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デッキ解説は「目線を合わせた構成」を意識する話

こんにちは。
12回目投稿のランタン(@rantangame)です。
前回書いたポッポパオジアンの解説記事が割と評判が良く「じゃあ記事を書くこと自体を記事のネタにするか」と邪なことを思いついたので書いています。

文章を書くプロではないため専門的なことはわかりませんが、自分が考えていることを他の人に伝えるための文章は書くことが多いので今回はポケカの記事を書くうえで意識していることを実例を踏まえながら紹介してみたいと思います。

僕がnoteを書き始めたのは1年半ほど前ですが、初期の頃に書いたものだけでなく最近の記事であってもを改めて見ると微妙だな~と思うところはたくさんあるので文章を書くのは経験値のゲームだなって感じています。

想定する読者

記事を書こうかなと思ったけど実際に書いたことはないからどういった物をかけば良いのかわからない。実際の記事を参考に見様見真似で書いてみたら内容までほとんど同じただのコピペレポートみたいになってしまった。面白い表現よりもまずは自分の考えていることを伝えられるようにしたい。

そういったときに少し役に立つ記事にすることがこの記事の目標です。
なお販売するための記事は考慮していませんのでご了承ください(情報の小出しみたいな事は記載していません)


※本記事では僕が使用することを避けている表現などの話も記載していますが、そうしたものが絶対的にダメというわけではありません。

それでは順番に見ていきましょう。

タイトルを凝らない

はい。
原稿用紙に書く作文から始まり、ウェブ上のドキュメントツールに至るまで最初にタイトルを書くことを迫ってくるので中々迷いますよね。

タイトルを一番最初に書くのは結構難しいと思っています。
なぜかというと記事に書かれていることを全て踏まえて一言で表現するならどんな言葉になるかという話だからです。

まだ本文を1文字も書いていない段階なわけですから当然すんなりと思いついたりはしません。いけてるタイトルがパッと浮かぶような人はおそらくこの記事が想定する読者より文章を書くことに慣れている方です。

ではどうするのかというと内容が想像できるタイトル過剰な装飾をしないの2点を心がけると良いかなと思います。
タイトルは最後につけたほうがやりやすい、という意見はもちろんありますが逆に自分がこれから書く文章のフォーカスを定める(話題の範囲を制限する)という意味で先に決めてしまうほうが自分は書きやすいかなーって感じています。

内容が想像できるタイトル

世の中にはたくさんの記事が出回っているので記事を書こうとなった際にそれらとの差別化を図るために独自性を追求した素敵なタイトルを考えたくなってしまいます。

ただしタイトルというのは凝ったものをつけようとすればするほど、本文の記事の内容から離れて行きがちです(特に文章を書くことに慣れていない場合はそうなってしまうと思います)。

タイトルとはこれから読者になってくれるかもしれない人との最初のコミュニケーションです。
見ず知らずのどこの誰かもわからない人が何か言っていたとして、それが何の話をしているのかわからなかったら続きを聞いてみたいとは思いませんよね。
noteに関して言えばユーザーは何かしら知りたいこと、面白いことを探すためにサービスにアクセスしています。面白い小話を記事として書くのであれば面白いタイトルをつけると良いかなと思うのですが、デッキ解説など文章としての面白さがそれほど重要ではないジャンルのものを書く場合は「もしかしてこういう情報を探していませんか?」が読み手に伝わるタイトルを付けることが良いと考えています。

過剰な修飾をしない

せっかく文章を書くのだから沢山の人に読んでもらいたいと思うのは人間の性です。そこでやりがちなのは権威付けによって関心を集めようとしてしまうケースです。
悪いことではないのですが、権威付けや過剰な修飾で読者を集めることは読者が期待する質的なハードルをものすごく引き上げることに繋がります皮肉なしに読み始めてくれたらですが…

フィクションとして適当なタイトルを考えてみましょう。
世界王者も驚愕!?現環境勝率9割超えの結論◯◯デッキの教科書
※何も見ないで想像で書いてるのですがもし類似するタイトルの記事あったらごめんなさい…◯◯は何か好きなデッキの名前をあてはめてください

この架空のタイトルを説明してみます。
まずは世界王者というたぶん世界大会で1位になっただろう人が登場し、世界1位になるような人ですら驚くすごい発想が書かれている事が期待できます。
次いで現環境で勝率が9割を超えているらしいです。ほとんど負けていない。めちゃくちゃ強そうです。
よく見る◯◯デッキの結論構築ということなので、もう現環境ではこの構築以外ありえない!って感じが出ています。
教科書ということなので、◯◯デッキを全然使ったことがない人でも0から80くらいまで理解できるような解説が期待できます。

