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若者達との宴について思うこと

約3,500文字と少々長いので、サブスクを観尽くしてしまい暇すぎる時の暇つぶしにでもどうぞ。
緊急情報や生活に役立つ裏技は入っていないので、気が向いた時に。

約2年前、僕がnoteを始めて間もない頃に公開した記事にも書いたが、定期的、いや、不定期に限りなく近い定期的な形で開催される飲み会がある。

メンバーは男性が僕を含めて2人、女性が2人の合計4人。
元々は6人で飲む機会が多かったのだが、仕事の状況等によりここ最近は4人が固定メンバーとなっているフシがある。

僕と彼らとはだいぶ年齢が離れており、20代から30代前半の3人に、40代の僕が仲間に入れてもらっている格好だ。
何故こんなおじさんが誘い続けてもらえているのかは謎ではあるが、世代の違う彼らと酒を飲む機会というのは、それはそれで心地良いものだ。

世代が異なれば、普段の酒の飲み方とは違った新鮮な出来事が起きることがある。


讃岐うどん

昨年の後半くらいだろうか。
「今回はカラオケ!」と誰かが言い出す。
場所は駅の東口にあるカラオケ店。
さて早速…と思いきや、最年少のCが口を開く。

「丸亀製麺でうどん食べてから行こうよ!」

Why?なぜ?

全員きちんと仕事に就いているし、恐らく食うに困っている人間はいない。
いや、食うに困っていたらこんな飲み会には参加しないだろう。
よって、『安い店で腹を膨らませてから行けば節約になる!』などという理由は真っ先に排除される。
しかし、それ以外に理由が思いつかない。

即座に訊くと、「いや、カラオケで出てくる変な冷凍食品にお金払うより、チェーン店だけど確実に美味しいものを食べた方が良くない?カラオケはその後で行こうよ!」

斬新な意見を理路整然と、しかし屈託のない笑顔で言われてしまうとおじさんは弱い。
なるほど、そういう考え方があるのか。
若い子たちはしっかりしている。
しかし、、、いや、よそう。
お金のない学生時代、飲み代を浮かすためにコンビニでおにぎりやパンを買って友人と食べてから安い居酒屋に向かった光景が20年ぶりに頭を過ったが、それは言わないでおくことにした。

僕はカウンター席に並んで彼らと讃岐うどんを食べ満腹になり、その後同じビルに入居しているカラオケに移動して楽しい飲み会を終えた。


活動方針

正月。
なんとなく予定を合わせ、新年会と称し焼鳥屋で飲み会が開かれた。
話題は尽きないが、前述の丸亀製麺経由のカラオケについて誰かが言及する。
「うどんでお腹いっぱいになってからビールはちょっとキツかった」
「大人になってあんなことすることになるとは思わなかった」
皆が文句交じりで話すが、無論、誰も本気ではない。
それ自体も楽しみ方の一つなのだ。
僕もそれに乗じる。
「学生じゃないんだからさ。こうなってくると『次の飲み会はサイゼリヤだね!』とかなっちゃうじゃない。勘弁してくれよ。」

これがトリガーになったのだろうか。
ひとりが言う。
「…え?それ、、、楽しそうじゃない??」

かくして、2023年の飲み会会場候補は下記の通りに決定した。
・バーミヤン
・サイゼリヤ
・餃子の王将
・びっくりドンキー

普通の大人が会場としてリストアップしない、「そんなわけないスケジュール」が完成した。
既にバーミヤン、サイゼリヤは開催済。
毎度、レシートの長さに反比例した飲み代の安さにビックリしている。
そして、チェーン店で飲むのは案外面白い。

ちなみに、僕はこの時のサイゼリヤでエスカルゴ童貞を捨てた。
いわゆるカタツムリを想像し勇気が出ずに40歳を迎えてしまったが、意外といけた。
本場で食べたらもっと違うのだろうか。
最年少のCが「エスカルゴにて筆おろしw」などと言ってケラケラと笑っていたが、響き的に多少意味が変わってくる気がしたのでゾッとした。


Yの誕生日

人の誕生日を祝うというのは良いものだ。
今年からだろうか、我が飲み会にも「誕生日が近いメンバーにプレゼントを贈る」という流れが起き始めた。

ある飲み会の数日前。
「Yちゃんの誕プレ何がいいかな!」
最年少のCが個人的にLINEを送ってくる。
タメ口についてはもはや何も思うところは無いのだが、「誕プレ」というキラキラした若者言葉に少々の気恥ずかしさを感じ、おじさんは目まいがする。

気張ったものを送りあう風習は無い為、連絡が来たその日に僕が仕事で出掛けていた山形県の道の駅で「何か良い感じのものを買う」ということに落ち着いた。

時間が出来たので道の駅に赴き、候補を見繕って選択肢の写真をCに送る。
まともそうな下記の2パターン。

生ものバージョン


酒の肴バージョン

これに加え、「ちょっとー、やめてよ!絶対いらないってww」というCとのじゃれ合いを想定して冗談のような写真を送る。

山形の伝統工芸品「一刀彫」

やはり若者の価値観は理解しきれない。

「スベっても知らんぞ」という忠告はしたが、「可愛い!」との鶴の一声で、3枚目に決まった。
否、鷹の一声と言った方が良いだろうか。

贈られた本人もさぞ気に入った様子で、後日こんな写真をグループLINEに送ってきた。
もともと猛禽類が好きとのこと。
知らねぇけど。

可愛い…のか…?

