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小説の構成要素をそれぞれ分析してみる

ここでは、小説を書く上で大きなウェイトを占める人物、展開、文体の三つが作品にどう影響するのか考察してみる。

1:登場人物

小説には人数の大小こそあれど、概ね知性をもって行動する登場人物が出てくる。もちろん、書こうと思えば知性行動を行うキャラクターを出さずに物語を書く事も可能ではあるが、少々需要にはマッチしない物と考えられる。

読者は他者の人生に触れたいという願望を持っていることが傾向としてあり、文章で精巧に表現された風景写真だけを見たいというケースは余りないだろう。もしくは誰も試したことがないだけであるいは需要があるのかもしれない。

ともあれ、登場人物という要素はカレーにおけるビーフとかポークとかシーフードにあたる物で、小説の魅力に直結する要素の一つだ。

カレーのメインの具材としてとらえると、登場人物の性質は読み手の印象を大きく左右するので、どの様な人物でどの程度の解像度で描写されるべきかしっかり決めておく必要がある。

この際、一つポイントがある。登場人物の行動指針だ。
行動指針という要素は人物の性質を明確化する力を持っており、セリフよりも時には遥かに大きな力を持つ。リアルでも言ってる事とやってる事が一致しないと周囲に不信感を与えるものだが、フィクションでも同様の事は起こりうる。ここで合えて言行不一致にさせる事でトリックスター的なキャラ立てにつなげるテクニックも取れる。

登場人物の行動指針が作者である自分でもつかめていないというのは、キャラクターのR・E・A・Lさを損なってしまうので一度登場人物の日常風景や選択肢に対する決断などを書いて行動指針を明確化するといい。

2:物語の展開

物語についても、千差万別ではあるがここでは重要な要素として番狂わせについて分析しておきたい。

物語の展開は大きく二つに分割できる。一つは予想外のイベントは起こらず順調に話が進む構造、もう一つはそれまでの前提が覆る番狂わせが起きる構造だ。どちらにも需要その物はあるので、どちらが強いかではなく需要にどの様に応じるかを考えて物語の構造を決めるといい。

まず、話が順調に進むタイプの物語は読み手の予想を大きく覆すイベントが起こらない為、読み手に対して大きくストレスを与える事がない。これはストレス過多となっている現代社会では癒しとして作用するので一定の需要があると見ている。日常物とかのゆるっとした作品がしばしば大きな反響を持つのは、市場の需要にこたえているからだ。

次に、予想外の展開が差し込まれ、読者の感情を大きく揺さぶるタイプの物語構造。こちらは読者に大きなインパクトを与えていく事を狙いとしているため、消えない傷をつける様な物、と表現できるだろう。

実際には、日常物でも価値感が転換する様な驚愕のイベントがさしはさまれたり、逆にちょくちょくイベント自体は起きている物の、それが当たり前になりすぎて(ヒットしたミステリー小説とかが殺人事件が起きるのが日常になったりする、あれだ)返って平坦な印象を与えたりする。

大事なのは展開の起伏だと考えられる。自分の書きたい内容に応じてイベント起伏のコントロールを行う必要がある。

3:文体

最後に、文体だ。文体は一見空気の様な物だが、その実空気めいて大事だ。
文体にも、爽やかな高原のそれから、火薬と鉄の匂いが充満したむせる雰囲気、雨と泥の匂いに満ちた哀愁と虚無の温度感といった書き手の個性が現れやすい所である。

意外とある、途中で読まれなくなったパターンが文体が読み手の好みに合わないというケースだ。読んでてしんどくなる文体はキャラクターが魅力的で、物語の展開が面白くても読み続けるのがきつくなって離脱してしまう。

文体は書き手の人生がにじみ出てくる物なので、中々一朝一夕にはコントロールが難しい物だ(もちろん、魔術士めいて自在に文体を切り替えるすごいやつもいてそういうやつらはほんとうにすごい)

ただ、文体にも一つ良し悪しがあって基本的には雑味、すなわち余分な情報量が多かったり、表現したい事とマッチしない情報が混ざっていると読み味は悪くなると俺は考えている。

この雑要素の濾過と排除は、まず数を書いて読み直すのが大事だろう。武術の鍛錬めいて毎日同じ型を繰り返す必要がある。そこに近道はないのだ。

まとめ

・小説の大要素は物語の展開、登場人物、文体の三つ
・物語の展開は展開をひねるか、そのまま行くか。ひねった方が印象には残る
・登場人物はしっかりとした行動指針を持たせる
・文体は書き手の人生が出る物、日々の読み書きが肝要となる

この三つの要素をしっかり磨いていく事が作品のクオリティを高める大事な道程だと俺は考えている。今後もしっかり自分でもやっていくぞ。

今回はここまでだ。またな。

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