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『Manga マンガ』大英博物館マンガ展図録レビュー

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まさかの洋書(?)、あの、大英博物館で昨年行われた『Manga マンガ展』の図録です。

届いてびっくりこの分厚さ!

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学研の図鑑とほぼ同サイズ、同じような厚さで351頁ありました。(比較対象の超人図鑑は今回は関係ありませんw)

めっちゃ読み応えありそうです。

なにしろマンガ展の図録ですから、編集も気合が入っているのでしょう、普段よく見かける美術展等の図録とはかけ離れた遊び心あふれる作り。表紙カバーの美麗なアシリパさんグラフィックをめくってみれば、そこには赤塚不二夫ワールドが広がり、裏表紙には鳥獣戯画ライクな、これはこうの史代さんのギガタウンっぽいですね、マンガ風ウサギさんにアリスの遅刻ウサギが変化しています。

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↑表紙カバーをはずした、本体の表紙と裏表紙

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↑裏表紙部分の表紙カバーを開いたところ(ギガタウン読み直してみましたけどこういうカットみつかりませんでした。もしかして描き下ろし?)

こうの史代さんのギガタウンはマンガによく使われる図譜記号=漫符の辞典になっている不思議なマンガです。このウサギのみみちゃんがサザエさん的なボケをかましつつ、マンガの「お約束」を体を張って解説してくれているマンガなのです。そういえばそういう「お約束」は、私たち日本人にはおなじみのことで、もう遺伝子レベルで会得されている気がするのですが、海外の方には免疫がないのでやっぱり解説が必要なのでしょうね。
実際、この『Manga展図録』でも多くのページを割いてギガタウンを紹介しています。

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↑こんなかんじで漫符の説明マンガを、さらに英語で説明をしています。コマ割りに数字を入れて、どういう順番で読むのかも説明されているところが初心者にもやさしいw

こんな調子でマンガの嗜み方、楽しみ方を広く、様々なジャンルを横断的に紹介しつつ、かなりマニアックなところまで丁寧に解説しています。

少女漫画とはなんぞやから

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ガロに

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コミケ。それから北斎・浮世絵、手塚治虫、最新のマンガももちろん。

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多くの漫画家さんや関係者のインタビュー。

短編などは一話まるまる掲載されていて感激しちゃいます。

けっこう感動的な話が多くピックアップされていて、読んでてグッときちゃったり。(萩尾望都先生の『柳の木』全頁収録は泣けました!)

キュレーターさん好きなんでしょうねえ。マニアも喜ぶチョイス。とても良いです。

洋書ですから左綴じの本なのに「ここから〇ページは逆に読み進めるから、〇〇ページまでいって戻りながら読んでください」と(英文で)解説がはいっているってのも泣かせます。かつてマンガを輸出するとき、左右逆転して印刷されていて右利き左利きがおかしくなったといわれていたのが嘘のよう。ちゃんと美術作品として、正しく読めるようになっているのですね。

全体を通して「さすが」の一言です。海外でよくぞここまで過不足なく集めてうまくまとめたものだと感心してしまいます。

こんな内容の展示があの大英博物館であったのですよねえ。行きたかったなあ。でも、行けなくてもこの本があれば行った気になれちゃいますよ~。

それが今ならなんと(2020/03/25時点で)Amazonさんで¥2,970とお買い得! (定価は ¥4,190とのことなので約3割引き!)

マンガ好きなら、絶対おすすめ。英語の勉強にもなります(ほんとなりそうw)。海外の方へのプレゼントにもいいかも?

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↑ポチったら何と翌日届きました。イギリスって近いなあ(違)


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