なんだかものすごくハードルが高い記事を書かないといけなくなってますよね。読者からの期待が膨らむだけでなく、読者からの疑問もきちんと解消する記事が書けていないと期待外れのダメな記事と思われてしまいます。

たとえば「世界王者も驚愕」ということは、何かしら採用カードやプランに対して(普通の人だけでなく)強者ですら思いつかなかった理屈が書かれていないといけません。
さらに「勝率9割超え」という表現も、前に世界王者という権威者が書かれていることからたまたま出た地元のカードショップの公認イベントで11回対戦して10回勝った(これはこれで十分すごいことだと思います)というのではなく強者が集まるような大会で対戦して勝ち抜いたというように思えてきます。
「教科書」も同様で、教科書なるものがどういうものかという認識を前提にそれらと同水準であることが求められてきます。

うーーーーん。とても難しい……
書けるに越したことはないのですが、自信がない人は要点だけ伝えて修飾は最小限に収めるのが良いのではないでしょうか。

読者側の体験としてまずいのは期待して読んでみたら大したことなくてガッカリというものです。
ハードルは下げて下げて、としたほうがお互いにダメージは負いません。

実例の紹介

それでは実際に僕が書いた記事のタイトルを少し見てみましょう。

次いで各タイトルを見た時に読者に期待されるだろうことを添えていきます。
※ちょっと縦に長いのですが例示しているだけなので先に飛んでしまって大丈夫です

【CL福岡】マスター最終120位 ポッポパオジアンデッキ解説【全文無料】

  • 大型大会でそれなりに勝ったデッキなんだな

  • 有料設定されてるけど全文無料なんだな

  • パオジアンなのにポッポ入れてるんだ。なんでだろ

収録順でカード整理しておくとデッキ作成もレギュ更新も楽になる

  • カード整理って色々あるけど収録順でやるんだな

  • デッキ作成が楽になる理由って何が書いてあるんだろう

【第4回夢幻杯 準優勝】パオジアンとカイオーガ【京都は6-3】

  • 自主大会でそれなりに勝ったデッキなんだな

  • カイオーガってどういうときに役に立つんだろう

いろいろなアマージョexデッキ

  • アマージョデッキがたくさん紹介されてるんだろうな

  • よく知らないデッキだから使い方・対策が知りたいな

【シティリーグS1】ベスト8 アローラロコン単(ロコンレントラー)デッキ解説【代筆】

  • シティリーグでそれなりに勝ったデッキなんだろうな

  • アローラロコン単ってどういう思考回路で作ったんだよ(Twitterで実際みた意見)

  • レントラーって何に使うか書いてあるんだろうな

どれもこれもタイトルそのままというか、逆にそれ以外の事が期待されないように意識してタイトルを設定しています。
書いていないことを期待して読まれても、実際書いていないので困っちゃいますからね。

はじめに「こういう話です」を書く

ここでは全体の構成をどのようにするかの話を記載します。
今回の記事でメインとなる主張であって、正直ここだけでもうこの記事終わり!っと言えるまであります。
まずはじめにデッキ解説の記事ならデッキを最初にぱぱっと載せてしまいましょう
なぜそれが適していると考えているか理由を追ってみます。

伝えたいゴール

記事の最大のポイントとも言えること。いわゆる結論的なものは最初に記載しておきましょう。

これから書かれている内容がどこに向かっているのか、全体を通してどんな話なのか。それらを知っているのは著者だけです。

特に解説記事において、理由Aと理由Bと理由Cがあってそれらを組み合わせて推論していくと最終的にDになります。Dがそのデッキレシピです。
といった風に記事を書いてしまうと読者は理由A、B、Cが何なのか、なんのために記載されているのか、Dが現れるまでわかりません。

これからデッキを作っていこう!という記事であれば上記のような順序が正しいとは思います。一方で既になんらかのデッキがあり、それを解説する場合は順序を逆にしたほうが読者が頭の中で描いているものと記事の内容の乖離が起きににくくなります。

完成図がわからないジグソーパズルを組み立てるのより、完成見本があるもののほうが格段に解きやすいですよね。
最終的なアウトプットを先に提示して、それに対して今このあたりの話をしてますよ~~~という書き方を意識するのがポイントだと思っています。

僕の場合は冒頭でデッキレシピと併せてそのデッキのコンセプトなどを記載していることが多いです。
※コンセプトはそのデッキが何を目標として作られているかという意味で記載しています

