【古本のはなし】昭和十年の裁縫の教科書、足踏みミシン編。
あ、昨日が更新日だったことを忘れて普通に日記を書いてしまった。一日遅れるくらいなら大丈夫大丈夫。
前回の宣言通り、裁縫の教科書を読んでいく。洋服の部が案外長いので、今回は「第一章ミシンについて」だけやろう。
一応目次を載せておくが、当時の持ち主がページの間で殺した虫の死骸らしきものがペシャンコになっているので気をつけてほしい。化石みたいなもんだと思えば大丈夫。
洋服の部で扱う題材を見ていくと、子供服やエプロンなど生活に密接した物が多い。四冊あるうちの二冊目だから、一冊目はTシャツとかだったのかなあ。
さてミシン。当然だが、手で回したり足で漕いだりする方のやつだ。今の教科書じゃやり方すら書いてなさそう。
昭和の初めの教科書だが、当時はシンガーが主流だったようだ。今はミシンといえばジャノメのイメージがあるなあ。もちろんシンガーも有名だけど、まず初めに出てくるのはジャノメミシンだろう。余談だが、私はジューキを使っている。厚い布もがっしり縫えるとレビューにあったため。その通りの働きをしてくれている。
「大同小異」って普通の文章に出てくるんだ。四字熟語を出した方が意味がよく通じるパターンてあるよね。
ボビンとボビンケースが丸船、蛇の目の2パターンあると書いてあって、丸船の方を知らんが?と思った。
現代でも使われているのが蛇の目の方だ。後ほど図が出てくるが、形は同じでも場所が違うのは面白い。
蛇の目と聞いて、器の底を思い出した。「蛇の目高台」というのがあって、そこの中央に丸く釉薬がのっていて、その周りから高台まで釉薬を剥がしている。そのため、目玉の親父みたいな見た目になる。これが蛇の目に似ているから蛇の目高台というらしい。令和の感覚だと、「蛇の目(ジャノメ)」という単語がそもそもミシンの製造会社以外で馴染みがないので、昔は当然のように受け入れられていたんだなあと思うネーミングだ。
本体の図。絵が上手い。
「ネヂ」「ハヅミ車」、発音的にそっちの表記のが近かったのかなあ。違和感がある。
今のミシンと比べても、構造の差はなさそう。ミシンの糸を上へ下へ引っ掛けるのはずっと変わってないけど、これは糸の調子を一定にするためなんだろうか。ミシンより前に織り機などで発見されたやり方なのかしら。編み物でも指を使って糸をジグザグに通してから編むしなあ。あの面倒な上糸のセットも意味があるんだなと思った。
扱いはシンプルでわかりやすいが、スタートするとき手でぐいってやる方式なの怖すぎ。一旦片手になるんでしょ。
下糸の巻き方。ボビンをセットしたら、「糸巻きを糸立棒に立て、糸巻きの小車をハヅミ車の中心のところに押し下げて運転する時は糸は自然に平に巻かれるのである。」何度読んでもわからん。やり方の動画埋め込めない?
さっき触れたボビンの入れ方。先にボビンケースに入れて、それからミシン内部に縦に入れる。
めんどくさそ〜。ボビンケースなどというのを無くして縦ではなく横に入れられるようにした人、今後下糸をセットするとき毎回感謝します。
糸のセット。今と変わらないねえ。当時のミシンには本体に糸を通す順番なんて書いてないから記憶勝負なの可哀想に。令和は本体に直接番号が書いてあるよ。
この後は、糸の調子の合わせ方や針目の調節、練習のやり方などが続き、その後手入れ方法が載っている。
掃除と注油。掃除はわかるが油を差すのか。これはミシンへ伸びる手が引っ込みますね。手入れが一番面倒なんだから。上糸のかけ方とか、手入れに比べたら全然ですわ。
図に注油の箇所が矢印で表記されているのだが、矢印すらスタイリッシュでなんなんだよ。しかも結構場所多いな。
最後に、「故障について」とあり、上糸の切れる原因、下糸の切れる原因、飛び縫いをする原因、運転しない時または運転の音が高くなる原因がまとまっている。最後に困った時にみるQ&Aが載っているのはありがたい。説明書として優秀である。
足漕ぎ型のミシン、祖母の家にあって出来たら引き取りたかったのだが難しくて処分してしまった。使えなくても机として使いたいと思っていたのに。実家に置き場所がないのと運び込みが難しいので仕方がなかったのだけど、いまこのように使い方を知ってしまうと惜しいなあと思う気持ちが再燃するのだった。
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めでたし、めでたし。と書いておけば何でもめでたく完結します。