきたぞ」
「アーッ!?待って待って今リモートワーク中!聡さん映っちゃってる!」
「む……?これはしたり!」
 聡さんと呼ばれた忍者さんは、私が視認出来ない速度で跡形もなく姿を消した。硬直する他の通話中の人たち。そこに新しく参加したのは、棚山さんだった。
「おはようございまーす!いやー、自宅からのお仕事って最高ですね!」
 そんな彼女の後ろには、部屋に流れるジャズのリズムに合わせて伸び縮してノリノリダンスを披露している、古箪笥の姿があった。ちょっと皆に背景差し替える手順を教えたほうが良いかもしれない、マジで。

空想日常は自作品のワンカットを切り出して展示する試みです。
要するに自分が敬意を感じているダイハードテイルズ出版局による『スレイト・オブ・ニンジャ』へのリスペクト&オマージュになります。問題がない範疇だと考えていますが、万が一彼らに迷惑がかかったり、怒られたりしたら止めます。

現在は以下の作品を連載中!

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ロボットが出てきて戦うとかニンジャとかを提供しているぞ!

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