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アーネスト・ヘミングウェイ(文学:九日目)

好き嫌いは別として、文学を語る上で避けては通れないのがヘミングウェイでしょう。アメリカ生まれのこの作家は、簡素な文体と冒険的なテーマで一世を風靡し、後世の作家のスタイルにも強い影響を与えました。

二日目に出てきた『ユリシーズ』は、複雑な文体であり、物語の内容としては(冒険ではなく)日常なわけで、文学的関心がなければだいたい無視されてしまうわけですが、ヘミングウェイの作品は違います。テーマ、ストーリーテリング、文体と三拍子そろって読者を引き込む要素があります。

著名な長編作品としては以下があるでしょう。

1929年『武器よさらば』
1940年『誰がために鐘は鳴る』
1952年『老人と海』

最後の『老人と海』で、1954年にノーベル文学賞も受賞しています。ちなみに、彼の死後にも残された原稿から作品は出版されているのですが、特に興味を持たなければ名前も知らない作品ばかりです。

あと、長編以外にも短編作品をいくつか世に送り出していますが、これまた文学に興味がなければ知らない作品ばかりです。これってなかなか面白い傾向です。

さて、ヘミングウェイと言えば、フローズン・ダイキリを好んでいたのが有名です。カクテルを扱った漫画作品にはだいたい彼の名前が出てきます。あと、モヒートも好きだったようですね。なかなかワイルドです。あるいは、そういうイメージ戦略だったのかもしれません。だとしたら、彼は売り手としても優れていたのでしょう。

あともう一つ、ノート好きの間でも彼は有名です。以下はMoleskineのサイトからの引用です。

Moleskine®は2世紀の間、ヴィンセント・ヴァン・ゴッホ、パブロ・ピカソ、アーネスト・ヘミングウェイ及びブルース・チャトウィンなどの芸術家や思想家に愛されてきた伝説的ノートブックの相続人であり継承者です。

ヘミングウェイがモレスキンを本当に使っていたのかは知りませんが、彼のようなスタイルで書く場合、屋外で立ってでも書けるノートを重宝していたのは間違いありません。現代ではそういう用途でスマートフォンが使われがちですが、案外重厚なノートを使ってみると、スマートフォンでは代替できない良さがそこにはあることがわかります。

あと、原稿を金庫に入れて寝かせていた、というエピソードが私は結構好きです。時間をおいて推敲すること。それによって作品の質を高めていくこと。それが時を超えて残る作品を生み出すには必要なのでしょう。あるいは、そういうエピソードもまた、イメージ戦略なのかもしれませんが。


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