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Weekly R-style Magazine 「読む・書く・考えるの探求」 2017/11/20 第371号

はじめに

はじめましての方、はじめまして。毎度おなじみの方、ありがとうございます。

この原稿は、東京駅のホームで書いています。15番ホーム、8号車乗り場の近く。4つ並びの席の3番目(あるいは2番目)の椅子に座って、パタパタとMacBook Airを叩いています。

で、なぜ東京にいるかというと、クローズドで開催された『ライフハック大全』の出版記念イベントに参加するためです。しかも、サプライズなゲストとして。

普段は、東京に行くときは、誰かに会ったり、オフ会を企画したりするのですが、「クローズドなイベント」+「サプライズゲスト」という特殊な組み合わせだったことと、東京行きを決めたのがかなりギリギリだったこともあって、イベント以外には何一つ予定は入れませんでした。

で、ついさっきまでルノアールで原稿を書いており、時間が迫ってきたので、駅に移動して、この原稿を書いているという運びです。

普段からいろいろツイッターにつぶやく人間なので、「移動していることを推測されるようなツイートは避ける」という状況は、なかなか苦しいものでしたが、結果的にイベントは大盛り上がりだったので、たいへん良かったです。

〜〜〜経路変更〜〜〜

11月19日発売の『問題解決大全』という本があります。

あの『アイデア大全』の続編ということで、さっそくAmazonで予約していたのですが、ふと気がつきました。11月17日と18日には東京に行く。田舎ならば数日遅れの入荷もありえるが、東京ならばむしろ前のめりに発売されていることもあるのではないか。つまり、東京の大きめの書店で本を買い、帰りの新幹線で買った本を読む。

なんとも、心躍る計画ではないですか。

結局、Amazonでの注文はキャンセルして、見事に丸善でゲットしました。これを書き終えて、新幹線に乗ったらさっそく読むつもりです。

〜〜〜New Firefox〜〜〜

先日、ウェブブラウザのFirefoxにニューバージョンが登場しました。その名も「Firefox Quantum」。なんだかすごそうな名前です。で、実際に使ってみると、たしかに以前よりも早くなっています。

◇Firefox をダウンロード — 無料ウェブブラウザー
https://www.mozilla.org/ja/firefox/new/

ブラウザにおいては、速さは重要な要素なので、速度アップは大変ありがたいのですが、どうやらそれ以前のバージョンと大きく仕様が変わっているらしく、いくつかの拡張機能(アドオン)が使えなくなっていました。

特に困ったのが、閲覧しているWebサイトのリンクをワンクリックで生成できるアドオンで、これがないと記事中にウェブサイトの紹介を入れるのがたいへん手間になります。一応Firefox側も「こういう似たツールありますよ」と代替案のアドオンを示してくれるのですが、私が求めている機能とは全く違うアドオンばかりです。

うむむ……、どうしようか……。

そのとき、最初に思いついたのが、「よし、じゃあ、自分で作るか」、というもの。誰か人間が作っているのですから、原理的には私も同じようなものは作れるでしょう。それに作りたいものは、ページのURLとタイトルを取得し、それを加工してaタグ(リンクタグ)に仕上げるものです。それほど複雑な処理ではありません(と予想できます)。

そこで、ググッてみると公式サイトで作り方が解説されています。大半はほとんどわからないのですが、少し前にちょっとだけ勉強したnode.jsが出てきていて、なんとかやれそうな予感もあります。

脱線。

こういうとき、不思議なもので、全体のうちどこか一部分でも自分がわかりそうなところがあると他も読み解こうと思うのですが、それが1%もないと、まったくお手上げ感が出てきます。とっかかりは大切です。

脱線終了。

しかしながら、アドオン作りなどにかまけていては仕事は全然進みません。特にたちが悪いのは、作業時間の見積もりがまったく立てられないことです。二時間で終わるかもしれませんし、二週間かかるかもしれません。しかも、上に書いたように東京行きのイベントが待っていたので、通常業務も若干押しています。どう考えてもアドオン作りに時間を投下している余裕はありません。

そこで、とりあえずとして、アドオンではなくブックマークレットで同種の機能を実現してくれるものを検索しました。クリップボードの直接放り込んではくれないものの、一から自分でaタグを書く手間からは解放されそうです。

