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『ロケット・ササキ/ジョブズが憧れた伝説のエンジニア・佐々木正』レビュー

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『ロケット・ササキ/ジョブズが憧れた伝説のエンジニア・佐々木正』

大西 康之(著)

パーソナルコンピュータ開発戦争以前に行われていた電卓開発戦争。
デジタル産業の黎明期ですね。
その時代の先頭、世界の最先端を突っ走っていたのは、シャープとカシオでした。
その、シャープ側(当時は早川電機という社名だったそうです)の技術の陣頭指揮を執っていた佐々木正氏の伝記です。

戦争を体験し、敗戦直後にアメリカにわたってかの国のすごさを体験・吸収し、日本人離れした行動力・発想力と顔の広さで世界のエンジニア、ビジネスマンと丁々発止を繰り返し、彼の発想のスピードはジェット機では追い付けないと『ロケット・ササキ』とNASAのエンジニアから呼ばれたという、伝説の「型破りな日本人」。
そういう人が居たってことはちらりと聞いていましたが、こんなにも痛快無比な人生を歩まれた方だったとは!!

惜しくも、この本が出た後、2018年1月に102歳(!)でお亡くなりになりました>< その生涯の最後まで最先端のテクノロジーに熱い好奇心を向けられていたそうです。
※文庫版あとがきではその直前にお会いした筆者とのエピソードや、佐々木氏を『大恩人』と言う孫正義さんからのお言葉も寄せられています。

それにしても、ホントすごい。
真空管からはじまって、ダイオード、トランジスタからIC、LSI、MOS、CPU、MPU、液晶パネルに太陽電池などなど、こうした現在のデジタル産業のキーテクノロジーのタネや卵がすべてこの時代に生まれ、そのどれにも、本当に「どれにも」最先端でかかわり、シャープの技術トップとして、他社と命を削り合う半導体開発競争を仕掛け続け、ビジネスに結び付けていた人なのです。シャープという会社は当時はほんっとすごかったのですね。そのすごいの中心にこの佐々木さんがいて、シャープだけでなく日本を世界のエレクトロニクス産業の先頭へと導いた方なのです。
こうしたエピソードのひとつひとつが面白くて一気読みでした。

『スティーブ・ジョブス』や『電子立国・日本の自叙伝』や『イノベーターズ』、『パソコン創世記』あたりが好きな人にはめちゃくちゃおすすめです。

インテル創業者が頼りにして、ジョブズが憧れた日本人。孫正義さんが『大恩人』と言っていますが、日本や世界のコンピュータを利用している人はだれもが『大恩人』と言ってよい、言わなくてはならない大偉人だと思います。スゴイひとです。ほんと。


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