システム屋あるある「ユーザーの不合理」
この記事のテーマはシステム開発をするとよくある「ユーザーの不合理」について書きます。
因みに「ユーザーの不合理」は当方の作った造語です。
きっと同じことで悩んでいるシステム屋さんも、普通の会社員の方もいると思います。
ということで、なんのことか分からないと思いますが、順番に解説していきます。
1)ユーザーの不合理とは?
例えば「こういう計算を自動でしてくれるプログラムを作って欲しい」
と、お客様から言われたとします。
『それ、Excelの関数で出来るんですけど…』
みたいな状況や、
「この機能を追加して欲しい」
『その機能はシステムが自動で処理するから必要ないんですけど…。』
上記のような状況で、結果的に言うと必要がないのに作るはめになる状況のことを、当方は「ユーザーの不合理」と呼んでいます。
これよくあるんですよ…。
2)何故、不要な機能を求めるのか?
システム屋あるあるで有名なところを言うなら、
「沢山の神様」がいるために発生すると当方は思っています。
システムには多くの人間が介在します。
主幹担当者、なんか偉い人、現場の人、別の部署の人、最悪その先のお客様…など。
これを神様と呼んでいるわけですが、みんな自分の仕事が楽になるもしくはマイナスにならないように話をするわけです。
するとその過程でユーザーの不合理が発生するのです。
「このデータがEXCELで出ないと困るんです!絶対に出してください!」
『いや、そのEXCELを出さないで済むようにシステムで自動化しているんだけど・・・』
と頑張って説明はするのですが、
「…分かりました。作ります(ぐへぇ)」
となるわけです。
行間を省略していますので、「分かりました」に至るまでになにがしかの経緯があることはお察しください。
個人にとって大事なのは自分の役割だけなんですよね・・・。
3)では、10万円になります
では一つ具体的なお話をしましょう。
とあるお客様でテレビ電話機能を搭載したシステムのカスタマイズ案件を受けたことがあります。
大まかに説明すると今でいうところのZoomに近いイメージをしていただければいいと思います。
その日はお客様とのカスタマイズ内容の確認のために打合せをしていました。
カスタマイズ内容はテレビ電話の相手に質問をして、質問内容に対しての「はい」「いいえ」の回答ボタンを表示して、クリックさせるというものです。
質問が全て終了すると「通話を終了しますか?「はい」「いいえ」」という画面が表示されるのですが、ここで問題は起こりました。
お客様曰く、「いのっちさんの提案で問題ないけど、なんで通話を終了しますかのところで「いいえ」がデフォルト(初期値)で選択されているの?」
実は質問項目の「はい」、「いいえ」はデフォルト「はい」が選択されています。
Windowsのシステムなので、マウスでクリックしなくても、エンターキーを押せば選択されているボタンをクリックしたのと同じ動作をします。
通話終了の確認画面のところも「はい」にすれば、エンターキーだけ押せば通話まで終了できて便利だというのです。
当方は「『はい』をデフォルトにしてしまうと、エンターキー連打で通話が間違って終了されると困るからですよ」
と回答しましたが、お客様が納得しません。
経験則上、エンターだけを押していれば終了する仕組みにすると操作に慣れてきた人は、エンターを押しっぱなしにする傾向があるので、予期せぬ通話終了が発生すると分かっていました。
この辺の説明を再三しても納得しないので、
「では、お客様の言う通りの仕様にしますが・・・完成後に提案の仕様通りに修正して欲しいと言ったらお金とりますよ。いいですか?」
ということで合意しました。
納品が完了し、運用を開始してから1週間後くらいに件のお客様から電話がありました。
「いのっちさんの仕様にしてほしい」と。
「では、仕様の修正で10万円になります」
と説明したらめっちゃ怒ってました。
いや、でも言ったし。
結局、お金を払ってくれないので修正はしませんでした。
まぁ、操作に気を付ければ済む話ではありますので、妥当な落とし所だと思います。
因みにソフトのボタンが選択された状態は開発ツールで優先順位を設定することができます。
これをタブオーダーと言います。
「はい」、「いいえ」のタブオーダーの優先順位を替えれば問題解決するので、本当は簡単に修正できます。
でも無償対応すると、この後もただで直してくれると勘違いするのでこの辺は敢えて費用を請求しています。
4)ユーザーの不合理の対処方法
実は全ての章で共通しているのが、
「お客様の言った通りに作る」
ことです。
これじゃ、何の解決にもならないと思う方もいると思います。
ここは視点を変えて考えてみてください。
言われた通りに作るとかなり高確率で失敗するのです。
失敗の原因がお客様側にあると反省してくれます。
すると、その方のシステムへの理解レベルが上がるので話がしやすくなったりします。
この方法は少々手間がかかりますが、効果は絶大です。
失敗した後はこちらの意見が格段に通りやすくなるのです。
この作戦の要はお客様からの指示でそうしたという事実が必要です。
議事録はしっかり取りましょうね~。
後はユーザーの不合理自体を回避したい場合は、
打ち合わせの段階でお客様の中に正解がない運用がでてきたら先方が決めるまで待ちに徹するという方法もあります。
正解がないということは他の神様との連携が上手く行っていない可能性があるのでユーザーの不合理が発生しやすいのです。
勿論、こちら側でお客様の既存の運用フローを作成して曖昧だった部分を明確にするお手伝いはしてあげないといけませんけどね。
まあ、ユーザーの不合理は必ずしも害悪と言うわけではありません。
弊害が少ない場合は無理にこちらの提案を押し付けず、言われた通りに作る場合もあります。
ユーザーの不合理の正体は、今までの運用の名残だったりもします。
システム屋から見て無駄な操作でもその会社の人にとっては慣れた操作だったりするので冷静に不要必要を判断する必要があります。
以前の運用が多少残っていると、実は運用開始直後からの担当者の理解が早まって早々にシステム運用を軌道に乗せることが出きることも少なくありません。
さて、今回はここまでです。
やや、抽象的な内容になってしまったのと、文字ばかりの記事にしてしまったことが悔やまれます。こちらの記事はどこかのタイミングでリライトしようと思います。
そう言いつつ、『この記事誰が読むんだ?』とか、頭をよぎりましたが。
では、また!
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