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Weekly R-style Magazine 「読む・書く・考えるの探求」 2018/10/22 第419号

はじめに

はじめましての方、はじめまして。毎度おなじみの方、ありがとうございます。

11月24日に、堀正岳さんの新刊が発売になるようです。

非常にそそられるタイトルではありますが、それ以上に注目したいのがサブタイルです。

目先の利益に最適化する手法がもてはやされている(ように見える)昨今、少しずつの積み重ねの先にあるものを見据えること、見えない価値を信じることが主眼に置かれているであろう本書は、2018年の現代にどのように受け入れられるのか。

今から楽しみです。

〜〜〜愛しのメディアマーカー〜〜〜

メディアマーカーが終了するということで、本棚の中身をブクログに移行することはできたのですが、問題はEvernote連携です。

メディアマーカーでは、本棚に登録した本をEvernoteに送信する機能がありました。残念ながらブクログにはその機能がありません。

個人的に、大切なログは二重に管理しておきたいのと、ログ系のデータはEvernoteに集約しておきたい要望があるので、ブクログ+Evernoteの形を取りたいのですが、それがなかなかうまくいきません。

ブクログが吐く本棚のRSS FEEDをIFTTTでキャッチして、そこからEvenroteにノートを作る、というところまではうまくいくのですが、そうして作成されるノートの書誌情報があまりにも貧弱なのです。これだったらもう、別に残さなくていいんじゃね? くらい貧弱です。

しかし、ブクログが吐くFEEDを改竄することはできませんし、IFTTTで加工することもできません。直通ルートは行き止まりです。

で、今それを改善するためにさまざまなことを試しているのですが、あらためて「メディアマーカーってめちゃくちゃ便利だったんだな」ということを痛感しております。やっぱり、あれが無料で使えていたこと自体がちょっと変だったのではないかと思うくらいです。

〜〜〜惚れ惚れするぐらいのソフト〜〜〜

たまたまタイムラインで、「惚れ惚れするぐらいのソフト」という表現と出くわしました。実に素晴らしい響きの言葉です。

しかし、改めて考えてみると、現代でその「惚れ惚れするぐらいのソフト」ってどれくらいあるでしょうか。

もちろん皆無ではないでしょうが、爆発的にソフトの数が増えているわりには、あまりお目にかかる事例は少ないように思われます。あるいは、ソフトのニッチ化が進み、十人十色の「惚れ惚れするぐらいのソフト」が生まれていて、単に私の目に入っていないだけ、という可能性もあります。

ともかく、「惚れ惚れするぐらいのソフト」に出会えることは、たぶんとっても幸福なことです。道具を使う人間としては。

〜〜〜Scrapboxにまとめる〜〜

最近習慣になりつつあるのが、ツイートしたものを、後から見返してScrapboxにまとめるという作業です。特に、連続ツイートしたものが、その対象になりやすい傾向があります。

なんだかんだ言って、やはりTwitterは書き込みやすく、その場のノリとか勢いみたいなものに任せてどんどん書き込んでいけます。が、そのままにしておけば時間と共に流れてしまい、再利用は難しく(あるいはほとんど不可能に)なります。

そこで今までは、一日ごとのツイートをツイエバでEvernoteに保存してたのですが、やはりその形であっても再利用は難しいということがわかってきました。昔自分がつぶやいたことを、検索して見つけ出す形の「再利用」はできるのですが、何か新しいことを考えているときに、そこにアイデアとしてくっつける、というような「再利用」は難しいのです。

なので、「これ!」というツイートに関しては、Scrapboxにコピー&ペーストしてまとめることにしました。これで想定する「再利用」がずいぶんやりやすくなるはずです。

ただ、作業自体がコピペなので、同種の作業を繰り返して行うならば、自動化するスクリプト(ブックマークレット)で効率化しようかなとも思うのですが、案外地味にコピペすることが大切なのではないかとも最近考えるようになってきました。効率化したからといって、価値が生まれるとは限りませんので。

〜〜〜一週間ページの意外なメリット〜〜〜

先週、Scrapboxでのタスク管理法を紹介しました。デイリータスクリストではなく、一週間のページでタスクを管理するやり方です。

結局そのやり方には違和感を感じてしまったのですが、その原稿を書き終えた後、週次レビューをしているときに意外なメリットを発見しました。一週間ページでタスク管理していると、その週の振り返りが、すごく楽なのです。

デイリータスクリストの場合は、一週間のふり返り派、一週間分のページをめくっていく必要があります。それが、一週間ページ方式だと、ずずっとスクロールするだけで、その振り返りが済みます。非常に簡単です。

