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正義について

ワンピース(ONE PIECE)という漫画をご存知ですか?
主人公は海賊で、その敵対勢力として海軍という軍隊が登場します。彼らの将はみな、背中に正義と書かれたコートを羽織っています。
普通に考えれば海軍は政府直轄の組織なわけで、みな自分の信じる正義を貫き海賊討伐に精を出しています。
そんな彼らの表情は狡猾だったり、悲哀に満ちていたり、歯を食いしばっているような苦々しさが滲んでいることが多く、やりたい放題やっている海賊よりも幸せそうではありません。
この漫画を見ているといつもこのことについて考えてしまいます。
正義とは何なのか?主人公が海賊で、そちらに目線が合わされているから悪者に見えるだけなのか?正義がイデオロギーとしてわざと懐疑的に描かれているのか?現代の人々の社会正義(政治や国、制度)に対しての不満をうまく捉えて描かれているからなのか?偉くなった人特有の悲哀が滲んでいるからなのか?
他にもあるかもしれませんが、おそらくそれら全部が当てはまるのではないでしょうか。
いつの世も、正義があってみんなが平等に平和に幸せに暮らせたらいいのにという願いで溢れています。そんな暮らしを保証するために、正義という概念があって制度や組織の中に組み込まれている側面があります。
しかし重要なことは、常に我々の心の中に悪は存在しているということです。正義のもとにできたはずの組織の中であっても、私利私欲のために制度を悪用してしまう人や集団が存在しているということです。
だから間違った正義の主張の下、人殺しという戦争が起きたり、弱者がつらい思いをする社会が存在するんだと思います。
結局のところ、人とは自分を含めてかなりいい加減な生き物で、秩序として正義があるだけなんです。秩序としてぼんやりある正義しかない世の中で真面目に居すぎると疲れてしまいます。そんな人は絶対正義で生きているかもしれません。この世に絶対はないから、ストイック過ぎると自他含め許せなくなってしまうかもしれません。
実際に生きていくためには、秩序正義を重んじながらもある程度の不完全さを許容して生きていく必要があるのかもしれません。

結局は生き延びていく者達にのみ開かれた世界なので、こんな世の中で暮らしていくにはある程度の柔軟性こそが必要になってくるのかもしれません。


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