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Weekly R-style Magazine 「読む・書く・考えるの探求」2017/10/09 第365号

はじめに

はじめましての方、はじめまして。毎度おなじみの方、ありがとうございます。

先日、ノーベル文学賞が発表されました。

ノーベル文学賞にカズオ・イシグロさん|まるわかりノーベル賞2017|NHK NEWS WEB

私はあまり熱心な文学読者ではないので、『わたしを離さないで』や『日の名残り』くらいしか読んだことがありませんが、一度何かのテレビ番組(たしか白熱教室)で創作について語っておられるのを見かけて、「ふむふむ、さすがだな」という印象を受けた覚えはしっかり残っています。

さて、小説読みの方は、このノーベル文学賞の発表について二種類の反応をされるかと思います。「せっかくだからこの際に一度読んでみようか」と、「今読んだらミーハーみたいだな」の二種類です(『バーナード嬢曰く。』っぽいですね)。

が、こういうときは「せっかくだから」の流れに乗るのが個人的には良いと思います。読む動機って、結構大切なのです。

〜〜〜ライフハック的書き起こし〜〜〜

以下のトゥギャッターで、面白い話を見かけました。

最近の大学生がインタビューの文字起こしをするのに「iPhone」と「iPad」の2台だけを使っている理由

録音した音声の書き起こし作業というのは、想像しているよりも大変なのですが(『かーそる 2017年8月号』に掲載したインタビューでそれは痛感しました)、それをてっとりばやくやってしまう方法です。

具体的には、録音した音声をiPhoneで再生し、それをイヤフォンで聞きながら、音声入力状態にしたiPadに向かって、聞こえたままに喋る、というもの。これで、ほぼノン・キーボードで「書き起こし」が実現できます。

むろん漢字の誤変換などもあるでしょうから、後から細かい手入れは必要でしょうが、おそらく全体の6〜7割くらいはこれで入力できてしまうのではないでしょうか。きつい方言のときは難しそうですが、それでも一度チャレンジしてみたい方法ではあります。実にライフハック的です。

〜〜〜プライムリーディングスタート〜〜〜

Amazonにて、「プライムリーディング」というサービスが始まりました。R-styleでも紹介しました。

◇Amazonで「Prime Reading」がスタート – R-style
https://rashita.net/blog/?p=23043

実はこのサービスが始まる数ヶ月くらい前に、Amazonさんから「あの『Evernote豆技50選』って本、ラインナップに加えるかもしれんけど、どう? 興味ある?」という趣旨のメール(実際はもっと丁寧です)を頂き、条件的にかなり悩んだのですが、せっかくの機会を頂いたので、参加する意図があると返事しました。

なぜ条件的に悩んだのかというと、ざっくり言えばかなりコンテンツを買いたたかれているからですが、その辺を深入りするのはやめておきましょう(大人の事情)。

とにかく、ラインナップに登録されましたので、ここから六ヶ月程度、『Evernote豆技50選』はプライム会員様は無料で読めることになります。当然、この本の売上げは下がってしまうわけですが、それは宣伝広告費と考えるのがよいでしょう。そこから別の本を買ってもらえる動線へとつながれば、万々歳です。

〜〜〜noteでも開始〜〜〜

先月からお伝えしていた通り、当メルマガを「note.mu」さんでも展開することになりました。内容自体は「まぐまぐ」でも「note」でも同じなので、お好みで選択くださいませ。

◇Weekly R-style Magazine ~読む・書く・考えるの探求~
http://www.mag2.com/m/0001185133.html

◇倉下忠憲のWRM 「読む・書く・考えるの探求」 | 倉下忠憲 | note
https://note.mu/rashita/m/mca89ee3c2e93

ちなみにnoteの方のタイトルに「倉下忠憲の〜」とつけたのは、以下のメルマガの臆面ないパクリです。

◇結城メルマガ | 結城浩
https://mm.hyuki.net/m/m73f865053b52

良さそうなものは、どんどん取り込んでいく。そういう姿勢を大切にしたいですね(若干言い訳気味に)。

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経営的な視点で言うと、有料メルマガ登録者数アップの一番の課題は、「プラットフォームのサービスに登録してもらうこと」&「そこにクレジットカードを登録してもらうこと」です。だからこそ、電子書籍をAmazonや楽天で販売することにメリットがあります。そうしたサービスには、すでに会員がたくさんいますし、さらにクレジットカードを登録している人も少なくありません。つまり、ちょっと気になったときに、実際にそれを購入するためのハードルが低い人が大勢いるわけです。

