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『昆虫おもしろブック』レビュー

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『昆虫おもしろブック』

矢島 稔 (著), 松本 零士 (著)

昆虫学者の矢島 稔先生と言えば、「こども電話相談室」の昆虫関係の質問を引き受けている方なので、声はラジオで聞いたことあるかも? (子供よりへたしたら昆虫に向けての)愛のある回答で有名です。

そしてあの松本零士先生が挿絵を描かれているのです。が、挿絵は挿絵なのですが、両方の先生が同列に著者になっています。
単に文章の補足としての挿絵ではなく、松本零士先生は松本零士先生で、しっかり自分の世界で昆虫について絵のなかで語っています。これがまたけっこう詩的w 松本先生特有のモノローグがじゃんじゃん入りますw

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↑よくマンガの宇宙空間の背景に突然巻き物が出てくるアレのことです>モノローグ

前書きで矢島 稔先生の書かれているところによると、松本零士先生も矢島先生同様に昆虫少年だったそうです。(昆虫少年って言うとなんかデミヒューマンな気がするけどそうではなくってw)
なので、昆虫の世界をよく知っていて、その体験をもとに人間くさいチョウのレディやバッタの兵隊を描いていただけたとのこと。
もちろん両先生にちゃんとコミュニケーションはあったとおもいますが、この本文と絵がお互いに補って同じテーマを書かれているところをみると、同じ昆虫少年どうし、けっこう阿吽の呼吸だったんじゃないかと想像しちゃいます。
写真みたいな正確な描写がされた昆虫図鑑もよいんですけど、こういうアーティステックなイラストを見ると、昆虫ラブな少年が大人になって、昆虫についての偏愛を詩的に情感をこめて描いているんだわあ。と、そんな気がしてちょっと嬉しかったりもするのですw

(わたし自身はムシは少々苦手なのですけれどね……w)

↑まるでこんなムシムシした少年時代を過ごしてきたお二人なんじゃないかしらんって思えてくるのですよんw

ちょと余談
さてさて、上のゲーム画面(あつまれ!どうぶつの森)ではいろんな虫が出てきます。今の都会じゃ絶対みつからなそうな虫たちを自然の中で網をふりまわしてじゃんじゃん捕まえられるのです。それぞれとってもリアル。

虫を捕まえまくる快感(?)を初めて知り、あんまり虫に興味なかったワタシもいろいろと調べててみたくなり、この本を開いたわけなのですね。
虫から距離がある(物理的に接触する機会ないですもんねぇ)今の子たちも、こうしてゲームが興味の入り口になってくれたらよいですねー。そんな気にさせてくれる良いゲームなのです。あつ森☆ (レックス君よいわー♡)というわけで余談終わりw

ゲームから興味を持って、本で正確な知識を。と、良いパターンじゃね。むふふ。というかんじなのではあります、あるんです、がw

矢島先生も松本先生も、けっこう、なんていうか(まあ、生態を描くなら当然なんでしょうけれど)あけっぴろげに男女の営みを書かれているので、その点だけはご注意を。弱肉強食・生存競争の激しさも愛の営みも、オブラートに包むことなく描いています。(別にアゲハチョウの性器や性癖をそこまで克明に描かなくても……w まあ、もちろん知らなかったことなので知識にはなりましたけどねw)

知らないことを知れることはやっぱりこういう本のだいご味だと思います。

そして、情報・データとして知ってはいたけれど、ちゃんと知識として身についていなかった事柄を、情感のこもったイラストで教えてくれるのも、この本特有のすばらしさ!

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↑バッタは群体になると、性格も体つきも変わってしまって

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↑こうなっちゃう。

このあたり、以前『バッタを倒しにアフリカへ』って本で読んで知ってはいたのですが、あらためてイラストにしてくれるととても分かりやすくて記憶に残るかんじです。
※『バッタを倒しにアフリカへ』は『らせんの本棚IV』でレビューしてます。Google+消滅に伴いネットの海からは消失しちゃってますが、Kindleでは読めます。あちらも面白い本なのでぜひどうぞー☆


ゲームも「体験」として知識を身につけさせてくれるし、こうしたイラストは文字や文章で読んで知った、だけでなく、感情や気持ちを含めて心に刻み付けてくれる、そんな気がする、よい「読書体験」をさせてくれる良著でありました。

(変な性癖に目覚めちゃうかもしれないけど)いろんなことに興味をもつお年頃のお子様と、自然界への好奇心をそのまま持って大人になれた方々におすすめです☆

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