雲が帰る場所は
〜秋雲と山〜
「やぁ、どうも。君ってずいぶん大きいね。」
「はじめまして こんにちは。ありがとう。」
「僕、さっき生まれたんだ。これからいろんな旅ができるんだって。南から北までいろんな景色が見れるんだ。」
「それは素敵なことだねぇ。」
「君は退屈じゃないのかい?だって生まれてから動けずにずっとそこにいるんだろう?それってきっとつまらないよ。」
「そうかもしれないなぁ。けど僕はここでこの場所をずっと見守ってきたんだ。多くのことは変化する。僕が生まれた時、ここにいた人間や動物は、もういない。けど僕は、変わらずにずっとここにいる。永遠にこの土地を、生命を見守って行く。君が今見渡したこの景色も、こうなるまでに何千年も経ってるんだ。」
「なんかそれってすごいかも。」
「そうだろう。きっと旅を楽しんで。今度またここへ来て思い出話しを聞かせておくれよ。ずっと変わらず、ここにいるから。」
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