しかも、一週間の情報が俯瞰できるので、「火曜日は作業が少なかったが、木曜日はけっこうできた」のような比較も容易に行えます。非常に強力です。

しかし、1日ごとの作業で考えると、やはり1日ページのほうがやりやすいので、この二つの長所をうまく組み合わせられないかと現在検討中です。アウトライナーなら、簡単なんですけれども。

〜〜〜締切22:00効果〜〜〜

最近は体調管理もあって、できるだけ夜遅くまでは作業しない、という方針を持っています。しかし、その方針は安っぽい割り箸のようなもので簡単に折れてしまいます。気がつくと、23時ごろまで何か作業をしている、ということが珍しくありません。

しかし、ある日のことです。22:00以降に原稿を書く気分が急激に萎えたことがありました。原因はScrivenerです。

Scrivenerには、「プロジェクトの目標」が設定できます。全部で何万字を書き上げる、という目標文字数を決めて、それを表示させることができるわけです。で、そのサブ情報として「セクションの目標」というものもあります。これは、一定の期間内でどれだけ文字数を増やすのかという目標で、簡単に言えば「一日の目標文字数」が決められるわけです。

これまでは、あまりにせわしなく感じられるのでこの「セクション」は設定していなかったのですが、今回たまたまそれを設定してみました。一日あたり6000字。

で、その「一日」のカウントの区切りを時間を、22時に設定しました。

すると、どうでしょう。22時を過ぎてカウントがリセットされたら、もうその原稿に書き足す意欲が失せたのです。「これより先は明日にやろう」という気持ちが芽生えてきました。閉店ガラガラモードです。

たったこれだけのことで、心のモードが変わってしまうのですから、人間の心理とは実に面白いものです。探究しがいがあります。

〜〜〜Q〜〜〜

さて、今週のQ(キュー)です。正解のない単なる問いかけなので、頭のストレッチ代わりにでも考えてみてください。

Q. 仕事が終わった気分になるサインは何かありますか。

では、メルマガ本編をスタートしましょう。

今週は久々に五連載そろい踏みです。目次は以下の通り。

――――――――――――――――
2018/10/22 第419号の目次
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○「非ツリー構造のタスク管理はありうるか」 #BizArt3rd
 タスク管理を掘り下げていく企画。今回はネットワーク型のタスク管理について。

○「アウトラインを横に並べること」#物書きエッセイ
 物を書くことや考えることについてのエッセイです。

○「問題処理のパターン」 #ノート道の歩き方
 ノートを使った問題解決についての連載です。

○「『ホモ・デウス』を読む 第五章」 #今週の一冊
 『ホモ・デウス』を連載で読み込んでいます。

○「ヴァネバー・ブッシュの誤算」 #新しい知的生産の技術
 21世紀の知的生産の技術について考えています。

※質問、ツッコミ、要望、etc.お待ちしております。

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○「非ツリー構造のタスク管理はありうるか」

世の中のタスク管理ツールは、基本的にツリー構造を持っています。特定の名前を持つリストがあり、その下に項目が──たいていは個条書きで──配置される。そういう形です。

リストの作り方は、かなりさまざまです。コンテキスト(≒シチュエーション)ごとのリストであったり、プロジェクトごとのリストであったり、あるいは進捗具合ごとのリストであったりと、一定の形式はありません。むしろ、その形式の作り方が、それぞれのタスク管理ツールの特徴になります。

おそらく紙とペンでタスク管理を行う場合でも、似たような構造を作るでしょうし、マインドマップのようなビュジュアライズメソッドであっても、情報構造的にはツリー構造になっています。

Trelloなどのカンバン方式も、私が作った7wrinerも、見た目は異なるものの、構造だけを取り出せば、それはやっぱりツリー構造です。複数の項目をまとめる大きな項目があり、一つの項目は必ずどこかの大項目の中に位置することになる。そういう形からの逸脱はまったく見られません。

どこもかしこも、タスク管理と言えば、ツリー構造になっています。

いったいなぜ、そんなことになっているのでしょうか。それ以外に方法はないのでしょうか。そんなことが気になりました。

■きっかけはScrapbox

そんなことが気になり始めたのは、もちろんScrapboxを使い始めてからです。

Scrapboxは、ページ内はツリー構造であるものの、それぞれのページはネットワーク的に「管理」されています。それがアイデアメモ管理にすこぶる相性がよい、ということはこのメルマガでも何度も書いてきました。

では、仮にScrapboxの哲学に沿って、タスク管理を行うとすればどうなるでしょうか。

■仮想的なやり方

まず、一つのタスクを一つのページに割り当てます。あるいは、これはタスクではなく、「問題」と言い換えた方がいいかもしれません。自分が直面した、解決したい課題。それを1ページにします。

