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どうしても生きてる 朝井リョウ

様々な「生きづらい」のオムニバス。
それぞれが苦しいんだけど、ある意味で“健全な“私たちは死ぬことを選べない。選ばない。

だけど現代日本人の中で、この層は結構いるんじゃないか。
それぐらい私にも心当たりがあった。
作中のエピソードはもちろん私自身が味わったことでもないのに節々に「あるある。似たような出来事」となる。

共通なのはこの本の題名にもなっている“どうしても生きてる“ということ。
時間は残酷にも過ぎるし、今の境遇を打開するほどのパワーも熱意もそこまで不幸でもない。だから実はその場に留まるほうが楽だったりもする。
生きるしかない。
死にたいわけじゃない。
希死念慮があるわけでもない。
そんなとろとろとした日々をみんな過ごしている。

街ゆくあの子もあの人もあの金持ちもあのインフルエンサーも、もしかしたら外側からはみえない鬱屈とした闇を抱えているのかもと思ったら、もう少しがんばってみようかな、って思える。

「籤」の最後が好き。
ってことは、私もなんだかんだ言って希望をもちたいんだな。

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