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フタツカHDのM&A報道を踏まえて思うこと・・・

・はじめに(記事あり)

先日、ネットにて、下記の記事を拝見しました。
ココカラファイン、調剤薬局のフタツカHDを子会社化
(ドラビズ on-line様 2020年11月12日より引用)
ココカラファインは兵庫県を中心に調剤薬局70店舗を展開するフタツカホールディングス(代表者:二塚安子氏)の全株式を取得し、子会社化したと公表した。フタツカホールディングスの概要は、所在地兵庫県神戸市中央区小野柄通7-1-1。事業内容は、調剤薬局事業、ドラッグストア事業、通所介護・居宅介護支援事業、保育事業 他。
2018年4月2日設立(創業は1983年)。大株主と持株比率については、大株主が個人であり、守秘義務を締結していることから非開示。
最近のフタツカホールディングスの業績は、売上高119億6400万円、営業利益8億7900万円(2020年3月期、HDと子会社の単純合計値)。

株式取得価額については、非開示だが、第三者機関により実施されたデューデリジェンスの結果を踏まえ、DPC法等に基づき決定したという。
ココカラファインは、フタツカホールディングスの子会社化により、中核事業である調剤薬局事業の主力エリアでのドミナントを深耕し、社会・生活のインフラ企業として地域におけるヘルスケアネットワークの構築を推進したい考え。

本件のココカラファインの通期業績への影響は、見通しに織り込み済みとなっている。今後、見通しに変化がある場合は速やかに開示する方針。

この記事を拝見したときに、昔を思い出しました。
・自分もM&Aされた経験があること
・薬剤師の学会発表がここまで活発でない頃、大阪にて、自分が学会発表したときに、フタツカ薬局の名前をよく拝見したこと


また、記事を見たときに正直、やっぱり・・・と思いました。
現在の薬剤師業界は、残念ながら今後一層、一般企業のようにM&Aや採算性を追うことになると思います。追わないのであれば、自分の給料は下がっていくかある日売却・もしくはリストラ対象になる可能師があると思います。

こういう記事を書くと必ず賛否両論はあると思います。医療をお金儲けの手段にするななどきれいごとを思う方はいるのは理解しています。
そういう人はそれでやればいいと思います。
そういった意見があることを理解したうえで、自分なりに考えを書きたいと思います。
また、自分が経験したこともここで書かせていただくことで、現場の方々に少しでもいろんなことを考えていただいて、日々の業務や対応、今後に向けてどのようにしていくかなどのヒントになれば、幸いです。
(今回長文になってしまったので、もし興味があれば読んでみてくださいね。)

・M&Aされた時

自分がM&Aにあったのは、ちょうど、10年以上前(20代後半 現年齢は不詳ということで(笑))のことです。大手調剤薬局が、M&Aを本格的に開始しはじめた頃だったと思います。

自分が新卒で勤めていた調剤薬局は、失礼な言い方をするといい加減な薬局でした。友達同士で会社を立ち上げたため、採算性もきちんと追わず、自分を正当化するためにいいわけばかりして、その割にプライドが高い・・・。社長も、お願いをして入社していただいたため、管理薬剤師をコントロールできない。

まあ、ある意味、M&Aされるのは当たり前かなと思います。薬剤師としての薬の知識としては、すごくできる方~いまいちな方まで幅広い層でした。自分の上司である管理薬剤師は無能すぎて嫌でしたけど(笑)。怒鳴る・喚き散らすは当たり前。患者さんにも嫌われている管理薬剤師の下で、全従業員が不満を感じている中、毎日、業務をこなしていました。

M&Aは、ある日突然訪れます。
そりゃそうですよね。そんなことみんなに相談をしてやっていたら、反対されるのは目に見えてますから(笑)。
朝一で社長が各店舗を回り、各店に説明がありました。ポイントとしては、以下の二点でした。
・大手に売却をする
・雇用は変わらないから、安心して働いてほしい
 (のちにわかったが、転籍のため一回退職(笑))

そして、別な日になるとM&A先の方々(支店長、部長、課長(エリアマネージャー)、その他(人事、システムなど))が一気に乗り込んできて、あれよあれよという間にすべて大手の管理がスタートしました。
算定方法・業務フローも大手のマニュアル通り。まあ、今まで好き放題していた方々は、ついていけるわけないですよね・・・・。
大手のやり方を覚えなければいけない。もちろん、M&A後は様々なすり合わせが待っています。すり合わせをするということは軋轢は多少なりとも生まれます。その調整は大変なのです・・・・。大手側も、グループで購入するのも初めてだったのと、エリアマネージャーにM&A等の経験が不足しており、すり合わせをする力がなく、カオスな状態でした。日々の業務を回すので精一杯。とてもすり合わせまでいかず、一人減り二人減りといった感じでした。最終的に、1年間で薬剤師が40名ぐらい→自分を含めて5名まで減りました(笑)。現在では、自分もいないのでいいところ知っている感じだと2名ぐらいかと思います。