次にその問題について、詳しく記述していきます。どんな状況なのか、何が妨げになっているのか、どんな方策がありうるのか。それを書き加えます。もちろん、問題によってはほとんど記述が進まないものもあるでしょうし、逆に大量の書き込みが発生するものもあるでしょう。もし、あまりに書き込みが大きくなるなら、細かい部分は別ページに切り出すのが良さそうです。

とりあえず、ページに記述を加えたら、そこにリンクを加えていきます。キーワードになりそうなものや固有名詞をブラケットで囲む作業です。さらに、その問題の状況を表すハッシュタグを付け加えるのもよいでしょう。#実行中、#実行済み、#積タスク、といったものです。

ただし注意してください。このハッシュタグは、雑につけすぎると、自分で何がなんだかわからなくなります──これがScrapboxでハッシュタグがあまりオススメできない理由です──。うまくScrapboxの提案が働いてくれるように、冒頭の文字列を揃えておくとよいかもしれません。あるいは絵文字を使う手もあります。

とにかく、そうしてページを記述して、リンクを追加すれば、準備は万端です。

そのようにしてタスクを「管理」した場合、それぞれのタスクは、ネットワーク的に配置されたことになります。少なくとも、ツリー構造にはなっていません。

ハッシュタグを起点にすれば、擬似的にツリー構造になるようにも思えますが、それはあくまで見せかけです。そもそも「問題」によってはハッシュタグがついていないようなものもあるでしょうし、複数のハッシュタグがついているものもあるでしょう。Scrapboxの哲学的に言って、排他的なタグつけ(#実行中がついているページには、#実行済みがつかない)は想定されていないので、ツリー構造になる保証はどこにもありません。

また、ハッシュタグ以外のページリンクは、複雑に入り組んだ構造(リゾーム構造)になっています。まったくちっともツリー構造ではないわけです。

仮にこのような形でタスクを「管理」した場合、一番困るのは、「どれから着手するのか」の基準が(もっと言えば審級が)存在しないことです。なにせすべてがフラットでネットワーク的に接続されています。言い換えれば、上も下もないのです。

たとえば、#優先というハッシュタグがついていたら、その問題は回避できるように思います。もちろん、その通りなのですが、それは#優先というハッシュタグが一つのページにしか存在しない場合に限られます。二つ以上のページに#優先がついていた場合は、#優先のページを開いたときに表示される関連ページから、どれか一つを選ばなければいけません。それを決める基準が必要なわけです。

下に表示される関連ページは、ソート順が選べます。逆に言えば、そのソート順には裁定のための基準ではないのです。「関連度が高い順」や「最近表示した順」は、単に一定のメタ情報によって情報をソートしているだけであり、それがタスクの実行順に直接結びつくわけではありません。

ツリー型のタスク管理では、タスクは必ず上から下に並びます。そして、その並び方をユーザーが決定します。というか、決定しなければなりません。「どこにも置かない」(≒どの要素の下にも上にも配置しない)ということはできないのです。

それは個々のタスクにおいてもそうですし、タスクを束ねるリストにおいてもそうです。強制的にアルファベット順固定ソートされないツールを除けば、どのリストを上に置くか、あるいは下に置くかをユーザーが決めることになります。この辺はWorkFlowyをさわれば一番実感されるでしょう。

タスクをリストに配置するときに、同時に私たちは何かを決定しています。ネットワーク型では、その決定が必要ありません。もっと言えば、入り込む余地がありません。

しかし、まさにその決定こそが、タスク実行の審級になりえます。

難しい言い方をしましたが、話は簡単です。

リストの上に配置してあるものから取り掛かる。
優先的に取り掛かるものを上に配置する。

この二つが表裏一体となって、タスク実行を促してくれます。言い方を変えれば、実行に必要な有限化をもたらしてくれます。

純粋なネットワーク型では、このような有限化が行われないので、その実行は「そのとき気が向いたもの」か、あえういは「たまたま思い出したもの」からになるでしょう。

そうなると、丸月丸日までにほにゃららを終わらせるといった目標達成は非常に困難になります。言い換えれば、一定期限内に最低限の成果を生み出すことは、かなりの程度運任せになります。

だから、タスク管理はツリー型が素晴らしい、という話をしたいわけではありません。

むしろ前提を一回ひっくり返してみましょう。ネットワーク型でタスクを「管理」しても支障ない状況とはどのようなものでしょうか?

(つづく)

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倉下忠憲

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物書きです。ビジネス書とか、ライトノベルとか、ブログとか、有料メルマガとか書いています。 Blogは http://rashita.net/blog/ メルマガはhttps://note.mu/rashita/m/mca89ee3c2e93 です。
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