初回投稿のキュレムチルタリスのときからそうしていたみたいです
キュレムVMAXレギュ落ちする前にまた使いたいなあ

ゴールに至る背景

続く文章で書くと良いなと思っているのはそのデッキレシピを選んだ事情です。
結論としてのレシピはわかったけれど、なぜ今そのようなものを使おうと思ったのか先に理由・事情を説明しているとこの先の各論に入った時に「ああ、なるほど」と納得してもらいやすい文章になると思います。

Tier表を掲載したりするのもこの一環だと考えています(今、環境がこれこれになっているから~という説明)。

お仕事も「なんでこんなことやってんだろうな~」とか「この作業してなんの役に立つんだろうな~」ってなると満足度がガタ落ちしますが理由がわかると作業に納得できたりしますよね。
ちなむとこの一文は明後日の方を向きながら書いています。ワァ

例えば先月書いたポッポパオジアンのデッキ解説記事では「環境の話」という見出しの中で次のような事が書かれています。

同じセクションの中で「アグロデッキは減少傾向にある」と「120、140を出して耐えることが重要」ということも記載しており、その上で「パオジアンってそもそもアグロじゃないといけないんだっけ?」という考えを記載しています。
当該記事ではアグロに寄せていないパオジアンデッキを先に掲載し、それに至る考えを説明。そのうえで続く章に採用理由や使い方を解説していました。

具体的な話

伝えたいゴール(デッキ解説ならデッキレシピ)、前提となる背景事情や理由(Tier表等)といった諸々を記載したらようやく各論を書きます。

全体を通してどういう内容なのか、着地点はどういったものか、なぜそうなっているのか、が揃っていますから読み手はそれぞれの記述内容を型にはめて行くように読み進めることができます。

たとえば先に上げたポッポパオジアンの記事だと、レシピと背景事情の説明をすることで書き手と読み手に「パオジアンってもしかしてアグロじゃなくても組める?」という共通認識を持たせつつ(できてるかは不明です…)「実際はこんな感じのことを考えていくよ。採用カードはこうですよ」というふうに話を展開しています。

あらかじめ「アグロだけじゃないよね」という話をしておかないと、
この部分だけを読んでもあまりこちらの意図が伝わらないですよね

解釈の余地を減らす

これは以前に別の記事でも書いたことがあるのですが、解説記事を書く際にも気をつけておきたいポイントだと思っています。

言語によるコミュニケーションが成立する条件として次のような考え方があります。特定の言葉が意味する内容が自分と相手で同一であるかつ自身がその状態が成立していると信じていることです。

たとえば「リザードンはデッキパワーが高いよね」と僕が言ったときに、僕が発した「デッキパワー」という言葉が意味していることが相手が「デッキパワー」という言葉を使用した際に意味するものと合致している必要があります。これが合致していないと、一見会話が成立しているように見えても話の方向性がうまく噛み合わっておらず実はお互いに全然違う話をしているなんてことになってしまいます。

話を少し戻しまして、じゃあどうするのかというと、解釈の余地がありそうな言葉だな、と思う単語を使う際にはその隙間を埋めるような記述をしていくのがベターかなと思っています。

たとえば僕が書いた記事には「アグロデッキ」という言葉が出てきました。
ただし「アグロデッキ」という単語だけですと、それに該当するデッキはたくさんあります。
もちろんこのままでも十分意味は通じるかもしれませんが、読み手が想像するアグロデッキと僕が考えているもので認識が違っている可能性が十分に考えられるので、次のような補足(太字の部分)を挟んでいたりします。

アグロデッキは減少傾向にある
賛否両論だったEレギュが落ちたことでミュウVMAX、ミライドンex、トドロクツキexといった後攻1ターン目から大ダメージが狙えるようなアグロデッキが軒並み姿を消しました。

ミライドンやトドロクツキは少数ながらまだ存在していますが、以前の状態と比べると後攻1ターン目の技宣言が難しくなっていることから使用者もあまり多くありません。

アグロデッキ、という単語だけでなく実際にどういったものがそれに該当したのか。該当するものはどのような特徴を持っていたのか、を記載することで「ああ、ここでいうアグロデッキってこういうのだよね」という合意を取ろうという目論見です。

10書いて5しか伝わらない文章もまずいですが、5しか書いてないのに10読み取れるような文章になっていないかも気をつけます。
抽象度が高すぎて読者に委ねている部分が多くなりすぎないかは注意しましょう。

言葉を定義する

他の事例紹介としてポケカ飯さんとポケカデータラボさんが作成された各デッキタイプの強さの数値化、という資料を見てみましょう。
この資料では「強さ」を「獲得CSP」「入賞数」「DP(CSP/入賞数」」という3つの軸で定義しています。

ポケカ飯さんの記事より引用

重要なのは「強さ」の絶対的な意味は何なのかという話ではなく、このレポートや分析で使われる「強さ」という意味は先の資料に記載されているものを前提にしていますよ、という文脈を整理することにあります。