まさかの推理

Yに伝統工芸品の鷹を贈ったその日、実際のところ彼女の誕生日当日からは約2か月ほどが経過していた。
その間飲み会が開催されなかったため、遅れて祝った格好だ。
ここで、一つの問題が生じる。
実は、最年少とのじゃれ合いを画策して木彫りの猛禽類を手に取っていたその日から2週間後が僕の誕生日。
僕は「まぁ、実際俺の誕生日の方が近いんだけどね…。」と切なくなるタイプの人間ではない。
以前にも書いたが、僕は「誕生日を祝われるのがとても苦手な人種」なのだ。


とにかく、バレるわけにはいかない。
祝われるのが苦手な上に、日程的なことを考えるとバレた際に「あ…なんかごめんなさい…」みたいな空気になることが余計に怖い。
細心の注意を払いながらYの誕生日だけを祝い、何事も無かったように過ごさねばならない。

猛禽類でYを祝い終わりホッとした頃、男性メンバーであるOが紙袋を卓上に出し始める。
「で、続きまして、思うさん実際には本名で、誕生日、おめでとうございます!」
他メンバーもそれに続けておめでとうを言ってくれる。

…???
なぜバレた??
彼らはこのnoteの存在を知ってはいるが、日付を書いたこともないし、もちろん直接自分の誕生日を教えたこともない。

訊けば、カンでプレゼントを用意し、勘で祝った、とのこと。


そんなわけあるか。

これまでの僕の言動や行動を分析、季節的には今頃のはず、ということは〇月!との緻密かつ雑な推理を見事に的中させ、いまこの瞬間を迎えているという。
無論、祝われることが苦手ということもnoteの記事によって知っていた為、直接聞いたところで誤魔化されるだろうというところまで考えていたようだ。


怖っ。


いや、そうは言ってもだ。
そこまで考えて祝ってくれるのだから、嬉しくないわけがない。
嬉しさと恐怖に震えつつも感謝の気持ちを伝え、包みを開ける。

中から出てきたのは…


シャープペンの芯。




どうだろうか。
いま、これを読んでいる貴方は「かわいそう」「いじられてる」「若者達から恨まれてるの?」「おじさん嫌われてるの?」と思ったことだろう。

だが、実際に僕が彼らに放った感想は、こうだ。


「君ら、よく分かってんじゃん!」


恐らく、多くの人は「いや、いらん」と思うことだろう。
贈ってくれた彼らでさえも「自分では欲しいとは思わないけどね」と言っていた現物が、これだ。


「メインではない」とのことだが、
シャープペンと「通常の」芯も付けてくれている。
メタル素材。
メカニック。
太さ0.3mm。

僕のnoteの記事を片っ端から読み漁り、検討に検討を重ねたとのこと。
文房具好きであること、ガジェット好きであることを勘案し、こうなったという。
頂いた物の値段を調べるなど本来はしない、してはならぬ行為なのだが、当記事作成にあたり大変失礼ながら検索させてもらった。
500円前後だろうと踏んで調べ始めたのだが、驚愕した。


1,650円也。

プレゼントの価値は値段ではない。
贈ってくれたこと、選んでくれたこと自体が、とても嬉しいのだ。

だが、敢えて言いたい。

シャープペンの芯ケースが1,650円は高すぎる。
たしかに、僕も自分では買わない。
絶対に。

しかしながら、僕の誕生日を推測するところから始まり、気に入るであろう物を一生懸命考えてくれたことに痛く感激した。
そして、プラスチックの強度で充分、かつ100均でシャープペンの芯が買える時代にこれを選んでくれた彼らのセンスが僕のツボに入った。
何より、かっこいい。
こういう無駄に頑丈でオーバースペックな感じ、大好き。

今後も祝われることが得意になることはないだろうが、たまにはいいな、と思えた一日だった。


次は、王将あたりで開かれるのだろうか。



※とある時期に開かれた過去の飲み会の話を時系列をバラしてランダムに書いた記事なので、「もうすぐ僕の誕生日です!」ということではない。
よって、コメントに「おめでとう!」などという書き込みは謹んで遠慮申し上げる。
変な空気になるので。



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