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なんちゃって平安朝日記 Vol.4 それなむ”びっちゃんこ” 桃尻語訳つき

卯月のなかのとおかたらちねの母にあいみむとて産土(うぶすな)に参りぬ。いと懐かしく里のあたりどなりすずろありきければ、にはたづみをみつく。いとめづらしきかな。それなむ都ことばにて”水たまり”と申すも、産土のわらべ”びっちゃんこ”と申すなり。

われ、わらべのきは学び舎のかへりをりふし”びっちゃんこ”をみつけけり。あした雨が降りしければたうじ長靴をはきており。なればわれよろこびてびっちゃんこに立ち入りたり。今は昔。たのしきおもひいでなるかな。

桃尻語訳

4月中旬、母に会いに故郷を訪ねたのね。懐かしかったからさ、実家の近所を歩いてみたわけ。そしたらなんと、水たまりを見つけたんだわよ。(最近では水たまりを見るのは)とても珍しいじゃなぁい。それのことを東京の人なんかは「水たまり」なんて言うけけどさ、私の故郷の子供たちは「びっちゃんこ」って言うのよね。

私が子供の頃、学校の帰りによく「びっちゃんこ」を見つけたものよ。朝雨が降ったから、その時私は長靴履いてるでしょ。だからさあ、もう嬉しくなっちゃって「びっちゃんこ、びっちゃんこ」って水しぶきを上げながらびっちゃんこで遊んだのよね。今となっては昔のことだけど、楽しい思い出なんだなあ。



らうす・こんぶ/仕事は日本語を教えたり、日本語で書いたりすること。21年間のニューヨーク生活に終止符を打ち、東京在住。やっぱり日本語で話したり、書いたり、読んだり、考えたりするのがいちばん気持ちいいので、これからはもっと日本語と深く関わっていきたい。

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