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5-1. 化学反応式

こんにちは、おのれーです。

今日から実際に化学の真髄「化学反応」について見ていきたいと思います。第5章は具体的な化学反応というよりは、化学反応を考える際の基本となる『化学反応式』を中心に扱っていきます。


■そもそも、化学反応って何?

ものの形や状態が変わる変化のことを物理変化といいます。チョークを折ったら半分に割れるとか、液体の水を加熱していくと水蒸気に変わるとか、見た目は変わるけれど、物質そのものが違う物質に変化するわけではないときは、物理変化をしているといえます。

それに対して、物質そのものの種類が変わってしまう変化のことを化学変化といいます。

しかし、ドルトンが『原子説』で唱えたように、原子は反応の前後で新しくできたり、なくなったり、違う原子に変わってしまうことはありません。ですから化学変化とは、反応する前の物質(反応物)に含まれている原子が、何らかの刺激によってその組み合わせを変えることで、反応後に新しい物質(生成物)に変わる変化のことをいいます。

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■化学変化をどのように表せばよいか?

どのような化学変化が起こるのか、いちいち文章で書いていると大変なので、化学変化に関係する物質の化学式と数字を用いて、化学変化を表すことがあります。この式のことを化学反応式といいます。

化学反応式では、左辺に反応前の物質(=反応物)右辺に反応後の物質(=生成物)を書き、左辺と右辺を矢印→で結ぶという決まりがあります。

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では実際に、どのようにして書けばいいのでしょうか?


■化学反応式の書き方

「原子は反応の前後でなくなったり、新しくできたり、違う種類に変わったりしない」とドルトンが言ったように、化学反応式を書くときも、左辺(反応物)と右辺(生成物)に含まれている原子の種類と数が等しくなるように気をつける必要があります。

実際に化学反応式を書く時には、次の手順に沿って書いていきます。

① 化学反応式では、左辺に反応物、右辺に生成物を書き、左辺と右辺を矢印→で結ぶ。
② 左辺の原子の数と右辺の原子の数が等しくなるように、化学式の前に係数をつける。ただし、係数は最も簡単な整数比になるようにし(分数ではダメ)、係数1は省略する。

では、実際に、具体例をあげながら、化学反応式の書き方を見ていきましょう。

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いかがでしょうか? 慣れてきたらこれを目算でやっていけるようになることが理想ですが、まずは上に示したように表をつくって考えていくと分かりやすいかと思います。

ではもう1題、挑戦してみます。

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このように、初めは係数が分数になってしまっても、最後に分母の数を両辺すべての物質の係数にかければ、簡単な整数比になります。ですからまずは、とにかくパッと見た感じ一番複雑そうな化学式(有機化合物を含む反応の場合は有機化合物)の係数を「1」と置き、一つ一つの元素について数が合うように、係数をつけていけると良いかと思います。

下にいくつかの化学反応について、化学反応式を書いておきますので、ぜひ練習してみて下さい。

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■目立つ物質だけに注目して書く反応式もある!

「化学反応式」と言われたら、原則としてイオン式が含まれないようにすることが約束です。

しかし、化学反応の中には、イオンの組合せが変わることで起きるものも多くあります。そのような時、特に注目したい物質だけを抜き出し、イオン式を使って表す方法があります。これを、イオン反応式とよんでいます。

では、具体的に見てみましょう。

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この反応は、成分元素の検出などでもよく用いられるもので、「銀イオンAg+と塩化物イオンCl-が反応して、塩化銀AgClの白色沈殿が生じる」ということが注目するポイントになります。ですから、その部分だけを抜き出して、イオン反応式で表した方が、要点が伝わりやすくなります。


このように、化学反応を表す方法にはいくつかありますが、化学反応式は世界共通ですから、反応式が書ければ、世界の人にどのような反応なのかを説明することができます。非常に便利なツールなのです。

まずは、反応式の係数をつけるところから始めてみて下さい。実際に"何の物質と何の物質が反応して、何ができるのか"というところについては、これからもゆっくりじっくり見ていきたいと思います。

今回はここまでです。


最後にワンポイントチェック

1.化学反応式の左辺と右辺にはそれぞれ何を書き、両辺は何で結ぶか?
2.イオン反応式とは何か?

次回は、化学反応式の係数に注目をして、化学反応の量的な関係について見ていきたいと思います。お楽しみに!

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