これは有料メルマガでも同じことで、メルマガに興味を持っていただいた方が、すでにnoteに登録してる人で、かつすでに何かを買ったことがある人ならば、「ちょっと試してみようか」と思ってもらえるハードルが低くなります。本当に細かいことですが、そういうハードルをいくつも超えて頂いて「メルマガ読者さん」になっていただけるわけですから、こちらとしてはできるだけそのハードルを小さいものにしておくのが吉です。展開するプラットフォームを拡げることには、顧客獲得のそうした意図があるわけです。

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〜〜〜前期のアニメ〜〜〜

Honkureで、三つのアニメを紹介しました。

・アニメ『Re:CREATORS』 – Honkure http://honkure.net/rbook/archives/2429
・アニメ『ナイツ&マジック』
– Honkure http://honkure.net/rbook/archives/2434
・アニメ『メイドインアビス』
http://honkure.net/rbook/archives/2439

前期のアニメですが、それぞれ違った個性を持った面白い作品でした。創作関係者なら『Re:CREATORS』、ロボ好きなら『ナイツ&マジック』、暗い話が好きなら『メイドインアビス』 といったところでしょうか。

あと書いていませんが、『NEW GAME!!』も良かったですね。温泉のように心がぽかぽかしてくる「ええ話やな〜」な作品です。

〜〜〜「小説」の進化とは〜〜〜

以下の記事を読みました。

◇ITは純文学を「再設計」できるか « マガジン航[kɔː]
https://magazine-k.jp/2017/10/03/editors-note-25/

最近「短編集」を出版した私としては気になる内容です。記事では、上田岳弘さんの『キュー』という小説の特設サイトで、いろいろ新しい試みが行われているものの、それは表面的な違いしか生んでおらず、小説そのものの革新にはつながっていないのではないか、と語られています。以下の部分が興味深いものでした。

 >> 逆にいえばこれは「小説」が、電子書籍やウェブ(あるいは新聞や週刊誌やスマートフォン)などに象徴されるメディア環境の激変にも関わらず、自立した言語表現として持続可能であることの証明かもしれない。 <<

たしかに「小説」というフォーマット(&スタイル)は、強烈なIT技術の進歩があったにしては、ほとんど変わっていません。いくつか奇抜なもの登場してはいるのでしょうが、私たちの日常までには浸透していないのが現実の姿です。だとすれば、まだしばらくは私たちはこれまでと同じように「小説」を書き、これまでと同じように「小説」を読むのかもしれません。その小説体験は、おそらくVRなどでは代替できないでしょうから、物書きが仕事をして生きていける余地も、まだしばらくは残っている……、といいなと思います。

〜〜〜Q〜〜〜

さて、今週のQ(キュー)です。正解のない単なる問いかけなので、頭のストレッチ代わりにでも考えてみてください。

Q. 小説的な革新は、どのような形で訪れると想像しますか?

では、メルマガ本編をスタートしましょう。

今週も「考える」コンテンツをお楽しみくださいませ。

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2017/10/09 第365号の目次
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○BizArts 3rd 「タスクリストと抵抗値」
 タスク管理を掘り下げていく企画。連載のまとめに入っています。

○ノート道の歩き方 5
 週替わり連載。ノートに関する連載を続けています。

○Rashitaの本棚 『ポピュリズムとは何か?』(水島治郎)
 Rashitaの本棚から一冊紹介するコーナー。新刊あり古本あり。

○物書きエッセイ 「新刊について 後編」
 物を書くことや考えることについてのエッセイです。

※質問、ツッコミ、要望、etc.お待ちしております。

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