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【連載】日本文化のはなし

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日本文化の色々を語る連載。とりあえず隔週月曜更新にします。現状、毎週月曜日は割とこういう系の話をしています。月曜日に知的になる人。
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#日本語

【季語のはなし】月と蛍が夏に登場することへの理解が深まるように思う

八月ももうすぐ終わりなので、いよいよ夏の季語をやっておかないと秋になってしまう。ビールはもう秋だし、アイスすら芋になっている。早いよ、まだこんなに暑いのに。 夏の季語を全部書くのは辞書なので、人間の私は気になったやつだけ言っていきます。出典は角川書店編『合本俳句歳事記』第五版。 暑い暑いで「炎昼」はいっぱい使っていきたい。真夏の灼け付くような暑い昼のことで、夏の間ずっと外に置いたままのサンダルを思ったら炎だよな〜ってなる。新しい季語で、初出は昭和十三(1938)年らしい。

【和歌のはなし】己惚れをやめればほかに惚れ手なし

田川水泡著『滑稽の研究』を読んだ。タイトル通り滑稽についての本で、滑稽についての理論と日本文化の舞踊、和歌、文学、絵画における笑いを取り上げる。理論の部分は、滑稽とは美だとか醜だとかちょっとよく分からなかったが、文化の方は読んでいて楽しかった。 前々からなんだか江戸時代が好きなんだよなあと思っていたが、それは町人の文化だからかもしれない。それまでの貴族・武士の文化から、町人の文化へ移り気軽な感じが出ているのか。上品な遊びから下品なものになると教養があまり必要なくなってくるか

【季語のはなし】「花疲れ」は花見は疲れやすいの意味

一週くらいすっ飛ばした日本文化の話を再開。何にしようかな〜と思ってたら、本棚の俳句歳時記が目に入ったので、今回のテーマは春の季語にする。 俳句歳時記を買って以来、春の季語しか読んでない気がする。教科書の最初の方だけ詳しくなるやつだ。最初の方だけちゃんと聞くからみんな序盤はちゃんと覚えてるよね。歴史でいう更新世、猿人とかのあたり。 それはそうとして、梅を見に行った。これは昨日身につけた知識だが、梅を表す季語に「花の兄」というのがあるらしい。なるほど、これは花=桜であり、桜よ