【まさかゲームの影響で】 まじめに競馬について勉強したくなるなんて
真っ赤に目立つ本が一冊、探していた本が棚に並んでいた。自分の頭より上の棚にあり、手を伸ばして引き抜いた。
その本のタイトルは 血統の教科書 。
上記に添付された画像の通り、競馬にまつわる本である。ある程度ページをめくって、内容を確認したらレジに持っていき会計を済ませた。直射日光に芽を細めて、夏がそこまできていることを実感し帰路を歩いた。
競馬が趣味と聞いたらどう思っただろう。昔の私なら、興味があるのは馬ぐらいで。レースがどう……っていうのはさっぱりな気がする。
しかし今はどうだろう、何もかもが興味津々だ。
特に競馬の歴史、そして血筋について。
ネットで調べていても範囲が広く、深い歴史を追いきれず。そして何よりたくさんのファンの思い出が詰まっていることを知り。
私もいろんなことを知りたい、今からでも知識をつけたい。
その衝動通りに行動した結果がこの本であった。
とはいえ……今突然、なぜ競馬?
そう思う方もいるかもしれない(いや、粗方予想がされてそうだが)。事の始まりは五月冒頭の出来事である。
***
友人と通話している際にSNSで流れてきた動画の話なって、それがゴルシことゴールドシップの動画だった。私も友人も競馬について全く知識はない。ただ、最近よく馬の動画流れてくるんだよね、って話をしていたわけだ。
馬は頭が良くて、臆病な生き物。私はファミリー向けの牧場で馬を見たことがあったが、それ以上の知識はなかった。
その時ふと思い出したのが『ウマ娘』というアプリについてだ。
ウマ娘は実際に存在した馬を元に創作されたコンテンツで、元々はアニメやコミックなど様々な方向性で展開されていた。私はアプリ開発(リリースが大幅に遅れているという知識くらい)のウワサ程度にしか抑えていなかったジャンルとなる。
「試しにやってみようかな」
通話越しの友人がにそう言ってストアを開いた、正直ネタ半分だった。継続しているソシャゲの片手間にちょっとやるぐらいなら大丈夫だろう。飽きたら辞めればいいし、実装キャラがいっぱいいるゲームってあんまり長続きしたことがなかった。
私が注目するのはどのキャラにも背景描写があってソシャゲ特有のレアリティに関係なく作り込まれているか、そこを重視しているのである。好きになったキャラを推したいし、描きたい。私はそういうタイプの人だったので実装されるだけされて、放置気味になるようなソシャゲとは合わないようだ。
こうして競馬のことを何にも知らない奴が、初めてその分野に触れていった。
すると、どうだろう…………
あれ、このゲームなんかおかしい
なんでこんなに胸が熱くなるんだ?
女の子が走って一着を取るだけのシュミレーションゲームのはずだった。それだけのはずだったのに、なぜ自分はこんなに熱中しているのだろう。
そう、答えは簡単だ。
このゲーム
キャラレアリティ関係なしに情報量がエゲツないのである。
特にストーリーは膨大な情報量が詰め込まれていると自分は感じた。
ウマ娘が失敗や挫折、一着を取ったり取られたりとするシーンなどが史実から着想を得た描写と知った時は驚愕した。
たしかに史実から着想を得て創作するジャンルというのは何もウマ娘に限ったことではない。そこで重要視されるのは、史実をいかに細かく取り入れ創作に活かせるかになる。史実も知らない、競馬のシステムも知らない(私のような)人に創作を通して伝えることができるのか、そこもネックとなってくるだろう。
個人の創作ではなく、企業が行なっている創作ならば尚更にシビアな話になる。有識者に伝わるネタや知識ばかりを入れていても、新参者には飽きられてしまう傾向が当然出てくる。
筆者はアニメのウマ娘についてまだ視聴していないが……アニメの時代からその課題をクリアしてきた良質な作品だったのかもしれない。
今まで競馬に触れてこなかった自分が『そういえばゴールドシップは動画で見たけど、他はどうなんだろう』と調べ始めたら、もう運営の思惑通りだろう。
現にこうなってるのである……(競馬本を傍らに置いて、この記事を打っている)
***
さてこの本の感想に戻るが、現在第2章まで読み終えたところである。実に導入が面白く、(私のような)全くの初心者からすれば用語を覚えることに苦戦はするが、何度となく用語を多用してくれるので読んでいるうちに慣れてくる。
勝ち馬予想がもちろんメインだとは思うのだが、競馬を始めてみようかと思う人だけではなく。私のように『どの馬がだれの親とか全く知らん、根幹距離? 適正? ゲームで知ったけど……実際はどうなの?』と思われた方に是非オススメしたい。
特にこの本が取り上げている通り。血統については特徴や、その受け継がれ方についてかなりまとめられている。漠然と競馬を知りたいと思った私もこれなら最後まで読破できそうだ。
とはいえ……
「知識をゲットしたし、競馬デビューしてみようかな!」
と、いう気分には(まだ)ならない。手に入れたばかりの知識を実践に応用するのはいいことかもしれないが私にはまだまだ勉強が足りない。もっとたくさんの馬について見つめ、いろんなことを見る時間が必要なのである。
その始まりの一歩が知識、そう思っている。
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