あとは時間を見て、アドオン作りにでも取り組もう……など思っていたら、たまたまの検索で、ほぼ同じ動きをしてくれるアドオンを発見してしまい、私のアドオン作りの意欲は、一瞬にして霧散してしまったのでした。

たぶん、原稿的にはそれでよかったのだと思います。

〜〜〜技術と方法論〜〜〜

梅棹忠夫さんが『知的生産の技術』の中で、技術というのは没個性なものだ、という旨のことを書かれていました。たしかにそのとおりです。だからこそ、技術というのは伝達・共有できるわけです。

一方で、没個性的なものだけで個性的なものを生み出すことはできません。でもって、求められている成果物はやはり個性的な(≒他にない)ものでしょう。ここにギャップがあります。

以前、知的生産の技術を3つの階層で考えました。基礎的なもの、ジャンル・業界的なもの、その人だけに属するものです。この三層からなるピラミッドで知的生産の技術は構成されるのではないかとみたわけですが、その構成全体はむしろ技術ではなく方法論と呼べるのではないか、という気がしてきました。

つまり、ピラミッドを形作る石ひとつひとつが技術で、ピラミッド全体が方法論です。

そうすると、構成する技術たちがいくら没個性的なものであっても、それらから構成される方法論はいくらでも個性的になり得ます。ようは組み合わせの問題だからです。

これでギャップは解消できました。

〜〜〜幸福と絶望〜〜〜

功利主義に「最大多数の最大幸福」という概念があります。

それぞれの人の目標は幸福を得ることであり、そうした人々から構成される社会の目標もまたそうした人たちの最大多数が幸福を得られるようにすることだ、といった考え方です。

有名なのはトロッコ問題で、このままトロッコが真っ直ぐ進めば五人を轢いて(≒殺して)しまうが、路線を切り替えれば一人の被害で済む、というようなとき、路線を切り替える方が道徳的に正しい、というなことを功利主義は主張します。

たしかに、五人死ぬのと、一人を死ぬのであれば、そして、平等主義者が唱えるように「すべての人の価値は平等である」という考え方を受け入れるのであれば、たとえ消極的であっても、五人死ぬことを回避して、一人死ぬことを選ぶ方が良さそうな気はします。

しかし、このトロッコ問題が、これほどまでにすっきり答えを導き出せるのは、妙な言い方になりますが、トロッコで轢かれた人が死ぬからです。死人に口なし。

もし、五人をひき殺す代わりに、一人を半身不随の重傷に追いやってしまうとしたら、どうでしょうか。その生き残った人は、自分が身代わりとなった五人やトロッコの運転手、あるいはそうしたものを許容する社会全体を憎悪するかもしれません。その深くて黒い憎悪は、ときに致命的なダメージを社会に与えこともあるでしょう。

もちろん以上も話をシンプルにしているだけであって、たとえトロッコにひき殺される場合でも、その人の家族がまだその社会に存続していれば、似たようなことは起こりえます。そのとき、功利主義者は「そのような憎悪を抱くのは道徳的に正しいことではない」と説得するでしょうし、また憎悪による「最大多数の最大幸福」へダメージを与えるような行為を抑止するための暴力装置(≒警察、軍隊など)も、必然的に要請されます。

むしろ、暴力装置が機能するところでしか、「最大多数の最大幸福」は成立しえない、と言えるのかもしれません。

こういう話が好きな方は、アニメ『PSYCHO-PASS』シリーズをぜひご覧ください。面白いです。

〜〜〜Q〜〜〜

さて、今週のQ(キュー)です。正解のない単なる問いかけなので、脳のウォーミングアップ代わりにでも考えてみてください。

Q. 今年中にやっておきたいことは何かありますか?

では、メルマガ本編をスタートしましょう。

今週も「考える」コンテンツをお楽しみくださいませ。

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2017/11/20 第371号の目次
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○BizArts 3rd 「業務日誌について」
 タスク管理を掘り下げていく企画。今回は業務日誌について長めに考えます。

○SS 「将棋2.0」
 読み切りのショートショートです。

○Rashitaの本棚 『ライフハック大全』
 Rashitaの本棚から一冊紹介するコーナー。新刊あり古本あり。

○7wriner開発日記 vol.6
 最近注力しているWebツールの開発顛末を書いています。

※質問、ツッコミ、要望、etc.お待ちしております。

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