内容理解に必要・不要を考える

自分でも昔は書いていたもので、何本か書いていく中で「この記述って何の役にも立ってなそうだよな」と思ったものがいくつかあるので紹介しておきます。

勝率の話

個人で経験できる対戦数ではあまり統計的に優位な結果を出すことは難しいです。
ポケカは1回1回の対戦におけるバラツキが多いゲームですし、広く浸透しているレシピから数枚変更して試すにしても変える前・変えた後での対照実験を行うことも現実的ではないことからこれらの記載はほとんど意味を成さない(あってもなくても何も変わらない)と考えています。

標本に偏りがある(ある集団の中ではたくさん勝てても、別の集団の中で同じことをしても全然勝てない等)ケースであったり、試行回数が不十分であるのに対して割合で表現してしまったりと色々やりがちなのですが、総じて勝率を聞いたところでデッキの内容理解に対して影響がありません

有利・不利の話

ほぼほぼ勝率と同じ意味合いかと思いますが、こちらも簡単に書くだけでは有利・不利なのはわかったけれどどうしてなの?となってしまいます。
極端な話をすると、特定のデッキに対してめちゃくちゃ刺さるメタカードを何種類も採用して「Aのデッキには◯を出します」「Bのデッキには△を出します」したがって全体面有利です、みたいなことが言えてしまいます。

こういった話を書く場合(最初に有利なのか不利なのか記載しておくことはここまでに書いてきた話のゴールを提示する、ということなので役に立つと思います)、単にそれだけ記載するのでは機能しないため、どういったことを念頭にプレイするのか、どういったことをされるとまずいのか、記載した事をお互いがわかったうえで、現実的な再現性も考慮するとどっちになるよね、という風に書くと良いかなと思います。

自己表現は最後に

これも大切なことだなと思っていて、読み手が記事を開く時に期待するのは著者がどんな人物であるかよりタイトルに関連した内容です。
自己紹介を全くしない文章というのもそれはそれでとっつきにくい印象を持たれてしまうので導入としては多少あったほうが読みやすいかな~と思うものの、長々と自己紹介をする必要はありません

記事の信憑性を担保するために、様々な実績を記載する(権威付けする)ことも手法としては大切だと思いますが、権威付けすることと内容がきちんと相手に伝わる文章であることは全く別の話題です。

自己表現って楽しいので書きたくなる気持ちもわかるのですが、冒頭に長々書いてあると「どこからが重要なことなの?」と言う感じで読む方も疲れてしまいます。(どうみても重要な情報に見えないよう)合間合間のキャプションに一言添える程度にとどめたり、いつ読者が離脱しても問題ない記事の最後に載せると良いんじゃないでしょうか。

この記事の冒頭でも僕が自己紹介をしていますが、スマホで見た時に1ページで収まるくらい分量を意識して書いています。

ちなみに不思議なもので僕が過去に書いた記事の中で最も読まれているのはなんの大会との関連性もない「いろいろなアマージョexデッキ」という記事です。

noteのビュー順はぶっちぎりでアマージョの記事です
PJCSとかCLの記事は終わってすぐパパッと書いてるので関心を集めやすいというだけ

アマージョの記事がなぜこんなにビューついてるのかは僕自身さっぱりわかっていませんが、書いた記事をたくさんの人に読んでもらいたい!という場合は公開する時期を工夫するのが一番効果があると思います。

あとがき

最後にあらためてデッキ解説記事のポイントをおさらいしてみます。

  1. タイトルは内容を想像できるものを書く

  2. 記事のハードルを上げすぎないためにはシンプルに留める

  3. 伝えたいゴールを先に書くことで読者が迷子になりにくくする

  4. 背景事情を説明すると内容が入ってきやすい

  5. 言葉選びは解釈の幅を意識する

  6. 書くことで理解が進むか、ただ書いてあるだけにならないかを検討する

  7. 読者が読むのを辞めても良いところで自己表現

文章を書くこととポケカの上達はあまり関連性がないように思われていますが、考えていることが整理されており表明できる状態になっている、というのはポケカに限らず様々なゲームに役立つスキルかなと思ってます。

自分が使ってるデッキってどんなものなんだろうな、という解説を一度書いてみるの何か見えてくるかもしれません。

ポッポ+パオジアンでポッパオと読んでいましたが、パオジアン+ピジョット+モモワロウ+ノコッチでパピモッチデッキが作れるということを閃いてしまったのでモモワロウがカード化されたときは研究していこうと思います(ひょうせつのまいモスノウ帰ってきてくれ~)。

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