自分は、その頃はちょうど、経営をあまりにも考えてない・無能な管理薬剤師の下で働くのに嫌気をさしていたので転職を考えていた時期でしたので、一人だけラッキーと思っていたのは内緒です。(笑)
そのため、M&Aがあった瞬間に、すぐに異動願い出て、本体の方で一から覚えることを選びました。当時、M&A前はほぼ紙薬歴でした。M&A後はシステム化なのでキーボードを打つのが当たり前でしたが、薬の知識も自信あったし、キーボード入力もそれなりに自信があったので、異動すれば何とかなると勝手に思っていました。
ただ、現実は甘くはありませんでした。大学病院前の店舗に配属となり、毎日、80名以上の患者さんに投薬をし、在庫管理もし、システム(薬歴・レセコン・クレジット決済など)を覚え、エクセルの関数など業務に関連する様々な知識を覚えなければなりませんでした。
唯一の救いは、ヘルプで他店に行くことでした(笑)。ヘルプの話が来た瞬間に心の中で毎回ガッツポーズをしていたのは秘密です(笑)。

家に帰ってもあまりに疲れて、布団にまで行けず、床で寝落ちした日が多々ありました。ひどいときは半日で投薬を100人したこともありました。
ただ、こういったきつい経験があるからこそ、その後は、なんでもこなせるようになりましたし、管理薬剤師も数年やらせていただき、いろんな意味で感謝をしております。
当時は、本当にきつくて、その当時の管理薬剤師のことは好きになれませんでしたが(笑)。

ここで言いたかったのは、M&Aをされるときは、ソフト面(人材)ハード面(店舗・売上)ともに購入されるので、いろんな意味できついことが待っています(笑)。
まあ、M&Aするということは、売り上げ上昇が見込まれるから購入するわけですからね。

・M&A後のサポートをした時

自分は、運よく、サポートをさせていただいた経験があります。

一店舗だけのM&Aでしたが、大学病院前の大型店舗のサポート(生贄だと思いますが(笑))も経験できました。
自分が前いた薬局は、民間病院前に出店している店舗が多かったです。
上記の店舗からある日突然、異動の話が出ました。自分もヘルプでそのお店に1度だけ入ったのですが、どうも何人かヘルプで入ってもらい、現場サイドで選ばれたのが自分だったようです。はめられました(笑)。
当時、ようやく地獄だった業務もそれなりにこなせるようになり、自信がついてきた時期だったので、一時、追い出しなのかと思って、管理薬剤師とエリアマネージャーを恨んだぐらいです(笑)。結局、誤解だったんですけどね・・・。

ともあれ、自分が、M&Aの時に苦い思い出をたくさんしてきたので、それを少しでも軽減したいと思い、異動してきたら、M&Aされた従業員(8m、名) 対 M&Aした側から移動してきた管理薬剤師(1名)とのバトル真っさい中の中、自分が放り込まれました(笑)。いまだに思い出深い店舗でした。
毎日朝9時から夜11時まで店舗で日常業務をしながら、店舗改善、従業員の不満解消に向けて、管理薬剤師でもないので孤軍奮闘していました。その頃、毎月、残業時間が90時間を超えていました・・。毎月、ボーナスみたいな給料でしたが、半年たつとで20時間まで下がってきました。

自分はM&Aされた身なので、M&A側の辛さや不安がよくわかります。そのため、メンタル面業務フォローを必死にやりました。そのおかげで、管理薬剤師には目をつけられていましたが・・・(笑)。しかも管理薬剤師が俺より仕事できない人だったので余計にたちが悪く最悪でした。
管理薬剤師からしたら、自分の会社のルールを守るのも当然だし、本隊から派遣されてきた俺が仲間だと思いますよね~。
でも、大事なのはすり合わせをしていかに早く軌道に乗せるかなんですよ。仕事をいち早く覚えて、業務に集中してもらうことが大事なんですよね。
ヘルプで培った現場調整力・社内ネットワークなどが豊富にあったのですごい助かったなと今でも思います。
社内で裏ツール(オフィシャルではないシステム)とかもゲットできていたので、管理薬剤師にとっては余計に目の上のたんこぶな存在だったと思います。
その後、あまりにも管理薬剤師がひどかったので、エリアマネージャーや部長に掛け合い、管理薬剤師を好感してもらいました(笑)。
いまだに恨まれていると思いますが・・・。
その後、店舗をしっかり落ち着かせた後、自分は別のお店に管理薬剤師として異動をし、ひと悶着あったお店をまとめたあと、様々なチャレンジをしました。

