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4-6. 溶液の濃度

こんにちは、おのれーです。

4章もいよいよ今回で終わりです。4章の締めくくりは、受験生でも苦手な人の多い「溶液の濃度」についてです。

でも、心配いりません。

紙の上で実験をするつもりで、一つ一つの段階を追いながら考えていけば、必ずできるようになります。今回も頑張っていきましょう!


■「ものが溶ける」ってどういうこと?

何か物質が溶けている液体のことを「溶液」といいます。このとき、溶けている物質のことを「溶質」、溶質を溶かしている液体のことを「溶媒」とよんでいます。

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では、コーヒーに砂糖を入れて、「溶けきったな」と感じるのは、どのような状況になった時でしょうか?

恐らく、目に見えるような砂糖の粒が無くなった時ではないかと思います。

このように、「(完全に)溶ける」とは、溶質の粒子が目に見えなくなるほど小さくなり、溶液全体に均一に広がった状態をいいます。このとき、溶質はとても小さくなっていますので、溶液の見た目は、先が透き通って見える透明の状態です。ただし、透明とはいっても、"無色透明"とは限りません。溶質の種類によってはステンドグラスのように、"色のついた透明"であることもあります。

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■よく使う「〇〇%」とはどんな濃度?

では、ここから今回の本題である「濃度」の話に入ります。

溶液の濃度といったら、「溶液の中にどのくらいの溶質が溶けているのか」を表します。

よく用いられるのは、質量パーセント濃度とよばれる濃度の表し方です。ジュースに「果汁〇〇%」と書いてあったりするのを見かけるのではないでしょうか。

質量パーセント濃度とは、「溶液100 g中に溶けている溶質の質量[g]で表した濃度」であり、単位はを用います。もっと簡単に言ってしまえば、「100 gの溶液中に、溶質が何g溶けているか」を表していると考えればよいでしょう。

つまり、"果汁20 %"のジュースが100 gあったとしたら、その中に入っている果汁の重さは20 gということになります。

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よく算数や数学で習うのは、「溶質の重さ ÷ 溶液の重さ × 100」という式だと思いますが、実はこの公式も、上に示したように、比の計算で導き出すことができます。

濃度計算が苦手な人は、何となくこの公式を丸暗記して、どこに何の数字を代入すれば良いかがよくわからないということが多いように思います。苦手な人ほど、まずは比の計算で考えてみることをおすすめします。

では、質量%濃度についての練習問題を解いてみましょう。

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ポイントになりそうなところは色を変えておきました。まずは意味を考えながら、比の計算式を立てて解いてみると、いろいろ応用できようになるかと思います。試してみて下さい。


■"mol"を使って濃度を表そう!

「質量%濃度」は、小学校や中学校でも習ってきた濃度の表し方であり、生活の中でもよく出てくると思うので、割と身近な存在かと思います。

しかし、化学実験を行う際には、物質量molを使って濃度を表すことが多いです。その方が、次の章で学ぶ"化学反応の量的な関係"を考えやすいからです。

では、"mol"を使った濃度は、どのように表すのでしょうか?

"mol"を使った濃度は、「モル濃度」とよばれ、「溶液1 L中に溶けている溶質の物質量[mol]」で表し、単位は「mol/L」を使います。これも言い換えると、「1 Lの溶液に、溶質が何mol溶けているか」を考えてみればよいということになります。

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モル濃度も、教科書などには「溶質の物質量[mol] ÷ 溶液の体積[L]」で求められると書いてあるのですが、上に載せたように、比の計算で考えてみると、この公式を導き出すことができます。

質量%濃度と同様、意味を考えながら、比の計算で練習をしておくと、少し難しい問題になった時にも対応できる力を身につけられると思います。

とりあえず、練習問題を解いてみましょう。

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比の計算式を立てる時のコツとしては、面倒でも「溶液:溶質=」という言葉を書くことです。これを書いておくことで、数字を誤って代入することがだいぶ減ると思います。


■質量%濃度をモル濃度に変換するには??

では、質量%濃度が分かっている溶液のモル濃度を求めるには、どうすればよいのでしょうか?

このような単位の変換をする際は、"何を基準に考えるか?"というところが非常に重要です。

ここでは、それぞれの濃度の定義に立ち返ってみたいと思います。

モル濃度とは、「溶液1 L中に溶けている溶質のmol」を表した濃度です。これに対し、質量%濃度は「溶液100 g中に溶けている溶質のg」を表しています。つまり、溶液については L ⇄ g 、溶質については mol ⇄ g の変換が必要だということです。

ここで最終的に求めたいのは「モル濃度」ですので、「溶液1 Lあたり」で考えてみます。手順は以下の通りです。

① 密度の大きさから、溶液 1Lが何gかを求める。(x [g]とする)
② 質量%濃度から、x [g]の溶液に溶けている溶質は何gかを求める。(y [g]とする)
③ モル質量[g/mol]から、y [g]の溶質が何molかを求める。
④ ③で求めたmolは、溶液1 L中に溶けている溶質のmolなので、モル濃度の大きさになる。

では実際に、濃度変換の問題を解いてみましょう。

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いかがでしたでしょうか?

偉そうに解説している私ですが、高校生の頃は、「え、密度? %? mol??」と、この計算が苦手で苦手でたまりませんでした。振り返ってみると、あまり意味を考えずに公式に代入しようとしていたなと…。

その苦い思い出から、比の計算で考えるというちょっと回りくどい説明をしています。もし上手に公式を活用できる人は、無理して比の計算を使わなくても大丈夫です。

今回は、ここまでです。


最後にワンポイントチェック

1.質量パーセント濃度とは、どのような濃度か?
2.モル濃度とは、どのような濃度か?
3.質量パーセント濃度が分かっている溶液のモル濃度を求める手順はどうだったか?


お疲れさまでした。

次回からは5章。いよいよ化学反応について考えていきます。お楽しみに!

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