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【連載】日本文化のはなし

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日本文化の色々を語る連載。とりあえず隔週月曜更新にします。現状、毎週月曜日は割とこういう系の話をしています。月曜日に知的になる人。
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2024年2月の記事一覧

女のふりをして日記を書いたのは亡き娘を思う悲しみを書き残したかったからではないか

『土佐日記』の話する。昨晩考えてたら寝られなくなりそうだった。 紀貫之が女のふりをして日記を書いたのは、亡くなった娘を思う悲しみを書き残したかったからではないかという解釈をした。それとも、本当は新しい試みとして取り組んでいたのが、いつの間にか旅の苦しさにともなって暗い心境を書きつけるものになってしまったか。 出発の時は景気良くワイワイガヤガヤして楽しげな雰囲気なのに、二十一日に出発して二十七日には娘の話題を出しているのよね。「この頃の出立いそぎを見れど何事もえいはず。」(

【古文のはなし】土佐日記を読む。ラスト。とにかくこんなもの早く破ってしまおう。

前回のあらすじ(二月五日) 船の舵取が使えない。「今日は天気が悪くなるから」と言って船を出さなかったのに、普通に天気良くて一日無駄にしたし、海の明神を鎮めるためとか言って貴重な鏡を海に投げやがった。こいつ、マジでなに?とはいえ、京都まであと少し。あとしばらくだあとしばらくの辛抱だよ〜これは俺の余裕の証。(本歌:デッド・エンド/テニスの王子様ミュージカル) 原文↓ 前回↓ ○ 六日、澪標から出て難波に着き、河尻に入る。海の旅が終わり、老若男女みんな額に手を当てて喜ぶこと

【古文のはなし】土佐日記を読む。この舵取は天気も読めないし欲が深い。

前回のあらすじ(二月三日) 京都へと帰れぬまま二月になってしまった。麻を縒って紐にしても、紐を通らない涙の玉しかないから意味がなく思われる。 原文↓ 前回↓ 〇 四日、舵取が「今日の風雲の様子はかなり悪い」と言って船を出さなかった。しかし一日中波風立たず。この舵取は天気も予測できない愚か者だ。 >シンプル悪口。船を出せたはずの日に出さなかったらまあ悔しいだろうけども。 この泊の浜にはさまざまな美しい貝や石がたくさんある。それで、土佐で亡くなった女子を恋しく思って船