5-3. 化学反応の量的関係(2)
こんにちは、おのれーです。
前回は、「化学反応式の係数から、物質がどのくらいずつ反応して、どのくらいの物質ができるのかを知ることができる」ということを学んでいきました。
今回もテーマは同じなのですが、少し複雑な問題をいくつか考えていきたいと思います。今日はひたすら問題を解きます!
■不純物が混ざっている物質を反応させたときは?
実際に実験で使う物質には、不純物が含まれていることも多いです。ですから、直接反応に関わる物質がどのくらい含まれていたかを、生成物の量から逆算して求めることもあります。
具体的に、不純物を含む石灰石(主成分は炭酸カルシウムCaCO3)を塩酸と反応させたときに生じる二酸化炭素の量から、反応した炭酸カルシウムの量を求め、石灰石中にどのくらいの割合で炭酸カルシウムが含まれていたのか、その純度を求めてみましょう。
つまりは、石灰石15.0 g中12.5 g(83.3%)は炭酸カルシウムだったけれども、残りの2.5 g(16.7 %)は不純物だったということがわかります。
つい石灰石(主成分CaCO3)15.0gと書いてあると、CaCO3が15.0 gあるように見えて、そこを基点に計算をしてしまったりすることもあるかと思いますが、あくまでCaCO3は石灰石の一部であるというところを見落とさないように気をつけましょう。
■ちょっと待って!余っている物質ありませんか?
問題文に"2種類以上の物質について量が書いてある"とき、どちらの値を基準にして考えればよいのでしょうか?
多くの場合、問題文に2種類以上の物質についての量が書いてあるときは、いずれかの物質だけがすべて反応してなくなり、他の物質は一部だけが反応して、未反応の物質が残るということが起こります。
ここでは、メタンと酸素が反応して二酸化炭素と水ができるという反応について、初めに入れたメタンと酸素の量が分かっている問題を考えてみたいと思います。
このように、過不足のある問題の場合は、反応前・変化量・反応後の量を一覧にした表を書いてまとめてあげると、分かりやすくなると思います。とにかく、最初に与えられている数値が2種類以上あった場合には、この表を書いて考えてみるとよいです。
同様に、今度は「係数の比=気体の体積比」の関係を使って考えていく問題を解いてみましょう。基本的な考え方は、先ほどと同じです。
このように、過不足がある計算は、比較的よく登場しますので、表を書いて考えていく方法をぜひ早いうちにマスターできるように頑張りましょう。
■体積といっても、溶液の体積には要注意!
これまで出てきた反応は、気体同士の反応や、固体と液体の反応でしたが、実験をする上で意外と多いのは、液体同士の反応です。
このとき、気をつけたいことがあります。
それは、「L」「mL」という体積の単位が出てきたときの処理の仕方です。
気体の反応だったら、標準状態で気体1molの体積は22.4 L(=22400 mL)という関係を使って問題を解くことができます。
しかし、液体(溶液)の場合、体積が22.4 Lだからといって、1molにはなりません。多くの場合、与えられているモル濃度[mol/L]に溶液の体積[L]をかけることでその物質のmolを求めます。
「L」や「mL」という単位が登場した時には焦らず、気体について言っているのか、液体について言っているのか、ていねいに見極めてからmolに直すようにして下さい。
では、実際に問題を解いてみましょう。
計算の手順は、これまで見てきた問題とさほど変わらないと思います。とにかく、機械的にパターンに当てはめて解くのではなく、問題がきいていることは何かを丁寧に読み取り、紙の上で実験しているつもりで一段階ずつ段階を追って考えていくことが近道です。
■混合気体を燃焼させたときは?
最後は、2種類以上の反応が同時に起きているときの考え方についてです。
最近はオール電化住宅も増えてきて、もしかしたら家にガスコンロがないというお家もあるかもしれません。地域によってはプロパンガス(LPガス=Liquefied Petroleum Gas, 液化プロパンガス)のガスボンベをガス屋さんが持ってきて、それを交換して使っているところもあると思いますが、都市部では「都市ガス」とよばれるガス施設が敷かれていることが多いかと思います。
この「都市ガス」の成分はご存知でしょうか?
実は、1種類の「都市ガス」という物質ではなく、メタン・エタン・プロパン・ブタンといった複数の有機化合物の混合物なのです。ですから、都市ガスの地域でガスコンロに点火すると、メタン・エタン・プロパン・ブタンを同時に燃焼していることになります。
このように、化学反応が同時に起こることは比較的よくあることですが、量的関係を考える時には、一つの化学反応式にまとめてしまうのではなく、一つ一つの反応についてバラバラに書いてあげた方が分かりやすくなります。
ここでは、メタンとプロパンの混合気体を完全燃焼させたときについて考えていきましょう。
連立方程式が出てきたりと、なかなかややこしく思うかもしれませんが、化学反応を考える時、問題文に与えられていない数値はとりあえずx, yなどの文字を置いて考えてみると道が開けることも多いです。
混合気体の燃焼の問題は、同時に複数の反応が起こるという問題としてはよく取り上げられるので、上記の流れを一つひとつたどりながら、手順を理解しておくとよいかと思います。
今回はここまでです。今回も、問題をたくさん解いてきたので、ワンポイントチェックはお休みです。お疲れさまでした。
次回は、これまで学んできたことが、どのような研究のもとに分かってきたことなのか、化学の歴史を学んでいきます。お楽しみに!
←5-2. 化学反応の量的関係 | 5-4. 化学の基本法則→