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イドラデモン・アニヒレイト -19- #ppslgr

電車前面上部に平坦な印象の白い鳥を張り付けた怪奇兵器が、炎上する街中を疾走し再びこちらへと襲い掛かってくる。煙が巻き上がる空の下で迫ってくる怪異は、実におぞましい限りだ。

「さぁて、どうするんじゃ?」
「O・Mはサイドに回ってレーザーを、ヤツが機動力を失ったタイミングでこっちがとどめを刺す」
「おっけー、やります!」

普段そこまで戦闘には参加していないはずなのだが、抜群の飲み込みの良さで割り振った役割を把握した彼女は、俺達二人から駆け出し離れては向かってくる怪異電車のサイド左側へと回り込む!

「こちらはあなたがフォローしているアカウントの会話です」
「フォローしてない人が参加してる会話はちょーっといらないんじゃないかな!」

怪異電車に最も距離が迫ったO・Mへと、先頭の白鳥から押し付けがましい会話情報をささやく小鳥が飛び立ち襲い来る!だが遅い!既に進行方向にはあの凶悪な切断力をもったキラキラレーザーが展開!うっとおしい小鳥の群れごと、線路なきアスファルトを駆ける車輪部を水平に四分割!動力を失った怪異電車は慣性のままに待ち受ける俺達の所へスライドしてくる!

「オヌシはここで行き止まりじゃて!」

恐るべき使い勝手の良さを誇る藍の斧、その冷気が瞬く間に氷柱の隊列を生じさせると転倒した怪異電車を真正面から受け止めれば車体にまで凍り付いてその動きを束縛する!俺は連なった氷の足場を飛びわたれば、じたばたともがく鳥部分へと肉薄!

「退会する理由をお答えください」
「不便に!なった!からだ!」

俺の腕に荒縄めいた膂力の盛り上がりを伴いながら、黒橙の刃をまっすぐに振り下ろす。瞬間、トーフほどの手ごたえさえなくずるりと鳥部分が真っ二つに断ち切れては、紙粘土の様に何もない内部をさらけ出した。だが。

「……ッ!」

切断面がうごめくと第二第三の分体小鳥が群れ成して飛び立とうともがき始め、一太刀浴びせた程度では致命傷にならない事を明らかに示唆していた。

「R・V、跳べ!」
「おうとも!」

ふわりと着地したつららの先から再度バッタの様に跳躍、新たな変貌を遂げようとしている怪奇呟き鳥の頭上を飛び越えれば、電車の上へと移り駆け離れる!

「これ以上のやっかみはごめん被るんじゃ!」

俺が振り向き状況を探るのと同じタイミングで、奇術の如く正確に投擲された紅の斧が枝分かれし分裂拡散を始めた小鳥の根元へと突き刺さる!途端、強火であぶられたえのきタケめいて呟き鳥本体は瞬く間に燃え上がった!既に炎上しているビル群を凌駕する勢いで焼却!

「いいいいいいままままままどうしてててててて……」

本体のその物に消えない炎にまとわりつかれた呟き鳥は、哀れにも完全焼却され真っ白な灰となって散っていく。本体が燃え尽きた後には、残された電車の残骸も炭屑めいてボロボロと崩れていき、キャンプファイヤー後の炭の様な燃え尽きた痕跡だけが残っていた。

「っはー……強さはともかく色々な意味でキツイ相手だったな」
「今後これ以上、妙なヤツが出てくるんかのう」
「私、あの子の将来がちょっと心配になっちゃうかも」

【イドラデモン・アニヒレイト -19-:終わり:その-20-に続く

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