【山梨旅行記#1】海か山かと聞かれたら、好きなのは山間。

ただいま、帰りの電車。割と時間があるので旅行記を書き始める。あ〜放置してても時間は流れる。電車も動く。座っているだけなのに、現実に引き戻されていく。ずっと現実ではあったけども。

先程、岡田悠さんの『一歳の君とバナナへ』を読み終わった。移動時間に読むために持ってきたが、ちゃんと読み終えたのですごい。この本の中で「自分の最古の記憶」の話をしていて、私はどんなだったかなあと思い浮かべる。幼稚園?いや保育園か。一緒に保育園に通っていた幼馴染が、保育園の先生にマジックを習って、それを見せられてびっくりした……これかなあ?と思った。けどいま考えたら、祖母の家の牛乳パックで作られた椅子の記憶か、家でカラオケできるやつで歌ってた記憶が最古な気がしてきた。

昔の写真を見せられて、そのときの情景を想像したのが記憶として置き換わってる可能性があるから、最古の記憶を辿るのは難しい。


岡田さんが昔好きだった絵本のタイトルを思い出す箇所を読む。疲れの中なので休み休み電車の外を見る。勢いよくトンネルに入り、暗がりからまた明るい景色が出てくる。それを繰り返す。「あ、」突然のひらめき。

実は昨日、私は「海か山かと聞かれたら、山間と答えるのが気持ちに合ってる気がする」的なことをツイートした。山間の町。そこから遠くを見る時の、山々の水色に折り重なる景色が好きなのだ。これは浮世絵などで描かれている遠景の山々が水色になっているのが、本当の景色でもそうであると気がついたから好きなのだ。と、さっきまで思っていた。でも多分それは違くて、いや違くはないけど根本ではなくて、もっと根本に近い「好きな理由」があった。

私の実家は元々目の前が田んぼで、その田んぼの切れ目から住宅街が広がって、そのずっと奥に山脈が見えた。その山脈の近いところは緑に、遠いところは水色に見える。それを無意識に感じ取っていて、それが私の根元にあるのだと思う。淡いピンク色の夕方の空と水色の山を何も考えずに眺める瞬間が小さい頃からあった。

小学六年生の図工の時間に「卒業前に教室の景色を描きましょう」という課題が出て、私は教室の窓と窓の外の景色を選んだ。どのように描いたかは全然覚えてないけど、あの景色を描こうとしたのは覚えている。小学校は震災で東校舎が下にずれてしまって、今は建て替えられている。体育館がボロボロだから、そっちも建て替えるべきだと思うが、そっちはまだそのままらしい。


電車に乗る前はお土産を買った。コインロッカーから預けていた荷物を引っ張り出し、大きな荷物で小さなお土産コーナーを回る。

「彩果の宝石」を知っているだろうか。なぜかおばあちゃんから回ってくる、謎のメチャうまゼリー菓子である。あれがかなり好きで、しかし高くて、ずっと食べていなかったのだが、似たゼリー菓子を見つけたので買う。他にも色々と。

お会計2,404円。404円をトレイに並べ、上から二千円をかぶせる。二千円を外したレジのひとが「あら几帳面にありがとねえ、かわいいわねえ」と言う。自分が分かりやすいように百円の列と一円の列を作っただけなのだが、それを発端としたよちよちが発生する。私達が去る時に、隣のレジをやっていたひとに「みてこれ!かわいい〜並べてるの!」と言っていた。お金を並べるのはそれほど可愛いらしい。



思い出話で分量使ったので、他の話は明日以降に。四日間くらい旅行記やりそうです。

めでたし、めでたし。と書いておけば何でもめでたく完結します。