このお店については、最終的に、2名ほど退職されたのですが、退職理由も、仕事や会社がいやとかではなく、家庭の事情であったり、別の仕事を選ばれるようなネガティブではない退職だったので、その部分については、自分は頑張ってよかったなと思いました。

・M&Aについて思うこと

長々と色々書いてしまいましたが、M&Aされる側は理由があります。
共通する部分としては、
 ・採算性を追わない薬局
 ・会社がある程度コントロールできていない経営状況
 ・薬剤師の質がよくない
 ・自分たちはいい仕事をしていると思い込んでいて、
  現状に甘んじている方が多い
などがあると思います。
もちろん、辛いことをいっていることは理解しています。
自分もお金儲けだけのために、べた取りをして、加算を稼ぐことがいいことか?と言われればそこは違うとは思います。
ただ、2年に1回の診療報酬改定があり、経営を考えないで、収益が下がっていたらどうでしょう?自分たちの給料も連動して下げることに了承しますか?ということは問いたいです。
そんな変な経営で成り立つわけはないですし、経営者は、経営状況がどんどん圧迫するので売却するのも当たり前です。

もちろん、薬剤師としての職能もしっかり果たす必要があるため、勉強も欠かせません。
ただ、実力があるのであれば、患者さんからもしっかりお金をもらうべきだと思います。自分は、その分、自分自身のレベルアップにお金も時間もつぎ込んできているので、高く販売することに問題はないといつも思っています。

松下幸之助さんも「経営はお金だ」とおっしゃっています。
稼いだ分はどこに投資するかも大事ですし、そもそもお金をいただくということは対価を支払っていただいているにも通じます。
「お金をもらっていない・もらえない」ということは、自分を安売りしている世間のお役に立てていないといういい方もできるかもしれません。

自分がいた時の大手は、売り上げ至上主義だったので、実力は最小限、計算できる人が強かったですが、そこは自分のプライド的に許せませんでした。
薬剤師としてしっかり職能をこなす・能力を上げて患者さんの満足度を高め、地域で頼られる薬局を目指しながら、収益も追い求めていくことをやりました。

今後は、薬局は地域のハブになると自分も思います。ただ、頼られるだけの実力のある薬剤師がいるか?という部分は自分は疑問でしかありません。

今後の薬局業界は、より淘汰をされることは間違いありませんが、閉鎖的な業界なので、中小の薬局はきっと大手や他業種に飲み込まれていくのかなと思います。一般企業では当たり前のことが、医療業界も少しずつ時代の変化の波にのまれている感じだと思います。
コロナで強制的に環境を変えさせられています。世間の変化に対応できない薬局などは最終的にはM&Aされるのかと思います。

今までの歴史からお分かりの通り、文明は便利になる方にしか働きません。オンライン診療も当たり前、処方箋自体がなくなりデータ化でサーバーに見に行く時代やドローンで配達などもすぐに行われるかと思います。24時間診療も当たり前になると思います。このような話は、多分、近い将来(5年とか10年など短いスパン)で行われるんだろうなと考えます。

・最後に

自分は本当に運がよく、きついながらもいろんな経験ができました。
お読みいただいている方々に思うこととして、薬剤師としての職能も追い求めていただきたいし、収益も追い求めていただきたいと考えています。
日本の薬剤師は、アメリカやヨーロッパの薬剤師に比べて地位が低いと一般的にいわれます。
権限も異なるという意見もあると思います。
現に、カナダでは、処方箋なしでもエマージェンシーを使えば最小限の日数を処方できたりする権限を薬剤師は持っていることは知っております。

M&Aは、される側にとっては、きついことです。いろんな立場で見ることにより、視野は変わると思います。一番は、M&Aされない経営状況にすることだと思います。
ただ、残念ながら、コロナで収益が落ちて入る薬局が増えているとお聞きしています。
今後、M&Aは、加速しながら、57000店あるといわれている薬局も少しずつ減ってくると思います。アマゾンや楽天、EPARKなど他業種がどんどん入ってきて、業界のルールを変えてきています。

自分も多少なりともノウハウは持っておりますし、大手で研鑽をし、揉まれた分、多少なりとも皆様のお力になれることもあると思います。
本当にお困りの方がいらっしゃれば多少なりとも力になれればと思います。
その時にはお声がけください。

今日もお読みいただき、本当にありがとうございました。m(._.*)mペコッ

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